武蔵野鉄道70000系電車
武蔵野鉄道70000系電車は、令和3年度に量産先行車が登場した通勤型電車である。
デザイン
概要
現行最新型の60000系電車は製造開始から令和2年の時点でおよそ8年が経過しているが、この間に開発された新技術を反映するため新設計の車両として投入される予定。制御伝送装置がTIMSからINTEROSに大きく変わる影響で、在来車との連結運転などに大がかりな検証が必要なため、量産先行車を製作することとした。
構体
構体は武蔵野車輌製造と総合車両製作所のクロスライセンスの成果を生かした設計としており、Sustinaの要素を取り入れた設計としている。製造設備の都合により、メーカーによる構体の差異がある。共通事項としては、Sustina標準タイプのオフセット衝突対策、車内ロールバー、内はめ式の窓・出入口フレーム、基本デザインなどがある。
また、古きと新しきの融合をテーマに前面デザインを新たなものにし、伝統のグリーンとクリームを車体色に採用しつつ、塗り分けパターンを変更した。通勤型では久々の全塗装車である。
60000系同様に車体構造の車種ごとの統一という観点で設計されており、車種が先頭車と中間車のみといってよい構成を採用し、製造コスト・整備コストの削減につなげている。(厳密には4形式になるが車体構造で見れば中禅寺湖寄り先頭車、中間車、新橋より先頭車の3車種になり、さらに台車間の台枠構造は完全に統一されている。)
足回り
台車に関しては、60000系ものとほぼ同等品を採用する。ダイレクトマウントの軸梁式ボルスタ台車で長軸を採用して高い走行安定性を実現すると同時に、各部位の最適化を図り曲線通過性能、省メンテナンス性の高い優れた特性の台車となっている。回生制動の負担率の向上に伴い、基礎ブレーキがすべて片押しのユニットブレーキになっている。
主電動機・主制御器は、60000系に引き続き東芝と三菱電機が担当し、永久磁石同期電動機とセミSiC素子(三菱製はフルSiC素子)VVVFインバータ(1C1M方式)の組み合わせとなっている。電動機出力はいずれも270kWとなっている。主制御器についてはINTEROS対応のための設計変更が行われている。
ユニット構成は60000系電車や50000系電車30番台で採用された概念を引き継ぎ、西日本旅客鉄道の225系などで採用されている0.5M方式を採用しており、艤装の統一による整備性の向上、製造コストの削減を実現している。空転対策として新橋寄りに動台車がついた車両と中禅寺湖寄りに動台車がついた車両が存在している。
ブレーキは電気指令式ブレーキである。制御伝送装置との連携により高度なブレーキ力管理が行われている。
営業運転における連結は、異車種の場合TIMS搭載車のみ可能である。よって10000系や7000系未更新車、各種動態保存車との連結は救援時以外はできない。(電気機関車など電車以外の組み合わせも営業運転では考慮していない)
補機類
電動空気圧縮機は低騒音のオイルレスレシプロ式を採用している。補助電源装置はVVVFインバータに統合されている。蓄電池は焼結式アルカリ2次電池である。
内装
量産先行車
内装はJR東日本のE235系電車と同様に壁面にペーパーハニカム構造のパネルを採用している。袖仕切り、荷棚に半透明の強化ガラスを、中間妻の仕切り扉に透明な強化ガラスを採用することで開放感を演出している。照明は、LEDランプを用いた半間接照明を採用し高級感を出している。乗降扉については内側化粧シート仕上げのステンレス製のもの採用し、乗降扉の窓ガラスは複層ガラスを採用し、取り付けは接着方式である。
旅客案内装置はドア鴨居部にはあえて何も取り付けず、天井の中吊り広告の要領で21型ワイドLCD画面が車内に合計28台設置されている。
制御伝送装置はINTEROSを採用し、走行関係から照明・空調管理に至るまで車両の電気・空気関係をすべて管理している。武蔵野鉄道の車両としては初めてCBM(状態監視保全)に対応している。
座席に関しては、東京都交通局5500形のものをベースにしたものを採用している。
量産車
量産先行車との差異としては、乗降扉を内側ステンレス無地かつ単板ガラスにする、袖仕切りをJR東日本E235系1000番台と同じものに変更する、出入り口の柱を20000系と同等品にグレードダウンする、荷棚はパイプ構造にする、中間妻の仕切り扉を20000系と同等品にグレードダウンする、旅客案内装置を乗降扉鴨居部への取り付けに変更した上で21型ワイドLCDx2に変更する、照明をLED直接照明に変更するなどコストダウンを強く意識した仕様になる。
増備について
量産先行車については、令和3年度に8両編成1本(総合車両製作所横浜事業所)、4両編成1本(武蔵野車輌製造)を導入し、約2年の期間をかけて各種試験を行った。いずれも一般的なロングシート車である。
量産車は1次車が令和6年3月に8両編成1本と4両編成1本が武蔵野車輌製造から出場した。
編成図
←中禅寺湖
クモハ74100 | モハ74200 | モハ74300 | クモハ74400 |
ATS PT VVVF | VVVF CP | PT VVVF | ATS VVVF |
クモハ78100 | モハ78200 | モハ78300 | モハ78400 | モハ78500 | モハ78600 | モハ78700 | クモハ78800 |
ATS PT VVVF | VVVF CP | PT VVVF | VVVF | PT VVVF | VVVF CP | PT VVVF | ATS VVVF |
関連
添付ファイル