【モザンビークで観光旅行?!】
第2話)僕って無謀者?

《モザンビーク旅行記|マプート|カテンベ|イニャンバネ|トーフ》

出発の一週間前になって一つ大事なことに気がついた。予防接種を忘れてた。アフリカは衛生状態がまだまだよくない。幸い黄熱病は2010年まで効果のあるワクチンを打っていたが、効き目の短いA型肝炎などは直前で接種するしかないのだ。僕はクリニックに電話を掛けてみた。

 「首都の周辺しか行かないから注射はいらないですよね」
 「アフリカのどちらに行かれるのですか?」

 「モザンビークです」
 「ありゃ~。それはど真ん中ですね。今ちょうど一人分ワクチンが残っているので、直ぐに
 いらっしゃい。」

「ど真ん中」とまで言われては接種せざるを得ない。昼休みに会社を抜け出し、新橋にあるクリニックでおしりにブスリと注射され、医療保険の効かない7,470円を泣く泣く払うと、やたら腰の低い先生が現れた。

ニュー新橋ビル
ニュー新橋ビル。クリニックやら弁護士といった
「先生」と呼ばれる職業の事務所がやたら多い。

 「やあ、それにしてもワクチンが残っていて良かったですね。実は先日団体の申し込みが
 あったのですが、人数分ないので断ったばかりだったんですよ。ラッキーでしたね~。」

 「ところで確かモザンビークでしたよね。お仕事大変ですね~。」
 「いえ、あのう観光なんですが。。。」

 「え"っ、観光!!」

医師の顔には 「そんなところに観光に行くバカなど見たことない」と描いてあった。そんなモザンビークに観光しに行く僕って無謀者なのだろうかとさらに不安が増してきた。

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そうこうしているうちに出発の日がやってきた。東京-シンガポール(7時間)+シンガポール-ヨハネスブルグ(11時間)と乗り継いで、こんどはヨハネス空港のトランジットで荷物チェックの列に並ぶ。お盆休みということもあり、アフリカを旅行する日本人も少なくない。列を待つあいだにそれとなく会話を交わす。いかにも品のよさそうな中年のご夫婦はビクトリアの滝に行かわれるのだという。

 「あなたは、どちらに行かれるのですか?」
 「僕はモザンビークです。」

 「あら~、お仕事大変ですね~。」
 「いや、あのう、仕事じゃなくて観光なんですが。。。」

 「おや、観光なんてできるのですか。気をつけてくださいねぇ。」

ありゃ~、同じアフリカ旅行者からもそう思われちゃうのか! モザンビークで観光って、何か世間様から後ろ指さされることをしてるような気分になってきた。

このままホントにモザンビークで観光していのだろうか?

(続く)


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最終更新:2016年08月24日 09:23