中央関東鉄道DF901型ディーゼル機関車
武蔵野鉄道足尾線に使用する機関車の試作機として1979年に登場した電気式ディーゼル機関車
開発の経緯
武蔵野鉄道は1964年の足尾線買収当時から貨物列車に国鉄DD13と同型のディーゼル機関車を使用してきた。しかし、1970年代後半になると輸送力が不足し、急勾配で酷使した影響で故障車が続出しはじめた。急遽新型ディーゼル機関車を開発する必要が生じた。
以下の思想で開発することとなった。
従来の重連での運転を無くすために大出力のエンジンを1機搭載することとし、駆動装置は大型の液体式変速機の開発が困難であることから電気式とする。従来の電気式ディーゼル機関車は直流発電機を使用しているため、重量あたりの出力が小さく保守も大変であった。そのような問題を無くすため主発電機は三相交流発電機とし、サイリスタで位相制御することで粘着性能向上を狙う。連続下り勾配を安全に下れるようにダイナミックブレーキを可能とする。
台車は重量軽減のため軸配置C-Cとすることを考えられたが横圧軽減のため軸配置AAA-AAAとする。
搭載機器が多いことから車体は箱型とする。
上記のことを踏まえ1979年に赤羽車輌製造で当機は製造された。
機器の概要
エンジンは国鉄DE50型用に開発されたDMP81Zを小改良したDMP81ZAを搭載。最高出力2000PS/1500rpmであるが連続使用を考慮して1800PS程で運転するように調整した。
主発電機は定格出力1300kWの三相交流発電機を使用し性能向上とメンテナンスフリー化を図った。
主電動機は215kWの直流直巻電動機を6基搭載した。
主制御器はサイリスタによる三相ブリッジ2組で位相制御により電圧を制御する構造である。
ブレーキ装置は機関車標準のSE14系と、主電動機を発電機として運転し主発電機をモーターとして駆動しエンジンで力を吸収するダイナミックブレーキを装備する。
台車は国鉄DE50型のDT141に主電動機を搭載できるように改良した軸配置AAAを採用。
車体は軽量化のために各所にFRPを使用した両運転台構造の箱型である。
試運転と改良
落成後DF9000として直ちに武蔵野鉄道で試運転が行われた。エンジンや電気関連機器に問題は無く粘着性能も25‰で400t列車の牽き出しが可能と優れていたが軸重が15.5tと重く武蔵野鉄道足尾線で使用するには軸重過大であった。このためエンジンを大幅に軽量化したDMP81ZBとし、ラジエーター等も軽量化して軸重を15tに抑える改造をして足尾線で営業運転を開始した。
武蔵野鉄道での活躍
量産型のDF5000型と混じって足尾線で薬品を満載した貨物列車や特急・普通客車列車牽引に活躍したが試作機ということと貨物列車の減少により余剰となり1985年に中央関東鉄道に譲渡されることとなった。
中央関東鉄道での活躍
DF901に改番された程度で目立った改造は無く中央関東鉄道では主に牛滑線の工事列車や臨時貨物・客車列車に使用された。
2005年に機関を新潟鉄工製の1800PS/1500rpmに改装した。
現在、定期運用は無いものの工臨や臨時客車列車等に使用されている。登場から30年が経過し今後の動向が気になる。