ジョジョの奇妙な聖杯戦争

バイツァダスト?

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564 名前: マロン名無しさん 2006/03/19(日) 21:51:00 ID:???
「今だ、セイバー!射程に奴を押さえているのはお前だけだ!」
「分かっている!承太郎!エクスカリバー!あの殺人鬼を貫け!」
 チェックメイト―キャスターもそれを自覚した。もう、魔術の構成を編む精神力は残されていない。浩作が助かる術はない。いや、もう死んでいるのかもしれない。今はまだ生きている―それだけの話だ。だが・・・それでも・・
「浩作・・・・・ッ!」
 キャスターは砕かれた足を引きずり、血飛沫が断続的に吹き出る片腕を抱えて、川尻浩作の元に這っていった。しかし、セイバーの剣は、既に鋼の稲妻を纏いつつあった。
「浩作・・・!まだ間に合う!早く、キラークイーンで!」
 しかし、浩作は虚ろな目で、キャスターの瞳を覗き込み、静かにキャスターにしか聞こえない声で囁くだけだった。
「ふうううう・・・・キャスター。私の本当の名前は、吉良吉影と言うんだよ。そろそろ君の本当の名前を教えてもらえるかな?」
 え?と完全に虚を突かれた顔になり、キャスターは浩作―否、吉影の口元に耳を寄せた。
「・・・・なんだ?承太郎!?川尻浩作は何をしている?」
 魔力は完全に収束している。しかし、何か様子がおかしい―川尻浩作は、何時も異常な手段でその状況を乗り切り、平穏を手に入れた。だが―あれは―・・・?
「なに・・・・?・・・しまった!セイバー!早く奴を撃て!奴に『スイッチ』を押させるな!」
 だが、キャスターの耳元で、完全勝利の歓喜に震える川尻浩作の唇を、セイバーは確かに見た―見てしまった。
 キャスターの耳元で、浩作は囁いた。
「その・・・ふふ、ちょっと下品なんですが・・・勃起・・しちゃいましてね・・・・」
 カチリ。

↓へ
 



565 名前: マロン名無しさん 2006/03/19(日) 22:16:37 ID:???
 夜道を、一人の男が歩いていた。冴えないスーツの、冴えないネクタイ。冴えない髪型であったが、しかし、何故かその男が身につけると、どれも一級のブランド品のように見える。
 誰もいない夜道。辺りは不安になるほど静か。普通のサラリーマンなら、冴えない顔で会社のノルマを思い、ため息を吐くだろう。
 しかし、その男の顔は、静かな歓喜に包まれていた。
「ふ・・・・ふふ・・・・ふふふふ・・・あーっはっはっはっは!」
 男は笑った。近所の人間がみな起きるのではないかと心配になるほどの声で笑った。
「勝った・・・私の勝ちだ!最高の英霊とやらも、世界最強のスタンドも、私の前から消えてなくなった!これでどうして笑わずにいられる!?近所の連中にどう思われようか知るものか!今だけは笑うぞ!なあ、キャス・・・キャスター?」
 辺りは静かだった。誰もいない。何処かの塀の上で猫が鳴き、車が通り過ぎていく音が聞こえたが、やはり誰もいなかった。
「・・・どうした?キャスター。どこにいるんだ?キャスター?キャスター?キャス・・・ター・・・?とは・・・・誰だ?どんな女性の名前だ?・・・女性?何故女性と分かる?キャスター?・・テレビ局の人間か?」
 川尻浩作は、何故かとても綺麗な手を思い出した。しかし、それがキャスターという単語とどういう繋がりがあるのか思い出せなかった。
「キャスター・・・メディア・・・誰だ?・・・まあいいか。・・・さて、と」
 鞄を持って、川尻浩作は歩き始めた。それにしても、そろそろ新しい『彼女』が欲しい。どこで『口説く』ものか、と、これからことについて考え始めた。
 と、道の向こうに、フードを被った誰かが立っているのを見た。

 刑務所のマックイイーンの宿直室。そこで、マックイイーンはどうやって自殺したものか、と考えていた。
 それを、黒い誰かが一瞥した。滑稽な顔で縄やら水道を眺めるマックイイーンを眺めていたが、興味が失せたようで、そのまま囚人の懊悩が満ちる刑務所の中へと消えていった。
 まるで、そこが己の居場所かというように。


(アンリについての引き出しがないことを勘弁w)
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