神と呼ばれた戦士達《バーサーカーＶＳワムウ》 - ジョジョの奇妙な聖杯戦争

430 名前： マロン名無しさん 2006/03/18(土) 11:59:42 ID:???

　血潮が高ぶり始めていた。
　英雄の時代―現世の幾星霜もの昔に生まれし英雄、バーサーカー。その生涯は、栄光と、勝利と、狂気に彩られた数奇な運命であった。義母に疎まれ、赤子のころから蛇を握りつぶし、兄弟に忌避され、12の試練をこなした。
　生涯に一度の安楽も休息もなく、闘いの歴史が、彼の人生であった。
　だが、今目の前には、己以上の戦の歴史をもった敵がいる。神々の時代から生きつづける戦士―なぜ昂ぶらずにいられよう？
「■■■■■！」
　迷わず、本能のままバーサーカーは破壊槌を振り下ろした。ほんの少しでもこめかみを掠めれば、ネメアに潜む暴君獅子をも殺すであろう。
「ほお、原始人にしては見事な力だ。だが！」　
　十人並みの戦士であれば、咄嗟に避けるか、それを諦めて、受け止めるだろう。だが、どちらも外れだ。バーサーカーの豪腕が振りかぶったのを見た時点で、勝負はついているのだ。
　だが、その男は、期待に外れぬ戦士であった。逆に、思いっきり前に出た！だが、射程内に入っていれば、バーサーカーの有利には変わらない。
　しかし、バーサーカーは一瞬判断を鈍らせた。敵の行動故にではない。消えたのだ。敵が消えた。破壊槌は、地面を穿ち、破壊し、新たな陥没を作り出した。だが、バーサーカーはすぐさま破壊槌から手を離した。次の攻撃に備えるためだ。
「■■■■！！」
　バーサーカーは辺りを見回した。何処にもいない。辺りには、自分の脈動以外、なんの音も―。
↓へ

433 名前： マロン名無しさん 2006/03/18(土) 12:12:09 ID:???

　バーサーカーは、咄嗟に己の胸を見た。そこから、2本の腕が突き出ていたのだ。
「奥義・・・神砂嵐！」
　2本の腕が、回転を始める。歯車的小宇宙―バーサーカーといえど、零距離で直撃を受ければ、ただではすまない。
　だが、バーサーカーとてただの戦士ではない。バーサーカーは己の胸板を掴んだ。
「■■■■！！」
　そして、己の胸を引きちぎったのだ！その瞬間、敵の姿をバーサーカーは捉えた。己の肉と同化しているところであった。それも引きちぎる。己の鮮血と臓物が飛び散る。
「■■■■！！」
　－それがどうした。バーサーカーは敵を掴み、そのままフェンスへと力の限り放り投げた。
「ぬお！自ら体を破壊するとは！！」
　轟音と地鳴り―土埃と瓦礫。常人ならば、死亡するほどの力であったことは、明確であろう。
　常人ではない。敵は衝突の瞬間に全身の骨格を自ら破壊し、衝突のエネルギーを減少させたのだ。
　土煙の中から、その男はゆっくりと立ち上がった。その唇は真一文字に、眼は鋭く光っていたが、バーサーカーには分かった。
　歓喜の表情だな―バーサーカーには、それが分かった。
「見事だ。戦士よ。貴様には、誇りある我が名を教えてもよかろう」
　しかし、みなまでバーサーカーは聞いていなかった。
「■■■■！！」
　バーサーカーの昂ぶりは頂点に達していた。獅子を狩り、水蛇を狩り、鋼鉄の野鳥を狩り、百頭の龍を狩り、地獄の番犬も狩り―。
　そして、今度は神と呼ばれた生命だ。バーサーカーには明確な記憶は残ってはいなかったものの、本能が過去の栄光を記憶していた。
　バーサーカーの容赦ない突進―だが、その男は笑っていた。闘いはこうでなくてはならない。本能のまま、強者との戦いの喜びに身を任せて闘うのだ。
　そして、男は誇り高き己の名を叫ぶ。
「我が名はワムウ！往くぞ！狂戦士よ！」