【モザンビークで観光旅行?!】
第10話)モザンビーク・グルメ事情

《モザンビーク旅行記|マプート|カテンベ|イニャンバネ|トーフ》

モザンビークの食事情は旧宗主国ポルトガルの影響を色濃く受けている。中流以上のちょっとしたレストランでは大抵がポルトガル風の料理を出す。ポルトガル風というのはチキンやシーフードの炭火焼きなのだが、素材が新鮮なので非常においしい。本国と同じようにオリーブオイルとワインビネガーをかけて食べる。だがモザンビークならではなのが一緒に供される「ピリピリ」と呼ばれる唐辛子ペーストで、名前のとおりピリッと強烈に辛い。中には「ピリピリレストラン」などと店の名前になっているほどモザンビークではなくてはならない調味料だ。

ピリピリ・ソース
ピリピリ・ソース

しかしせっかくモザンビークまで来たのである。伝統的な地元料理も食べてみたくなるではないか。バイーシャを歩いていたら観光省の入っているビルを見つけた。そうだ、ここでお勧めのレストランを聞いてみよう。大通りに面した政府機関の入った高層ビルは、見かけとは裏腹にメンテナンスが行き届いておらず、案の上エレベーターは壊れて何年も使われていない状態だった。陰鬱な階段を上って観光省の部屋に入る。

 「モザンビーク料理のレストランを教えてください。」
 「それならオ・コケイロだね。」

そこはガイドブックにも載っているので知っていた。

 「他にもご存知ないですか?」

 「それなら1908だね」
 「いや、オ・コケイロの住所を聞いているのではなくて、お店の名前を教えてください。」

 「だから、1908だよ」

何度聞いても番地しか教えてくれない。なんて不親切なのだろうといぶかしく思いはじめたころにハっと気がついた。店の名前が1908なのだと。

 「アハハ、やっと理解したね。」

と職員は地図で丁寧に場所を教えてくれた。ここから歩いて行けない距離ではないので行ってみることにした。バイーシャから北に向かって丘を登ったエドアルド・モンドゥラーネ通りに1908はあった。コロニアル建築の一軒家を改装したお店はなんだかハイソな感じがする。店に入ると制服を着たウエィターが恭しく迎えにきた。

1908レストラン
ハイソな1908レストラン

 「中へどうぞ」
 「あの、今は現金の持ち合わせが少ないのですが」

 「問題ありません。カードでお支払いください。」
 「カードもホテルのセーフティボックスの中なのですよ」

そう、マプートでは貴重品は全部ホテルに置いて来た。しかしここで退散するのもなんだか悔しいし、ハイソな世界も垣間見たいではないか。

 「ともかくちょっとメニューを見せてください」

フロントで値段を確かめるとなんとか手持ちの現金で払えないこともないので、席に着いた。天井の高いレストランの内部は野生動物の剥製やら、歴史を感じさせるセピア色の写真やらが飾られ、品格が感じられる。

ほかの客は?と見てみると白人や黒人の金持ち風ばかり。防犯対策で旅行者臭を消すためとはいえ、スーパーのビニール袋を抱えてこの店にいる客など僕だけだ。

 完全に浮いている。

ここは地元料理も置いてある高級レストランだった。ンボアというかぼちゃの葉のココナツミルク煮をオーダーする。手持ちの現金ギリギリ額と相談しつつ、海老入りと少し豪勢にしてみた。これならなんとか払えるはずだ。

ンボア
これがンボアだ!

オーダーを頼むと直ぐに蝶ネクタイのウエィターがおいしそうなパンとオリーブを運んできた。もうお腹ぺこぺこだ。まずこれを頂こうか、と手を伸ばしたところで思いとどまった。これ別料金だよな。それにこの店の雰囲気、どう見てもこの店はチップを渡さないといけない感が漂っている。ここでパンに手をつけたらチップ代が捻出できなくなるゾ。

僕は泣く泣くパンを諦め、メインディッシュを待ったが、それは正解であった。メインだけで十分なボリュームがあった。

でも、勘定時に「パンは食べていません」と告げてパン代を削らせるのはとても気恥ずかしかったぁ、、、(汗)

(続く)


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最終更新:2016年08月24日 09:35