ジョジョの奇妙な聖杯戦争

ギルガメッシュVSアレッシー

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 皿の上では、娼婦風スパゲッティが、ガーリックの香ばしい湯気を漂わせていた。
「ここの料理は美味い・・・イタリア料理以上にイタリア料理をしている」
「恐れいります」
 この店の店主である、トニオとかいう男は、深々と一礼をすると、厨房に消えた。
「・・・で、プロシュート。今回は何のようだ?」
 ギルガメッシュは、グラスに注がれた水を、くい、と口元で傾けた。甘みすら感じる芳醇なミネラルウォーターが、喉に流し込まれる。
「お前に注意を促しておこうと思ってな・・・・辛いな」
「注意?」
 口をナプキンで拭いながら、プロシュートは頷いた。
「ああ。どうも最近、この周辺がキナ臭すぎる」
「ほお。面白そうだな」
「ふざけるんじゃない。どうも、DIOとかいう男の信奉者や、新手のスタンド使い、パッショーネのディアボロ親衛隊、DIOの息子を名乗る男。
 どうも怪しい奴らがこの街に上陸を始めている。それにあわせて・・・・」
 プロシュートは、隣の席で、赤い根にいかにも鉄分が含まれていそうな、ほうれん草のパスタを食べていたリゾットの方を向いた。
「・・・・ああ。既に我々のチームのメンバーも、五人こちらに向かっている。今、この街は、恐らく世界で最悪の戦場だろうな」
「ふむ・・・・それに加えて我々サーヴァントとは・・・戦場というよりは、まさに、ジャハンナム」
 リゾットの傍らに、いつの間にか、黒装束のデスマスクの男、アサシンが肩膝をついた姿勢で佇んでいた。
「つまり・・・・俺の言いたいことは分かるな」
 プロシュートは、ワインを一口啜りながら、ギルガメッシュに促した。
「分からん。それだけのことで私を呼ぶな」
 ギルガメッシュは、グラスの水を残したままで、立ち上がった。
「ギル、ギル、ギル、ギルよお~・・・・テメエ、全然分かってねえな」
「分かる気なぞない、と言わせてもらおうか。失礼する」
 そのままギルガメッシュは店の外に出て行った。カラン、と扉の鐘が鳴る。
「全く・・・・・・あいつの扱いにはほとほと手を焼く・・・ペッシのように、成長する素質が感じられん」
「さて、どうだろうな?」
「・・・・・・何が言いたい?リゾット」
「ああいう男が、暗殺稼業をやる俺達には、一番手に負えない。アイツには、絶対の運と、それを裏付ける自信がある」
「恐ろしいのはそこでしょう。まず、初めから神に祝福された男でありながら、その上で絶対の自身を持っている。並の人間に殺すことはできないでしょう」
「神に祝福、ねえ・・・・・・・・・・・」
 そこで、もう一口、プロシュートはスパゲッティを啜った。
「あいつが神とかそういうのを口にする柄の男かよ。・・・・・・やはり辛いな」
「気に入らんな、プロシュートめ。幾ら我がマスターとはいえ、我にあのような口を聞ける権利はないはずだ」
 街の中を歩きながら、ギルガメッシュは呟いた。と、その時ギルガメッシュは前を見ていなかったのだろう、前から歩いてきた、サングラスで、珍妙な髪型の男にぶつかった。
「おっと、悪いねえ~・・・・ゲフ!」
 問答無用、手甲つきの拳で、その男の顔に、ギルガメッシュは一撃を叩き込んだ。
「下郎が、二度も私に触れおって」
 もう一発、蹴りを入れる。
「これで三度だ」
 男は、鼻から盛大に血を噴き出しながら、地面を転げまわった。
「て・・・・てめえ・・・・幾らなんでもいきなり殴るか!?お前変だろ!?」
 +1。剣の柄で鳩尾を打つ。
「ぐぼぁ!」
 血を吐いた。幾らなんでも、これはやりすぎとしか言いようがない。
 しかし、ギルガメッシュは、冷ややかな目で男を見て言った。
「貴様、私が気づかないとでも思ったか?今まで私に襲ってきた奴と同じ匂いがする」
 もう一発、顔を蹴り飛ばした。空中を回転しながら地面に落ちた。

「・・・・・おやおや、どうやらそろそろ俺のスタンドの力が効き始めたみたいだなあ・・・・」
 そこで、ギルガメッシュはあることに気がついた。果たして、この男はこんなに巨大であったろうか、と。
「ひっひっひっ・・・・さあさあ、早く剣を握るんだな。ギルガメッシュよぉ―ッ!」
 アレッシーの突然の叫びに、ギルガメッシュはビクリ、と動いた。
「俺の名前はアレッシー・・・大きい声じゃいえねーがな………… おれは弱い者をイジめるとスカッとする性格なんだ… フヘヘヘヘ …
 自分でも変態な性格かなァと思うんだがね… 」
 アレッシーは、背中に抱えていたリュックサックから、手持ちの斧を取り出した。その斧の輝きを見て、ギルガメッシュの顔色がさらに凍りついた。
「そう!それだよそれ!そうやって子供の顔が歪むのを見ると、スッとするんだよ!」
 子供、と言われて、ギルガメッシュは言い返す前に、磨きぬかれた鎧の表面の覗き込んだ。そこには一人の少年が映りこんでいた。
「そ・・・そんな・・・まさか」
「そうだよーン!ギルガメッシューッ!」
 斧を振りかぶったアレッシーが、そこに立っていた。咄嗟にギルガメッシュは鎧の留め金を外し、そこから抜け出した。
 実際のところは、留め金を外すまでもなく鎧からは抜け出れたのだが。
 ガキン、と激しく金属と金属がぶつかる音がした。
「でも よく言うだろ? 自分で変だと思う人は変じゃあないってな… だから おれは変じゃあないよな……
 子供には絶対負けないという安心感もあるしよ…・・・・・・・・・・・・・・・・・・うへ、うへ!うあーっはっはっはっは!」
 アレッシーが呵呵大笑しながら、斧を振り回した。完全に狂人の笑みを浮かべながら斧を振り回すアレッシーの姿に、子供になったギルガメッシュは戦慄しか覚えなかった。
「・・・・・・・・」
 男が、鼻血を拭きながら、ゆっくりと立ち上がった。
「・・・・おっかしいな~。なんでこんなに早くばれちまうかなあ。俺って、正面から戦うのが嫌いだから、不意打ちで綺麗に勝とうと思ってたのによぉ」
 男の足元の影が、ゆらゆらと揺らぎ始めた。
「下郎が。貴様に宝具を使うまでもない。ただ切り捨てるだけで十分だ」
 ギルガメッシュが剣を構えた。だが、相対する男は、ニヤニヤと粘着質な笑いを浮かべるだけだ。
「へっへっへ・・・俺のスタンドの破壊力を思い知れ」
「その時間は与えん」
 刹那、ギルガメッシュは距離を詰める。白銀の刀身が、宙を踊る。
「そうそう、もっと前に出るんだな・・・・・そう、そこだ!」
「雑種が!今更策を弄そうが遅い!」
 絶対に、この距離なら、如何なる避け方をしようが避けることはできない。そう、確信した、はずだった。
 何故か、剣は空を切った。ギルガメッシュは、自分が絶対に当てられる距離で剣を振ったはずだった。それは、完全に空を切っていた。
「なに!」
 ギルガメッシュは、虚をつかれ、崩れた体勢を直した。そのはずだった。
 何故か、立つことができない。
「やった!触ったぞ!ギルガメッシュの影に触ったぞ!」
 何故か鎧がひどく重い。それどころか、剣すらも持てない。
「な・・・・・バカな!?」
 頭上で、男が醜悪な響きの笑い声を上げる。

「(まずい・・・我・・・我?・・・じゃなくて、僕じゃあ、あのおじさんには勝てない・・・どうしよう・・・・クッ、逃げるしかないよ!)」
 ギルガメッシュは、シャツとズボンの裾を切り裂き、放った。それでも、冷たい風が服の間を吹き抜ける。およそ、十二歳くらいの体だろうか。
「うひゃ、ふひゃ、あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!ギルギルちゃ~ん、ほらほらどうしたんでちゅか~!?早く逃げなきゃ挽肉になっちゃうよ~!?」
 さっきまで、ズタボロに蹴り飛ばされた反動か、アレッシーは歓喜の笑みを浮かべながら斧を振り回して突撃する。
「や、やめてください!アレッシーさん!」
 その、大人びた雰囲気はしっかりと携えていたものの、あまりにも弱々しい口調に、思わずアレッシーは、プッ、と吹き出していた。
「・・・ぷ、ぶひゃひゃひゃひゃひゃ!や・め・て・く・だ・さ・い~?なんかアレッシーおじさん、ギルちゃんに悪戯したくなっちゃったなあ~?」
 アレッシーが、ベロベロと口の周りを自分の舌で舐めまわしながら、さらに歩み寄ってくる。ギルガメッシュは、恐怖を通り越して悪寒すら覚えていた。
「でもぉ、その前にぶっ殺しちゃおうかなあ!?」
 アレッシーは、斧を横切りに振り回す。咄嗟にギルが後ろに逃げたが、それが甘かった。斧の刃がない部分で、ギルの横腹に一撃を打ち込んだ。
「ううっ!」
 そのまま横っ飛びにギルガメッシュは転がっていく。重量がないに等しい子供の体では、完全に成すがままだ。
「おおっと、どこか切っちゃったかなあ?切れてないなら嬉しいなあ。もっと痛めつけられるからねえ!?」
 問答無用にアレッシーは斧を担ぐ。そして、空中に唾液を飛散させながら、もう一度突進をする。
「けえどお、これで死ねやぁぁあああああああああああああああ!」
 瞬間、アレッシーの斧に鈍い光が反射する。そこには、恐怖に顔を凍りつかせるギルガメッシュの顔が映っていた。
 しかし、ギルガメッシュも、決して無抵抗なだけの子供ではなかった。瞬間、眼光を鋭く光らせた。
「なぬ!?」
 一瞬、アレッシーはその眼光に射抜かれた。そこに、虚と隙ができた。斧の軌道が、少しだけ右にずれる。
「今だ!」
 ギルガメッシュは、その一瞬の隙をついて、アレッシーの股下を通り抜けた。アレッシーの斧は、地面に深々と減り込む。
「さっきのお返しです!」
 アレッシーの後ろに回ったとき、ギルガメッシュの蹴りが、アレッシーの股間を強打する。
「ほうっ!?」
 そのまま、くなくなとアレッシーは崩れ落ちる。それを確認すると、ギルガメッシュは踵を返して、走り出した。
 その後ろでは、アレッシーが股間を押さえながら、斧を抜こうともがいている。
「う、おおああああああああ・・・・・し、しかぁ~し、ギルくぅ~ん、さっきお前は俺の影を数秒踏んだ。もっと縮むぜぇ~・・」
 そして、さらにアレッシーはもがきはじめた。

「はあ、はあ、はあ、はあ・・・アレッシーさん、おかしすぎるよ・・・・うわ!また体が!」
 十二歳程度のギルガメッシュの体は、八、九歳程度にまで縮む。
「こんな・・・ダメだ。仕方ない、兄さんとリーダーに・・・・え~っと・・・・誰だっけ?ああ、記憶まで退化を始めてるのか!?」
 何時もなら、数里走っても息が切れないというのに、今は全然息が続かない。それでも人間よりはるかに多いが、精々、少し体力がある高校生程度。
「ダメだ・・・・どこかに逃げないと・・・アレッシーさんに捕まっちゃう・・・」
 藪を抜けて、塀を越えると、突然開けた場所に出た。
「あ・・・・あれ?あ、民家かな?・・・丁度いいや。ここに隠れれば・・・・」
「ちょっと!君、何をしているの!?」
 いまさら驚きはしなかったが、それでも幾らか虚を突かれた。
 改めて見直すと、中々広い家だった。(一般市民感覚では。ギルにとってはどうだったか)池も一つあり、家も大きな、風情のある和風の家だった。
「君!何をしているの!ここは人の家よ!」
 叱り付けるような口調で、しかし怒るような口調ではなかった。その女性は、ギルガメッシュに言った。その女性の傍らには、洗濯籠が置いてある。
 ギルガメシュは、しどろもどろといった口調で、その女性に言った。
「あ・・・あの、すいません。その、ちょっと理由があって・・・すぐに出て行きますから」
 そう言うと、ギルはそそくさと門の方に向かっていった。ところが、出て行こうとするギルガメッシュの服を、女性は掴んだ。
「ちょっと、貴方!」
 ギルガメッシュは、女性の方を向いて、言った。
「あ、あの、すいません。本当にすぐ出て行きますから・・・」
 しかし、女性は無理矢理ギルガメッシュの顔を自分の方に向かせて、厳しい声で言った。
「貴方・・・・全身怪我しているじゃない!それに服もボロボロ!泥だらけだし!怪我が化膿しちゃうわよ!」
「え・・・・・・でも」
「いいからいいから、今おばさんがお風呂にいれてあげるわ。早く泥を洗い流しなさいね」
 そのまま襟を掴まれて、ギルガメッシュは成す術もなく家の中に連れて行かれていった。

「(・・・・・なんでこうなったんだろ?)」
 裸にひん剥かれて、腰にタオルを巻かれて、ギルガメッシュは風呂椅子に座らせていた。
 その後ろでは、袖と裾を捲くったホリィという名前の女性が、ギルガメッシュの背中を流していた。
「ちょっと染みるかもしれないけど、しっかり流さないとダメ!我慢しなさいね」
「あ・・・はい・・・・あいたた・・・・・」
「男の子なら、我慢我慢!」
「はい・・・・」
 まことに変な展開だが、しかしこれはこれで都合がいい。さすがに民家にまでアレッシーは入ってこないだろう。
 今はここで、じっくりと戦略を練ればいい。いつまでもスタンドの効果が続くとも思えないし。
 と、玄関のチャイムが鳴った。
「ハ~イ。・・・ごめんね、ボク。ちょっとお客さんのところに行くから。う~ん、あ、そうだ」
 ホリィは、風呂場の扉を開けて、居間に向かって叫んだ。
「セイバーちゃん、ちょっとこの子、流しておいてくれる?」
 そのセイバーという名前を聞いて、少しだけギルガメッシュは変な気分になった。そういえば、その名前は知っている名前な気がした。
「(・・・・・・セイバー・・・・・その名前は聞き覚えがあるなあ・・・・?)」

 暫し鏡で顔を眺めながら、じっとギルガメッシュは考えた。どうやってアレッシーを倒すか・・・・?
 と、その鏡に、もう一人の人間が映りこんできた。金髪の、女性が映っていた。問題は、その女性―。
「あ、あわわ!ちょっと、貴女!」
 ギルガメッシュは、完全に狼狽した口調で、叫んでいた。
「え?どうしましたか?」
 その女性、セイバーとかいう女性は、胸にタオルを巻いているだけで、それ以外は裸だった。
「だ、だから、僕・・・・・・・・・!」
「ホリィに頼まれましたので・・・・・・・ん?貴方、どこかで会いました?」
「い・・・・・いやあ・・・・別に・・・・・」
「ならいいのですが。では、タオルで背中を流しますね」
 と、セイバーのしなやかな指がギルガメッシュの背中を這った。
「はうう!」
 ギルガメッシュは、情けない叫びを上げる。セイバーは、不思議そうな顔をするが、構わず背中を流す。
 と、それだけならまだよかった。もう一度、風呂場の扉が開いた。そこから、今度は紫の髪の女性がでてきた。
「あら、セイバー。ホリィが言っていたのはその子ですか?」
「ええ、ライダー。手伝ってくれますか?」
「はい、はい、分かりました」
 空条家に居候しているジョニィに付き合って暮らしているライダーが、際どい衣装のまま風呂場に入ってきた。
 そのまま、お姉さん二人による、まさにアヴァロンの泉に浸るような、天国のようで、それでいて非情な温もりが全身を襲う。
「(うう・・・・・なんか悲しい・・・・・・僕の体が小さいことが何かわからないけど悲しい!・・・けど・・・)」
 セイバーの胸が、ギルガメッシュの背中にあたったころで、ギルガメッシュは破顔した。
「(なんだか、なんだか嬉しい気がするけど、僕小さいから分からない!・・・・・・アハハハハハハ!)」
 そのまま顔まで泡まみれにされ、ギルは何も見えなくなった。
「(・・・・・・・いけないいけない!僕は王になるべき人間だ!こんなことにうつつをぬかしている暇はない!)」
 とはいえ、二人の指が背中を這う度、ゾクゾクとした電流が背中を走る。
「(・・・・・・・くう・・・・こんなことをしている間にも、アレッシーは近づいてるんだ・・・)」
 と、その時だった。
「・・・・・・・ここかな~?」
 その時、ギルの背筋に悪寒が蘇る。―――あの声だ。
「? なんですか?」
 セイバーがみなまで言い終わらない内に、突如風呂場の扉が破壊された。
「・・・・・・ペロペロペロ~ン・・・ギルく~ん・・・・入るよ~ん」
 破壊された扉の隙間から、醜悪な顔が現れた。――――――アレッシー。
「うふふふふ~、ギル君~、楽しそうなことをしているねえ。僕も混ぜてもらえるかなあ?」
 アレッシーが舌を垂らしながら、ゆっくりと風呂場に入ってきた。その手には、あの鈍い光を放つ斧が握られていた。
「女二人に子供が一人・・・・うふふふふ~、どこまで抵抗できるかな~?」
「キ・・・・貴様!?ホリィはどうした?!」
「ホリィ?あの女かなあ?アレなら、たっぷりと俺の影を浴びさせて、今頃玄関で転がってるぜ。あそこまで小さくされちゃあ、
 一体何分もつかなあ?赤ん坊よりも小さく・・・胚にまでなっちまったからなあ」
「・・・・・・まさか・・・・・・よくも!」
 ライダーが、アレッシーに一歩踏み出した。
「それを待っていたあ!セト神の影を喰らえぇぇぇぇぇ!」
 瞬間、真っ黒な影がライダーの体を覆った。
「え!?」
 二つの巨大な眼が、ライダーを睨む。ライダーは、思わず、目を覆った。
「さあて、どこまで小さくなるかなあ!?・・・・・・・・・・・・・・・あれ?」
「・・・・・・・・・・・・なにも起きませんね?」
 途端に、アレッシーの額から冷たい汗が流れる。
「バ、バカなあああああ!?どうして、どうして小さくならない!?」
 暫し、口に手を当てて考えていたライダーは、一言囁いた。
「貴方の能力は、相手を幼くする能力のようですね・・・・数千の時を刻む神話の生物に、そんな攻撃が聞くとでも?
 アレッシーは、キョトンといった表情になった。それが絶望に歪む前に、ライダーの平手打ちがアレッシーに飛んだ。
 そのままゴロゴロとアレッシーはタイルの上を転がる。
「あぎゃあ!・・・・・さ・・・作戦失敗!?・・・・・いや、まだだ!」
 アレッシーの影が、今度はセイバーの方に動いた。
「セイバーさんが・・・・・子供になる!」
 ギルガメッシュが叫ぶ。しかし、時既に遅し。
「貴様は真人間のはず・・・・・さあ、女子供にどんな抵抗ができる!
 そのままただのガキになっちまえ!子供に剣が持てるかああああああ!?
 うは、
 うは、
 うはははははははははは!!」
 途端に、セイバーの体が縮み始めた。一気に七、八歳までに落ちる。
「俺の勝ちだぁーッ!これでサーヴァント二人殺すのは確実!
 依頼主さんよォーッ!たんまり礼金ははずんでもらいまっせーッ!!」
 その瞬間だった。セイバーの姿が消えた。まるで、どこぞの猫のように、すばやい動きでそこから消える。
「え?」
 次の瞬間、アレッシーの背中から血が噴き出していた。そこには、インビジブル・エアの剣をもって跳躍した、幼いセイバーの姿。
「・・・・・・・・・・子供の頃から、剣の使い方はマーリンに習っていました。この程度、扱えない筈がありません」
 薄れゆく意識の中、アレッシーは呟いた
「そんな・・・・英雄は・・・・・・・子供のころから・・・・英雄・・だったのか」
 
 
 「…………
  …………
  ムニャ ムニャ ムニャ
  …………
  …………
  は!」
 再びアレッシーが目覚めた時、そこには、元の大きさのギルガメッシュが立っていた。
「まだ生ぬるいな。さあて、覚悟はできたか?
 ゲート・オブ・バビロン!」

「破壊と嵐のセト神」のスタンド。アレッシー38歳 独身。 串刺しにされて再起不能 。
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