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陰陽五行論

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(1)天人合一思想


 人間は社会を形成する以前、森の中や草原で生活をしていたときは四季の移り変わりや一日の太陽の変化に合わせた生活を営んでいた。自然界から食物を得、大気を呼吸していた。自然に養われ、育てられていたといっても良かろう。人間は大自然の一部であり、自然の法則に従った生活を送っていたのである。
 このような考え方に則って人間を小宇宙、自然を大宇宙とみなして人間が生存する法則は自然の法則と同じとする考えが『天人合一説』である。


(2)気の思想


古代中国では『気』を空間と時間の具体的な事象として解釈した。

◇天地万物の生成について(『列子』:天瑞篇 『淮南子』:天文訓)
宇宙の始まり・・・まだ形もなく、混沌とした広がりがあるのみ(太易)。
気の始まり・・・・混沌とした広がりの中から気が生じる(太初)。
陰陽気の始まり・・気が分化して清軽な気(陽気)と重濁な気(陰気)とになる。
天地の始まり・・・清軽な気は上って天となり、重濁な気は下って地となる。
万物の始まり・・・転地の陰陽の二気から四季が生じ、さらにそれによって人を含めて万物が生じる。

◇人の生命の生成と活動について(『荘子』:知北游篇 『素問』:六節蔵象論篇 『霊枢』:決気篇)
生命の始まり・・・両親から陰(母)と陽(父)の精気を受けて、これが合して一個の生命が始まる。
生後の活動・・・天の陽気(空気中の活動源)と地の陰気(飲食物中の活動源)を取り入れて生命活動を維持する。
生・病・死について・・・体内の陰陽の気が調和していれば健康であり、陰陽の気が不調和になると疾病になり、気が散逸すると死ぬ。

(3)陰陽論


古代中国の思想家たちは、万物が形をとって現れる状態、すなわち、一切の現象はすべて正と反の二つの面を持っていると考えた。正と反、すなわち陰と陽の対立や消長などの相互関係を、自然界の全ての現象を解釈する上での基本的な観点としたのである。『老子』はこれを「万物は陰を負うて、陽を抱く」といい、『易経』では「一陽一陰、之を道と謂う」という。

『易経』:繫辞(けいじ)伝
「易に太極あり、これ両儀を生ず。両儀は四象を生じ、四象は八卦を生ず。」

両儀・・・陰陽
四象・・・少陰・老陰・少陽・老陽
八卦・・・乾・兌・離・震・巽・韓・坎・艮・坤
--・・・の爻・・・陰・・・牝
―・・・の爻・・・陽・・・牡

陰陽学説では、世界の本質は気であり、陰陽の二気の対立と統一によるものであるとみる。『素問』:陰陽応象大論篇は、「清陽は天と為り、濁陰は地と為る。地気は上りて雲と為り、天気は下りて雨と為る。」とのべ、宇宙間の全ての事象は陰陽相互の対立と統一によっており、この矛盾した運動が宇宙間の一切の事物に内在する固有の性質であるとする。つまり、一切の発生、発展はみな陰と陽の対立と統一という矛盾運動の結果である。

陰と陽は、相互に対立し、また相互に関連する事物の属性を代表している。

陽=積極的に動くもの、外向的、上昇的、温熱的、明瞭なもの

陰=相対的に静止したもの、内向的、下降的、寒冷的、あるいは暗いもの

水と火の関係で言えば「水を陰となし、火を陽となす」とし、水は寒で潤下するから陰に属し、火の性質は熱して炎上するから陽に属す。動と静では『静かなる者を陰、動く者は陽」とし、相対的に静止した事物は陰に属し、陽は動を主るから、積極的な運動は陽に属す。

 事物の陰陽属性は絶対的なものではなく、相対的なものである。このような相対性は一定の条件下で相互に転化する。すなわち、陰は転化して対立物の陽になることがあるし、陽もまた、転化して陰になることがある。

 事物は、陰陽の両側面に無限に分けることが出来る。例えば、昼は陽で、夜は陰であるが、午前と午後に分けて言えば午前は陽中の陽で、午後は陽中の陰である、また、夜中の前半と後半でいえば、前半は陰中の陽で後半は陰中の陰である。このように見れば、宇宙のどのような事もすべて陰と陽の二つに分類する事が出来る。この種の相互対立や相互連携の現象は、自然界のいたるところで見ることが出来る。このことを『素問』:陰陽離合論篇は「陰陽はこれを数えて十とすべく、これを推して百とすべく、これを数えて万とすべし。万の大なるは勝げて数うべからず。しかりその要は一なり。」と述べている。
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