【新疆ウイグル★シルクロードは"知る苦"の旅??】
第3話)ニーハオトイレでこんにちは!!
《中国・新疆ウイグル自治区・シルクロード旅行記|ウルムチ|クチャ|カシュガル》
朝、バスはクチャ(庫車)のターミナルに到着。そのまま近くの安宿にチェックインし、早速街の探索に出かけた。
ここクチャも高層ビルが建設されはじめ開発が進んでいるが、ウルムチほどではない。ウイグルの伝統衣装を着た人々が街中を行きかう。三輪自動車に野菜や果物を並べて商いにいそしむシルクロードらしい風情が色濃く漂う街だ。
クチャ(庫車)の街は東西に細長い。西にある団結橋を渡ると旧市街だ。イスラムの寺院やら日干し煉瓦の家屋やらが数多く残り、ウイグル色が一段と強くなる。
しばし街中を散策し、そろそろ昼時というころ農貿市場の辺りに差し掛かった。すると店頭で巨大な羊肉を吊り下げ、肉を炙る食堂街が現れた。昨晩の夕食がコッペパン一個でハラペコだった僕は、すぐさま客となって串焼き肉とウイグル麺を注文。ああ旨い。
クチャ農貿市場、店頭で巨大な羊肉をさばく食堂のオヤジ
さて、食事をすませて、ちょっと小さな用事を済まそうと思い「トイレはどこか」店の人に聞いてみた。それなりの店構えの食堂だから店内にトイレがあるものと思っていたのだか…
「厠所(ツァスォ)はあっちだ」
と、店の外にある公衆トイレを案内された。そしてそこで僕は初めて出会ってしまった、伝説のニーハオトイレと。
その昔、中国のトイレには仕切りがなく、お隣さん同士で大きな用事をたしながら、顔を合わせてニーハオするとは聞いていた。しかし近代化が進んだ現代中国で、そんなものはさすがに消滅したのだろうと思っていた。事実僕が過去に訪れた中国の各都市 -上海・天津・瀋陽・海南島 といった辺りでそんなものは見かけなかった。
だが、今僕の目の前にあるもの。胸下の高さまで仕切りはあるものの入り口に扉が全くない!! オープンなブースの並んだトイレ。これぞまさしく伝説のニーハオトイレではないか!! 世界第2位の経済大国にこんなものが残っていたとは…
ま、今回僕の用事は小さなものだったのでどうということはないが、ここで大きな用事をこなすとき、人民たちはどうやってその目的を完遂するのだろう。ともかく自分だけは絶対ここで"大"それたことはしたくない、と強く衝撃を受けながら「厠所(ツァスォ)」を後にした。
街歩きを再開しバザールやらなにやらをうろつき、歩行街なるエリアに差し掛かる。ここはウイグル風の建造物を残しつつ、飲食店や商店が立ち並ぶツーリストゾーンとなっている。9月のウイグルは日差しが強く喉が渇く。ジュース代わりに屋台の切り売りスイカで水分を補給していると、どうしても小さな用事を済ませねばならないので、またまたここでも「厠所(ツァスォ)」の世話になる。
そして、ここ歩行街の「厠所(ツァスォ)」で、また出会ってしまった、今度は伝説の現場を!実際に大きな用事を完遂する人民を!!
公共厠所(トイレ)で"大"事業完遂中の人民と出会う
人民の大事業の仕方はこうだ。顔を表に向けて腰を下ろし事をなす。むろんブースには扉がないので、大仕事を成し遂げている人民の顔はブースの外の人に丸見え!! するとあら不思議、人間、自然と大事業完遂中の人民の顔を直視するのは申し訳ないという気持ちが湧き起きる。トイレのブースに扉はなくても、人の心に扉ができるのだ!!
なるほど、心の扉があるからニーハオトイレに物質的な扉は不要なのか!!
思わぬ事態に遭遇しながらも中国4000年の歴史が育んだ深い知恵?に思わず悟りのようなものを感じた。でも、やはり自分だけは絶対ニーハオしたくない!!
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さて、その日の夕食はちょっと豪華な感じの美食城なるレストランで済ませた。伝統的な中華メニューは高価だがローカルフードはリーズナブルな価格だったので、食ったのはまたまた羊の串焼きとウイグル麺だったが…
そしてレストランを出たところで、自然が僕を呼んでしまった。しかもたちの悪いことに、今度は"大"自然が僕を呼んでいる。ヤバイ早く宿に帰ろう。
夕暮れのクチャの街、内なる"大"自然の叫びに逆らいながら宿に戻る。しかし宿まではまだ距離がある。あっ、トイレがある! と思って見つけたのは、先ほど"大"事業主と遭遇した歩行街の「厠所(ツァスォ)」ではないか。ここでニーハオしてたまるか!!
僕は尻に気合を注入し、何とか宿にたどり着いた。いやまだここで気を緩めてはいけない、トイレの扉をあけ、事業の準備が整ったことを確認して、やっとのことで自然を開放してやった、ホッ。
人間、"大"仕事を無事に成し遂げるの簡単ではないのだ。
最終更新:2016年08月27日 09:24