ジョジョの奇妙な聖杯戦争

VSアサシン

最終更新:

匿名ユーザー

- view
管理者のみ編集可
383 名前: マロン名無しさん 2006/04/23(日) 13:08:52 ID:???
世界に自分しかいないような錯覚を覚える。真夜中の空気とはそういうものだ。
だが、今ここで感じたのはそんな程度ではない。空気が淀んでいる。風が死んでいる。
生気とでもいうべき物が、一切感じられない。
「…」
 空条承太郎とセイバー。二人は長い石造りの階段を黙々と進んで行く。この場所に巣くう敵を倒すために。
 ここはすでに敵のテリトリー内だ。奇襲に注意を払いながら、二人は一歩一歩歩を進めていく。
 そろそろ頂上に着く。柳洞寺の山門が段々とその全貌を現していく。
 あと少しで山門に着く。その時、障害は現れた。
「――――!」
「――――!」
二人の間に緊張が走った。それもそのはずだ、二人が倒しに来たのはキャスター
である。眼前の敵は、どう見ても魔術師の英霊には見えない。むしろ、両手に刀を持ち、
着物を羽織ったその姿は────
「――――侍、か」
 呟き、視えざる剣を構えるセイバー。
 そう、そいつはどこをどう見ても侍だった。 
「……訊こう。その身は如何なるサーヴァントか」
 答えなど期待せずに問うセイバー。
それに、にやりと笑ったあと。
 「――――アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎」
 歌うように、そのサーヴァントは口にした。

384 名前: マロン名無しさん 2006/04/23(日) 13:09:52 ID:???
「な――――」
 セイバーが驚くのも当然だろう。
 サーヴァントは正体を隠すもの。
 それを自ら、堂々と告げるサーヴァントが何処にいる。
「貴様、何を――――」
「何を、とは無粋だな。立ち会いの前に名を明かすのは当然であろう? それがそなたのよ
うに見目麗しい相手ならば尚のこと。だというのに、そのような顔をされるとは心外であった」
 アサシン―――佐々木小次郎と名乗ったソレは、セイバーの狼狽を楽しむように続ける。
「そんな事はどうでもいい…俺たちは敵を倒しに来た。そしてお前は敵だ。やる事は一つだ」
アサシンの話を遮り、今まで黙していた承太郎が言い放った。
「ふ…せっかちな男だな」
優雅に石段を下り、アサシンは二人と対峙する。
「承太郎、私が行きます」
「いや、俺が行こう。接近戦ならば、俺のスタープラチナの方が有利だ。」
それだけ言い、まだ何か言ってくるセイバーを無視し、承太郎は前に出た。
「相手はお主か、セイバーのマスター。出来れば、そこの剣士と手合わせを願いたかったのだが…
まあ良い。では果たし合おうぞ、セイバーのマスター。」


385 名前: マロン名無しさん 2006/04/23(日) 13:10:47 ID:???

先に動いたのはアサシンだ。その右手に持つ長剣が、承太郎に襲い掛かる。その刃は、容赦なく速い。
「スタープラチナ!」
 承太郎の内から、スタープラチナがその姿を現わす。数あるスタンドの中でも最強と評されるスタープラチナの
動きは、至近距離から放たれた銃弾すらも掴み取る事が可能だ。勿論、いま目の前
に迫っている刃を防ぐ事も。
「オラァ!」
 掛け声とともに、スタープラチナが拳で刃を弾く。間髪入れずに、左手に握る第二の
剣が向かってくる。これもまた弾く。そのまま打ち合いがはじまった。
 迫り来る刃を受け、弾き、逸らす。一方、スタープラチナの攻撃はアサシンに届かない。
 普通二刀流の場合、長剣と脇差を使うと聞くが、アサシンは二本
の長大な剣を苦もな無さげ操っている。アサシンの持っている剣は、両方とも長さは
一メートル五十センチほどだ。スタープラチナの射程距離は2メートルほどだが、人
間型のビジョンをしている以上、この剣の嵐を掻い潜らなければ、アサシンの体
に拳を叩き込むことは出来ない。そのため、戦況は膠着状態にあった。
パワーとスピードはスタープラチナが上回るが、技と射程距離は
アサシンが大幅に上回っている。
 スタープラチナの攻撃はアサシンに届かず、アサシンの刃はスタープラチナの拳に防がれる。
(この状態を長時間維持するのはまずいぜ…)
 状況は互角ではあるが、長期戦となった場合、有利なの明らかに向こうだ。承太郎も所詮
は人間である。戦いが長引けば長引く、ほど体力も集中力も磨り減り、いつかは殺される
(なんでもいい…この状況を変える!)
 決心し、承太郎は後方へ数歩分程跳んだ。だがアサシンは追撃はせずに、先ほどよりも
更に位置を低くしたこちらを、悠然と見下ろしている。
「剣道三倍段とは言うが…空手で我が剣の相手をするとはな」
 アサシン───先ほどの言葉を信じるならば、その真名は日本では知らぬ者は
居なく、燕返しと言われる剣法を編み出したと言われる剣豪、佐々木小次郎。
「お主の『スタンド』とやら、強いな…いや、素晴らしい。こんな相手と戦えるとはな…」

386 名前: マロン名無しさん 2006/04/23(日) 13:11:35 ID:???


アサシンがくつくつと笑う。初めての相手との戦いに、喜びが隠せない様子だ。 
 そんな事よりも気になったのは、アサシンが今言った「スタンド」という言葉だ。
 スタープラチナを一目見て、スタンドだと判断したという事は、マスターがスタンド使い
である可能性が高いという事だ。
「貴様もな…まさか、侍と戦うなんて思っても見なかったぜ。一つ、サインでも欲しいくらいだ。
それにしても、これは単純な好奇心なんだが…佐々木小次郎が二刀流だとは聞いた
事が無い。それに、その剣…それは日本刀ではないな」
 承太郎がアサシンが右手に握る剣を指して言った。それは一見日本刀に近いが、鍔等
の装飾を見る限り、刀には見えない。
「何、たいしたことではない。女狐に言いつけられただけさ…」
 今までの楽しげな表情とは一変、急に哀愁漂う顔になったアサシン。
「さて、そんな事よりも先ほどの続きといこうではないか」
 気を取り直したように顔を引き締め、アサシンが言ってくる。
 承太郎は無言でスタープラチナの拳を構えた。
ゴッと鈍い音がした。スタープラチナが足元の石階段を、音が一度に聞こえるほどの高速で
数度、思い切り蹴り飛ばしたのだ。
 地面を蹴ってアサシンの懐へ飛び込こんだのではなく、砕けた階段の破片をアサシン
に蹴り放つためだ。
 アサシンは的確に自分に当たる石とそうでない石見分け、飛来する石の弾丸達を左手
の剣の一振りで叩き落とした。それでいい、石は唯の布石だ。スタープラチナは石階
段を蹴り砕いと同時に、アサシンに向かって行っている。

387 名前: マロン名無しさん 2006/04/23(日) 13:12:07 ID:???
アサシンは奇妙な事に石を叩き落とした瞬間、その勢いにまかせて左手の剣を
放り投げた。アサシンは、左手の刀を振るった瞬間、今までの戦いで一度も
見せなかった、構えを取っていた。背を承太郎の方に見せ、右手の剣を顔と同じ
位の高さに構えるという物だ。
(!)
 承太郎は胸中で驚く。先ほどの打ち合いでスータプラチナとアサシンが互角だったのは、
アサシンの二刀流によるところも多かった筈だ。それを自ら捨てるという事は───
(まさか、宝具かッ!?)
 だがいままで見て来た物のように、魔力が集中とかそういった様子はない。
承太郎は決心した。
(今ここで───奴を倒すしかねえ!)
 この戦いでアサシンが、ここまでスタープラチナの接近を許したのは今が初めてだ。今を
逃せば、もうチャンスは二度と来ないのかもしれないのだ。
「秘剣───燕返し」
 呟きとともに、向かって来る承太郎を切り伏せんと、アサシンが刃を走らせる。
 次の瞬間、三つの閃きが走った。承太郎は考えるよりも早く、スタープラチナの
両腕をガードに回す。スタープラチナの優秀な目が捉えたのは、斬撃だった。
 そう、単なる斬撃だ。三つの、ということが無ければだが。
 スタープラチナの腕は二本で、敵の斬撃は三つ。そして、アサシンの斬撃
は今までの物よりも鋭い。これらの事から導き出される事は一つだ。
即ち、敗北─────死。

388 名前: マロン名無しさん 2006/04/23(日) 13:13:05 ID:???
だが、承太郎は焦らなかった。何も動かずただ、念じた。
 スタープラチナの拳とアサシンの刃が衝突し、ガギ、音が鳴った。
 スタープラチナの拳はそれぞれ横から迫る刃と、斜めから迫る刃を防いだ。
 防ぎ切れなかったもう一つの刃。縦の軌跡で唐竹割りに斬りつけてきた
刃も、承太郎を斬る事は叶わなかった。その刃はスタープラチナのの眼前
で、視えない何かにぶつかったかのようにに弾かれたのだった。
 単純な事だ、視えざる剣で弾き飛ばしたのだ。令呪により背後に現われた、
この戦争で最も頼りになる相棒、剣の英霊、セイバーが。
 スタープラチナが再度アサシンへ向かって動き出す。アサシンも弾かれ
た剣を再び、スタープラチナ首を狙い、振るう。
 「スタープラチナ・ザ・ワールド!」
 時が止まった。承太郎とスタープラチナ以外、如何なる物も動きを停止する。
一年前DIOと戦った時は、極限状態だったためかそれとも怒りのためか、
時を約二秒止める事が出来たが、今は一年間程スタンドを使っていなか
ったからか、時を止めていられる時間は1秒を遥かに下回っている。
 だが、このスタンドの腕を伸ばせば相手に届くほどの距離ならば、
それで充分だ。

389 名前: マロン名無しさん 2006/04/23(日) 13:14:10 ID:???

 
 「オラァ!」
 スタープラチナの渾身のアッパーが、アサシンを直撃した。
「時は動き出す…」
 時が動きを再開した。アサシンが無防備な顎にスタープラチナの容赦ない
拳を叩き込まれた事実も、動き出す。
「ぐぶぁ!」
 アサシンは何も分からずに上空へ数十メートル吹き飛んだ。
 やがて、上昇は止まり、落下が始まる。上空に上がった以上、
落下するのは必然だ。それこそ魔法使いか、重力を操るスタンド
使いでなければ。そして、アサシンはそのどちらでも無い。
「オラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラァーーー!」
 スタープラチナの拳のラッシュが、アサシンの体にに叩き込まれた。
吹き飛ばされたアサシンは、柳洞寺の門をぶち破り、寺の境内
に転がった。
「燕返し…原理は分からんが、三点同時攻撃による回避不可能の秘剣てところか。
だが、回避不可能の攻撃なら、避けずに防げばいいって事だな…それにしても、
やれやれ…キャスターを倒しに来て、侍を倒す事になるとはな…。」
「承太郎!…時を止めたのですね。怪我は無いですか?」
セイバーが持ち前の洞察力で状況を把握し、冷静な声でこちらの安否を
気遣う。
「ああ、怪我は無い」
軽く答えると。承太郎は眼前の、大穴の開いた門へと目を向けた。
「だが、本命はまだ残っている…心して掛かるぜ、セイバー」

                                        To Be Continued. 
記事メニュー
目安箱バナー