ジョジョの奇妙な聖杯戦争

VSチョコラータ&バーサーカー

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764 名前: マロン名無しさん 2006/03/21(火) 20:23:45 ID:???
 阿鼻叫喚。まだ『血の海』と表現できた方が、気が楽な話だったのかもしれない。
 ある者は己の開かれた腹腔から、すっかり腐敗した自分の腸を覗き込み、あるものは、必死にこの地獄から逃れようと手のない腕でもがき、逆に己の体を虚しく削り続けていた。
 その地獄絵図を、承太郎はスタンドのパワーで、同時にセイバーの力を借りて空から眺めていた。
「さすがにこれは・・・」
「これはクレイジーだな・・・そういえば、SW財団からの報告にあったな・・・黴を使い、虐殺をするスタンドとやらがな。高いところから低い位置に移動するエネルギーで発生するスタンドらしい」
「黴?」
「報告では、グリーンディとか言うスタンドらしい。本体チョコラータとかいう野郎で、そいつは敵対していた・・・まあ、なんだ、敵対していたマフィアが倒したらしいが・・・その死亡は完全に確認されていない」
「その男が・・・!?」
「ああ。あのバーサーカーとやらの本体だろうな」
 緑に染まる地獄の中を、バーサーカーが悠々と闊歩していた。この地獄の惨劇の元凶がここにあるのは、明確だ。
「しかし・・・それでは・・・本体はどこにあるというのです?バーサーカーは性質上、離れすぎると魔力の供給が覚束無い。そのチョコラータとかいう男の影も形も・・・魔力の反応も感じられない」
「・・・・地中に潜る力の男もいたそうだ。そいつと一緒に地下に隠れているということも考えられるな。どうする?セイバー」
「・・・どちらにしても、倒さなければならないのは事実です。行きます!」
「ふ・・・やれやれだぜ」
769 名前: マロン名無しさん 2006/03/21(火) 20:43:20 ID:???

「はあああ!」
 高位置より、一挙動でセイバーは剣を躍らせた。斬撃が、バーサーカーの胸を絶つ。
「これで倒せるとは思わないが・・・な・・これは!?」
 縦一文字に切り裂かれた傷口からは、一滴の血液も流れず、代わりに、毒々しい緑色の『黴』が生えていた。
「・・・これじゃあ倒しようもないな。どうする?セイバー」
「・・・く、倒さずに逃げるわけにもいかない!」
「・・・やれやれだぜ・・・む」
「■■■■■!」
 バーサーカーが跳躍した。承太郎とセイバーは、突進を予測し、咄嗟に身構えたが、バーサーカーは、真上に跳躍した。人外の肉体―数メートル高みにバーサーカーは達した。
「■■■■■!」
 バーサーカーの両の拳は組まれていた。それが地面に叩きつけられれば、相当のダメージになることは、容易に予測できる。
「そんな大雑把な攻撃!」
 セイバーはバーサーカーの落下点を避けて、持ち前の反射神経で横に跳躍した。だが、承太郎は別の攻撃に気がついていた。
「・・・まさか」
 承太郎は、スタープラチナにセイバーを掴ませて、飛翔した。
「承太郎!?」
「■■■■!」
 バーサーカーが落下した。地鳴り地響き瓦解断層。道路が、甚大な被害に襲われた。
「承太郎!一体何が!?」
「やれやれだぜ・・・まあ、丈助に治してもらうとして・・・どうしたものか」
 承太郎の両の足を見て、セイバーは息を飲んだ。爪先から数センチが、緑の黴に覆われて、腐敗していた。

781 名前: マロン名無しさん 2006/03/21(火) 21:16:05 ID:???

「く・・・私が判断を見誤ったようだ・・」
「今はどうでもいい。幸い、歩くには困らねえ。・・・不覚に思ってるなら、一度、俺の作戦に乗ってもらうぜ。・・・確かめたいことがある」
「・・・?」

 ゴキリ、と首の骨を鳴らし、バーサーカーは立ち上がった。
「おい、バーサーカー。私がいるんだ。もう少し気をつけて戦え。・・・まあ、口で言ってどうにかなるものではなかろうか」
「・・・・・」
 バーサーカーにしか、「絶対に」聞こえない声で、チョコラータは囁いた。
「くくく・・・だが、私はお前のことは決して嫌いではないぞ。セッコも従順な奴だったが・・・おまえは私の望み以上に動いてくれる。頼りにしているぞ、バーサーカー」
「■■■■■!」
 バーサーカーが咆哮した。
「どうした。バーサーカー・・・・・来たか。安心しろ。私がお前の傷を塞ぐ。貴様は死にはしない」
「はああああ!」
 再びセイバーは跳躍した。だが、一度受けた攻撃を、もう一度受けてやるほど、バーサーカーは青くない。斬撃は腕を斬ったが、そこで剣は止まった。
 骨に挟み、剣を止める―本能に任せた戦術を、咄嗟にバーサーカーは構築した。だが、セイバーもそれを見切っていた。剣を止められることを想定して斬ったので、斬り込みは浅い。すぐに引き抜き、横斬りの形に構えた。
「バーサーカー!切らせておけ!奴が攻撃の後にすぐに回避することはできない。そこを狙って叩き潰せ!」
「はあ!」
 軌跡を流麗に描き、バーサーカーの胸板を横に切り裂いた。
「ひゃぁああっはっはっはっは!無駄だ無駄だ!私に絶望を向けて死ねぇぇぇぇぇぇ!」
「スタープラチナ!」
 静止。
 世界が静止した。
 セイバーは剣を振り切った形で、バーサーカーは腕を振りかぶり、傷口には黴が広がりきる直前で止まっていた。
「俺のスタンドの力を信じてなきゃ、こんな真似はできねえからな・・・そして・・・オラァ!」
 拳を傷口に叩きこみ、さらに傷口を広げた。
「・・・・!・・・やはりか。スタープラチナ!セイバーを抱えて逃げろ!」
 そして時は動き出す。
「・・・く!」
「■■■■■!」
「ぎょえぁぁぁあああああ!」

784 名前: マロン名無しさん 2006/03/21(火) 21:32:00 ID:???


「ぎょえぁぁぁぁぁぁああああ!」
「っく!次は攻撃は・・・!・・・?承太郎?成功したのですか?」
「ああ・・・見な、まさかとは思ったが、予想通りだった。・・・マジにサイコ野郎だぜ・・・」
 ざっくりと裂けたバーサーカーの胸板。そこには、チョコラータがいた。いや、埋まっていた。
「ぁぁぁぁぁぁぁ・・・・っくっくっく、どうした?その不思議そうな眼は?ブルーベリーが足りないのか?
子供の頃に、近所の生意気な犬の腹を割いて、そこにハムスターを埋めてやったことがあってなあ・・・・その犬はその後も何度も解剖してやったが、
結局天寿を全うしたよ・・・腹を触ってやる度に、何かが動いていたっけなあ・・・子供のころから、自分の体を解剖して、体の何処が空洞になっているのか、よおく分かっていたしなあ。
自分の体を生かしてバラバラにできるのに、他人の体の中にもぐりこむくらい、訳ないに決まっているだろう・・・?」
「・・・・最低のゲス野郎だな・・・」
「貴様・・・・」
「バーサーカーの体は、世界でもっとも安全な鎧だしなあ。さあ、バーサーカー!もう一度」
「スタープラチナ!」
 再び世界が静止した。
「講釈を垂れてる時間があったら、とっとと傷を塞ぐんだったな・・・オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」
「ヤッタラバアアアアアァアアアアアア!」
グシャア
 そのままバーサーカーの体を突き抜けて、チョコラータはすっ飛んでいった。そして、看板が立てかけてあるコンポストへ落下していった。
「生ゴミは、明日の食事の肥料になります」

 それから数日、空条邸でセイバーは、ご飯は数倍食べたものの、サラダと御浸しは少しも食べなかったとか?

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