ジョジョの奇妙な聖杯戦争

喪失したもの、復讐するもの

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286 名前: アンリ&ヴァニラアイス 2006/03/25(土) 01:51:45 ID:???
 日の差し込まない、埃臭く薄暗い部屋の中で、男は酷く憔悴していた。
 筋肉質の逞しい体を丸く屈めて俯き、時折うわ言のように何かを呟いていた。
 そんな男を見て、唾を吐く青年が居た。
「ケッ、オレは貧乏くじを引いたって訳か」
 この口の悪い青年の名は、無い。
 『アンリマユ』
 名の無い彼はそう呼ばれていた。
「おい、あんたはオレのマスターなんだろ?」
 俯く男に蹴りを入れるが、まるで気がついていない様子だった。
「……様が……でしまった……、私は……一体……」
 死んだ魚のような虚ろな目で、ブツブツと呟くばかり。
「クソが! せっかく聖杯戦争で勝ち抜けばなんでも願いが叶うというのに……」
 その言葉に、俯いていた男が初めて反応した。
「願いが……叶う?」
「あー? 叶うぜ、どんな願いでもな」
 それを聞いて、男が立ち上がる。
 アンリを見下ろすほどの長躯。
「ぅ……」
 思わずアンリは後ずさる。
「死者を蘇らす事は?」
「当然!」
「……そうか!」



287 名前: アンリ&ヴァニラアイス 2006/03/25(土) 01:52:16 ID:???
 その言葉を聞いて、男の虚ろだった目は、生気を取り戻した。
「でもな、サーヴァント中最弱のオレと、魂を抜かれたようなあんたがマスターじゃ到底勝ち抜けねぇぜ?」
 突然、男がアンリの両肩を掴む。
 肩に加えられる力は、先程まで虚ろだった男のものとは思えない。
 それどころか、人間を遥かに凌駕するパワーだった。
「ッてぇ……ッ」
「お前が最弱だろうと関係ない」
 痛がるアンリに構う事無く男は続ける。
「私は、DIO様の忠実なる僕ッ、ヴァニラアイスだ!」
 ヴァニラアイスと名乗った男の表情には、生きる『目的』を見つけ、ソレを成し遂げようとする『覚悟』と『決意』がはっきりと見て取れる。
「DIO様の復活の為ならば、どんな奴でもこの私が亜空間にバラ撒いてやるッ!! そうだ、まずはDIO様の仇、ジョースター一行からだ!」
 微かな『希望』を得たことにより、元来持ちえた強靭な精神力が驚異的な忠誠心と相まって、
 主の敗死という衝撃で、砕け散ってしまった彼の精神を復元し、再度震え上がらせた。
「ッ、ぁ―――ッ、ハな、セ!」
 ギリギリと肩を締め上げられていたアンリが苦悶の表情を見せる。
 ヴァニラアイスも締め上げていた事にようやく気がつき、両手を離す。
「ハァ、ハァ……クソが! なんてバカ力……あんた、人間じゃないだろ?」
 落ち着いたヴァニラアイスは適当な椅子に座るとアンリの質問に答える。
「あぁ、私はDIO様に吸血鬼にしてもらった」
「ふぅん、……そのDIOって奴も吸血鬼なのか?」
「……そうだ」
「ならあんた、人間を殺す事に何も感じないんだろ?」
「当然だ」
「へ……、ならあんたとは仲良くやれそうだ。お互い人間じゃなく、夜行性で、人間を殺す事をなんとも思わないんだからな」


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