武蔵野鉄道600系電車
武蔵野鉄道600系電車は、昭和21年登場した国鉄63系電車の割り当て車両とその改良型の通勤型電車の総称である。
概要
終戦直後、当時の武州鉄道は東京都内の区間を中心に車両・設備ともにに壊滅的の被害を受けており、著しい車両不足に陥っていた。武州鉄道は戦前から高規格の高速電車を使用していたので、粗末ながらも大型で出力の高い国鉄63系による輸送力増強の恩恵が高いとみなされ、当該車両の割り当てを受けたものである。
63系割り当てグループ
昭和21~25年にかけて合計48両が投入された。基本的に路線規格が国鉄とほぼ同等なため、手を加えることなく使用開始された。桜木町事故の影響により昭和26~28年にかけて緊急の安全性向上工事が施工され、さらに昭和41年から45年にかけて8000系への改造工事が施工され、このグループは消滅した。
1次改良型
桜木町事故などの反省を受け昭和26年から28年にかけて導入された。基本的に国鉄73系の同時期の増備車に準じた設計となっている。
2次改良型
昭和29年から33年にかけて導入された。このタイプから設計の大幅な見直しが行われ、電動機の変更(MT40系からHS-269系ほかへ)、車体もかつての自社戦前型の要素を取り入れた重厚さとスマートさを兼ね備えたものになった。このモデルから貫通扉が復活している。互換性は維持されている。
3次改良型(最終型)
昭和34年から導入された、最終モデル。軽量化のため車体に日車標準車体の要素を取り入れた。アコモデーションも軽快なものになっている。なお、最終編成は両開きドアの試験車になっている。通勤型電車ではこのタイプから現行塗装が始まった。
引退まで
8000系への更新工事は昭和53年までに終了し、その後も長く活躍を続け、平成8年に引退した。冷房化改造は更新工事と一部並行して昭和50年から6年間にわたり行われた。内容は1000系電車のそれと同じである。