東名首都圏電気鉄道2300系電車
2300系電車(2300けいでんしゃ)は、1994年登場の東名首都圏電気鉄道の近郊形直流電車。
本稿では派生番台である1000番代・2000番代・2500番代・5000番代・5500番代・6000番代、試験車の9000番代に関しても記述する。
共通主要諸元
設計最高速度 | 195km/h |
全長 | 先頭車:20,100mm 中間車:20,000mm |
全幅 | 3,000mm |
全高 | 4,120mm |
車体長 | 先頭車:19,670mm 中間車:19,500mm |
車体幅 | 2,950mm |
車体高 | 3,640mm |
床面高 | 1,130mm |
軌間 | 1,067mm |
電気方式 | 直流1,500V |
歯車比 | 1:6.53 |
駆動装置 | WN平行カルダン歯車形たわみ軸継手方式 |
電動機 | かご型三相誘導電動機 |
ブレーキ方式 | 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ (応荷重、遅れ込め制御、直通予備、救援、耐雪、抑速、発電ブレーキ付き) |
保安装置 | ATS-SW・東名CS-ATC・ATC-IM EB・TE装置・列車防護無線装置 |
概要
2000系に続く自社設計の近郊形電車として開発された車両である。全長20mの車体に片側に3個の乗降扉、転換クロスシートの座席という設計思想はそのままに、1000系で培った軽量ステンレス車体とかご形三相誘導電動機・VVVFインバータ制御が新たに採用された。
2000系では性能調整を2種類の電動車ユニットを用意することで行っていたが、本系列では機器類を1両の電動車に集中させて、それを2~3両に1両程度の割合で連結するとして編成組成の自由度を向上させている。
1993(平成5)年から2008(平成20)年の15年間という長きに渡り、投入線区や運用を反映して様々な設計変更や仕様変更を行いながら製造され、東名首都圏電気鉄道の近郊形車両のイメージを確立した。後継車である2500系が登場した現在でも近郊形車両のエースとして全路線で活躍している。
番台別解説
0番代
1994年の空港線への直通快速新設に併せて、成田空港アクセス用の空港快速に使用するために1993年から1994年にかけて6両編成9本(54両)と2両編成7本(14両)が新造されたグループである。全車が成田電車区に配置されている。
車体はビードと呼ばれる棒状の補強構造のないステンレス製で、当時としては2000系と同配置の連窓(ドア間6、車端2)やビードのない外観を確保しつつ車体強度・剛性を維持するため、若干厚めの外板が用いられている。
前面は新設計の半流線形となり、塗装も銀の金属地に晴れ渡る空をイメージしたブルーグレーのグラデーションのステッカーというものが採用された。145km/h運転時の安定性確保のため、車高は2000系より6cm低く抑えられている。冷房装置はM-AU702B。
室内は2000系に準じた転換クロスシートが設置されているが、2000系が茶色い国産の座席なのに対し、本系列は外部に合わせた空色のノルウェーからの輸入品が設置されていた。座席配置も空港利用客の大型荷物の持ち込みに備えて、座席は車端部を除いて1列あたり2+1人の3人掛けとされ、1人掛け座席の肘掛け下には荷物を固定するためのワイヤーが備えられた。2000系で車体妻面に設置されていたLED式の旅客案内表示装置は、客用扉上と妻面貫通扉上への設置に変更された。これによって1両当たりの設置数は2000系の2ヶ所から8ヶ所に増加している。内壁は白色、窓の仕切りは銀色である。
1000系で採用されたドアチャイムやミュージックホーンといった装備は引き続き設置されている。ドアチャイムは製造当初同系列前期製造分と同様に閉まる時のみに鳴っていたが、現在では開く時も鳴るように改良されている。また、ミュージックホーンは他形式車と同様に運転席下部のペダルを軽く踏むとミュージックホーンだけが、強く踏むと通常の空気笛が同時に鳴る仕組みとなっている。
関西国際空港開港に伴う航空機のダイヤ修正に併せて実施された9月4日のダイヤ改正で空港快速としての運用を開始した。当初、一部列車では新宿発着の6両編成と溜池山王発着の2両編成が東京駅で分割・併合を行う運用が行われた。
1999年5月10日にはダイヤ改正を行い、新たに新宿~銚子間に武蔵路快速を設定した。それに伴い、成田空港方面と銚子方面で輸送力を適正化するためにこれまでの6両編成と2両編成から、5両編成と3両編成に組み替えられた。この際、先頭車が4両(クモハ、クハ共に2両)不足したため、後述の2500番代が製造されている。
2008年3月16日のダイヤ改正から併結順の固定と編成両数の統一による異常時のダイヤ回復を早くするため、これまでの5両編成と3両編成から4両編成に組み換えられることとなった。この編成組み換えは3月13日に全て終了し、3月15日から4両編成での営業運転を開始した。
また、編成組み換えと同時にM車の電動機がWMT100BからWMT102Cに交換された。この主電動機交換によって、0番台はこれまでの1,440kW(1基当たり180kW)から1,840kW(1基当たり230kW)に編成出力が向上している。
また、編成組み換えと同時にM車の電動機がWMT100BからWMT102Cに交換された。この主電動機交換によって、0番台はこれまでの1,440kW(1基当たり180kW)から1,840kW(1基当たり230kW)に編成出力が向上している。
0番代主要諸元
両数 | 4両(2M2T) |
起動加速度 | 3.0km/h/s |
営業最高速度 | 150km/h |
定員 | 座席40・立席90(トイレ付先頭車) 座席44・立席88(トイレ無先頭車) 座席52・立席91(中間車) |
編成重量 | 135t |
主電動機 | 230kW(M-MT102C) |
制御装置 | 3レベルGTO-VVVFインバータ制御 M-PC4(1C1M) |
1000番代
新快速の最高速度160km/h運転に対応させる目的で製造されたグループである。
当初は1996年春頃の投入を予定していたが、223系1000番代が阪神・淡路大震災後の輸送力増強のため前倒しで製造されることになったため、それに併せて製造が行われ、同年夏に投入された。1次車として8両の基本編成(W編成)と4両の付属編成(V編成)各4本(計48両)が川崎重工業・日立製作所・近畿車輛で、1997年には2次車として同仕様の基本編成5本と付属編成1本が川崎重工業と近畿車輛で追造され、総計92両が在籍する。W2編成は2300系シリーズ唯一の日立製車両である。
各部の構造が0番代から大幅に変更されている。前面は前照灯が角型4灯(白・黄2灯ずつ)に、側面はビードが付けられ、扉間の窓は6個から5個に減らされてこの部分の戸袋窓がなくなった。帯色は都心をイメージした白、東名首都圏電気鉄道コーポレートカラーのダークメタリックブルー、海をイメージした水色、新快速コーポレートカラーであるライトパープルの4色帯となり、戸袋部分にはダークメタリックブルーの帯が貼付された。冷房装置は電動車はM-AU705。付随車は低重心化のため機器を屋根上と床下に分散させたセパレート型のM-AU304を2基搭載に変更された。
車内は、座席が0番代の1+2人掛けから一般的な2+2人掛けに変更されるとともに、混雑対策のため扉間の座席数が6列から5列に減り、出入口のスペースが拡大されている。また、各部の色が0番代の青からベース車の223系1000番代に合わせた茶に変更されている。
座席数は減らされたが、代わりに転換ができない固定座席の背面に収納式の補助席が装備された。すべての補助席使用で1両あたりの座席定員が1000系より16席増えるので、昼間時の着席需要にも対応している。この補助席は中央扉では両側の固定座席の背面にあるが、両端の扉では中央寄りの固定座席の背面にしかない。このため、ホームで列車を待つ時に補助席の多い中央扉の乗車位置を狙う乗客も存在する。
補助席は混雑防止のため、平日ラッシュ時など多客時には車掌室からロックが掛けられ、使用できない構造となっている。ロックが掛かっている時は座席上に設置されている「使用不可」を表示するランプが点灯する。
前倒しで投入されたため、WN継手から騒音や振動が発生したり、車両が発生する電気ノイズで近傍を走行する600系の保護回路を誤動作させて緊急停止させてしまうなどの初期不良があったが、現在ではこれらの問題点は対策済みである。なお、WN継手に関しては2008年2月2日から6000系で採用された新タイプのものに交換が開始され、5月9日に全車の交換が完了している。
1000番代主要諸元
両数 | 4両(2M2T) 8両(3M5T) |
起動加速度 | 3.3km/h/s |
定員 | 座席44 |
編成重量 | 270.3t(8両編成) |
主電動機 | 220kW(M-MT102A) |
制御装置 | 3レベルPWMIGBT-VVVFインバータ制御 M-PC7(1C1M) |
2000番代
1000番代の増備車として、コストダウンを図り、大量に製造されたグループである。1999年から2008年まで川崎重工業、近畿車輛、東名車輛で製造された。
車体構造は、従来の骨組み工法からJR東日本のE217系などで採用されている外板自体に強度を持たせる2シート工法に変更され、外観では再び側面のビードがなくなり、1000番代では車端部に残っていた戸袋窓が廃されている。その代わりとして車端部の窓が拡大されている。また、将来の改造を容易にするため、先頭車の側面第1ドアより前と全車両の妻面部は別扱いで組み立てられ、本体にボルトで後付けする方式が採用されたのも特徴である。これにより中間車⇔先頭車の改造が妻面部の交換のみで簡単に行えるようになった。運転台構造は基本的に1000番代を踏襲するが、それまで前面ステップ端面に取り付けられていた尾灯が前照灯直下に移されている。
このグループではバリアフリー対策が従来より強化されている。トイレはJR東日本のE217系などとほぼ同一構造の車椅子対応の大型タイプとなり、向かいには新たに車椅子スペースが、車端部の連結面には落下防止幌が設置された。車椅子スペースには車椅子で使用できる高さの手すりと壁に沿ったヒーターがある他は、座席のない空きスペースである。
補機類は容量がアップされ、従来の1個あたり3両から4両対応として個数の削減が図られている。冷房装置は新型台車の採用により重心が下がった事によりセパレートクーラーは廃止され、M-AU705Aに形式変更・統一された。
コストダウンの一環としてメーカーごとの工法の差がある程度許容されており、製造メーカーによって妻面のビートの有無(川崎重工製はあるが、近畿車輌製はない)など、細部の形状が異なっている。
- 1次車
2000年の新快速使用車両の1000・2000番代統一を主目的として2002年まで製造されたグループである。8両編成18本と4両編成23本の計236両が製造された。なお、編成記号は1000番代と同じく8両編成がW編成、4両編成がV編成で、編成番号は1000番代の続番となっている。
2シート工法でも窓を下降式にすること自体は不可能ではないが、隙間風による騒音防止のため、扉間のうち2つ目と4つ目の窓が非常用に開閉する内倒れ式とされた。この部分では上から5分の2程度の部分に黒い桟が入っている。また、窓周りの青い部分が上下に拡大され、窓周囲が青色で囲われる形になっている。
ただし、コストダウンが行われたのはその部分のみで、それ以外は1000番代から一切変更されていない。なお、東芝製VVVFインバータ搭載車は2次車登場後にインバータ装置のソフト変更で純電気ブレーキを装備する改造を施されている。
- 2次車
快速に残っていた旧型の300系・700系の置き換えのために2003年に投入されたグループである。8両編成5本・4両編成7本と快速を中心に使用するために新たに6両編成2本(J編成)の計80両が製造された。冷房装置は2次車以降M-AU705Bとなっている。
製造当初から窓ガラスが緑色のUVカットガラス化され、EB装置やTE装置も装備している点が1次車からの変更点である。
製造当初から窓ガラスが緑色のUVカットガラス化され、EB装置やTE装置も装備している点が1次車からの変更点である。
- 3次車
朝ラッシュ時の快速の本系列統一に向けて2004年に投入されたグループで、8両編成6本・4両編成17本と6両編成8本の計164両が製造された。また、予備車の確保のために2005年に投入された4両編成2本計8両も3次車に含まれている。
このグループより排障器が鉄板の量を増やした強化型となり、従来の車両も順次改良された。その他の構造は2次車から変化がない。
- 4次車
新快速の増発のために2006年に投入されたグループである。8両編成1本・6両編成2本・4両編成3本の計32両が製造された。
速度計・蛍光灯カバーが1300系と共通の部品となっている点と、補助席の稼動表示以外の標記類がプレートからステッカーに変わり、消火器や非常通報ボタンの標記デザインが変更された点が3次車からの変更点である。ただし、1300系では蛍光灯カバーとつり革支持棒が一体化されているが、本系列では別取り付けとなっている。
- 5次車
2007年から製造されているマイナーチェンジ車である。2007年4月13日から営業運転を開始し、計画では84両が製造される予定である。同年10月現在、V編成(4両)とJ編成(6両)のみであり、W編成(8両)は製造されていない。
側面窓の2枚目と4枚目が下降式になり、窓周りの青い部分が上下に縮小されて1000番代の側面と同じ意匠になった点が4次車からの変更点である。また、ドア開閉チャイムの音源が変更されて音程が低くなっている他、前面貫通扉の窓が少し小さくなっている。
- 6次車
6000番代(品川車)の項目を参照。
2000番代主要諸元
両数 | 4・6・8両 |
定員 | 712(立)+424(席)=1,136名(8両編成) ※補助席16席は含まない |
編成重量 | 275.6t(8両編成) |
主電動機 | 1~5次車:220kW(M-MT102B) 6・7次車:230kW(M-MT102C) |
制御装置 | 3レベルPWMIGBT-VVVFインバータ制御 1次車:M-PC10(1C1M) 2次車以降:M-PC13(1C1M) |
2500番代
- 1次車
先述したが、0番台の編成組み替え時に、2本分の両先頭車、計4両が不足したため、補充として製造されたグループである。よって、クモハ5000とクハ5100が各2両のみ存在し、単独で編成を構成する車両は無く、0番代と編成を組む。
この4両は0番代製造から時間が経過していため、当時量産が続いていた2000番代(1次車)の機器類や車体構造が流用され、内外共に0番台とは大きく異なることから新たに2500番代と区分された。よってこのグループは前照灯がフォグランプ付きの角型4灯で、窓は扉間に内倒れ式2枚を含む5枚となり、戸袋窓は廃止されている。
各部の配色は0番代の空系が踏襲されているものの、形状や経年の違いから異なる部分も多い。窓周りには2000番代の青帯にあたる、パールブルーの帯が入れられており、座席の色は空色だが、2000番代と同じ国産で、車体の窓配置の関係で扉間の座席数が0番代よりも1列少ない5列である。一方で、2000番代と同様に補助席が設けられたたため、座席定員は0番代よりも増加している。
一方でトイレは車椅子対応となり、トイレ前に車椅子スペースが設けられ、連結面には転落防止幌が取り付けられるなど、バリアフリー対策は徹底されている。ただし、転落防止幌については隣接する0番代車は長らく未設置のままであったため、2007年に設置工事が行われるまでは役割は不完全であった。また、車外アナウンスの際は車内にも同時にそのアナウンスが流れるようになった。
- 2次車
予備車補充のため、2006年に2500番代のみによるフル編成として製造されたグループである。編成全てが新造であるため、2500番代として初めて中間車が設計された。5両編成と3両編成各1本・計8両が川崎重工業で製造され、2007年2月5日より運用を開始した。
基本的な形態は1次車に準じているが、2000番代での各種の改良が取り入れられ、窓ガラス色や蛍光灯カバー形状などに変更が加えられている。また、当時は0番代への転落防止幌設置工事が未着手であったため、成田電車区(現:綾瀬総合車両所成田支所)の3000系シリーズでは初の完全な転落防止対策がなされた編成となった。
- 3次車
2007年より、成田電車区(現:綾瀬総合車両所成田支所)所属車の増車と既存の5両・3両編成の4両化のため、近畿車輛で比較的まとまった数が製造されたグループである。投入の目的上、4両編成で製造された車両はごくわずかの5編成に留まり、既存編成との混結を前提にクモハ-モハ-クハの3両編成やモハ単独で製造された車両があるほか、少数ではあるがクモハ-モハ-モハ-クハの4両編成で製造された車両があるのが特徴。2008年3月14日より営業運転を開始した。
2次車から更なる改良が加えられ、同時期の2000番代(5次車)に準じた仕様となった。よって、窓周り帯が細くなるなど、外観にも大きな変化が発生している。また、先述の通り方向幕や自動放送装置は当初から仕様変更されたものを搭載しており、組み換え時に既存の0番代、2500番代も同じ仕様に変更されている。
2500番代主要諸元
両数 | 4両 |
定員 | 378(立)+172(席)=550名 ※補助席12席は含まない |
編成重量 | 140.6t |
モーター出力 | 1・2次車:220kW(M-MT102B) 3次車:230kW(M-MT102C) |
編成出力 | 1・2次車:220kW×8=1,760kW(4両編成) 3次車:230kW×8=1,840kW(4両編成) |
制御装置 | 3レベルPWMIGBT-VVVFインバータ制御 1次車:M-PC10(1C1M) 2次車以降:M-PC13(1C1M) |
5000番代
新たに下田線直通の快速「マリンライナー」を設定するに当たって投入されたグループで、2003年に2両編成14本(計28両・P編成)が川崎重工業で製造された。その後、2008(平成20)年3月22日のダイヤ改正で東名本線の快速列車のスリム化が行われた際に、快速「マリンライナー」は新快速に統合されて廃止されため、現在では下田線並びに東名本線熱海~静岡間の普通電車として主に使用されている。
基本的な構造は2000番代2次車を踏襲しつつ、様々な改良が施されている。前面は乗客が編成間を通行できるように貫通路が設けられ、1000番代や2000番代より平面的な形状となった。側窓は1000番代と同一の下降窓構造となり、窓周りの青色の部分は上下方向に縮小され、1000番代と同じデザインとなっている。
車内の変化としてはLED案内装置の下の広告スペースが拡大された点、英語の案内が英文になった(例:1000・2000番代:Next Tokyo→5000番代:Next stop is Tokyo.)点が挙げられる。その後、2008年に普通電車運用主体となった際に5500番代に合わせたワンマン対応工事が検討されたが、本番代は5500番代と違って妻面に窓を持たないことから車内が見通せず、運転士1人で対応するのは困難と判断されたため見送られている。そのため、本番代使用の普通電車のみツーマン運転となっている。
本番代も新造後に前面部のスカートが強化されている。帯色は1000・2000番代と同じダークブルー・白色・水色・紫の4色帯となっている。
5000番代主要諸元
両数 | 2両 |
編成定員 | 256(立)+88(席)=344名(3両編成) ※補助席16席は含まない |
編成重量 | 109.8t(3両編成) |
モーター出力 | 220kW(M-MT102B) |
編成出力 | 220kW×4=880kW |
制御装置 | 3レベルPWMIGBT-VVVFインバータ制御 M-PC13(1C1M) |
5500番代
下田線の普通列車に使用されていた300系置き換え用として2008年に製造された。2両編成19本(38両)が沼津総合車両所に所属している。
5000番代をベースとして開発したため、5000番代と全く同様の外観を有する。しかし車内設備などは大きく異なっており、Mc車の車端部はこれまでのクロスシートからロングシートとなっている。また、妻面非公式側に窓が設けられている。これはワンマン運転時の乗務員の後部車両の視認性向上を目的としたものである。
機器類においては主電動機をM-MT102Bの絶縁種別を変更して出力を10kWアップさせたM-MT102Cに変更した。増強された出力分は回生ブレーキ能力の向上に充てられたため、加速性能は従来と変更はない。また、列車本数の少ない下田線での運用がメインとなることから、発電ブレーキ用の抵抗器を装備している。それ以外の機器類については従来の2000番代から変更はない。
その他帯色やクロスシート部の配置等は2000番代と同一であるが、ワンマン運転時用の整理券発券機を設けた関係で第1ドアと第3ドアには補助席がない。
5500番代主要諸元
両数 | 2両 |
定員 | 252(立)+88(席)=340名 ※補助席8席は含まない |
モーター出力 | 230kW(M-MT102C) |
編成出力 | 230kW×4=920kW |
制御装置 | 3レベルPWMIGBT-VVVFインバータ制御 M-PC13(1C1M) |