【新疆ウイグル★シルクロードは"知る苦"の旅??】
第4話)タクシーをチャーターしてみる

《中国・新疆ウイグル自治区・シルクロード旅行記|ウルムチ|クチャ|カシュガル》

クチャ2日目、さて今日は何を見てやろうか。正直クチャ市内の目ぼしい見所は昨日ほとんど見て回ってしまった。

シルクロード旅行記・新疆ウイグル|クチャ大寺 イスラム寺院は市内の名所のひとつ
クチャ大寺 イスラム寺院は市内の名所のひとつ

クチャは市内よりも郊外に点在する遺跡や石窟が観光資源なのだが、郊外までの公共交通機関というものがなく、旅行会社で車をチャーターしないと行けない。がそれには600元(10,390円)が相場だとガイドブックには記されている。出せるか、そんな大金!!

仕方ない、また市内をふらつくかと思案しつつ、安ホテルのフロントでタバコに火をつけてると、

 「アイム グッド タクシー ドライバー。スバシ故城とキジル千仏洞、1日400元でどうだ。」

と、声をかけられた。自分からグッドというヤツが本当にグッドだった試しは少ない。それに400元(約6,920円)だって安い額ではない。で「300元(約5,190円)ならいいけど」とディスカウントを持ちかけてみたが、一切値引きには乗ってこない。

ま、相場が600元である。400元ならよしとしよう。

こうして僕は、朝からホテルのフロントで獲物を待つというグッド タクシー ドライバーの営業戦略に見事引っかかってあげることにした。

郊外に向かうと、新疆(シンジィァン)らしいポプラ並木が延々と続く美しい光景が現れる。しばし並木に沿って車を進め、やがて荒々しい山肌を見せる山脈の麓に到着した。そこは、寺院の遺構が点在するスバシ故城の遺跡群。こんな乾いた大地によくまあこんな寺院を建てたものだと感心する。

シルクロード旅行記・新疆ウイグル|クチャ郊外 遺構が点在するスバシ故城遺跡群
クチャ郊外 遺構が点在するスバシ故城遺跡群

続いて、キジル千仏洞に向かうが、驚いたことにこのあたりの道路はまるで定規で線を引いたようにひたすらまっすぐ、そこに山があれば切通しを掘り、ただただ直線。荒涼たる大自然のなかの人工の直線がなぜか自然に見えるのが不思議だ。

途中で軍の検問を通り、数時間ドライブした後、キジル千仏洞に到着。キップ売場で入場券を買うと「ガイトはどうする」と尋ねられた。「不要(プーヤオ)」と答えたはずなのに何故か係員が張り付いてくる。まさかガイドをしたから料金払えと後からせびられるのか。ううん入場料を払う公的施設内でそんなヤクザなことってある? といぶかっていたのだが、

 「私は大学で観光学を学んでます。研修でここに滞在しています。」

ラッキーなことに、カタコトの日本語を話す学生によるボランティアの案内だった。

 「この仏洞の中、カメラ ダメです。」

ありゃりゃ、ガイドというより違法な撮影行為を取り締まるお目付け役、というのが実態かぁ。僕はロッカーにカメラとスマホを預けた。

岩山に彫られた幾つもの仏洞は、周囲の景色の美しさもあってなかなか見事なものであるが、仏洞内の壁画は遺跡荒らしにあってほとんど残っておらず痛々しい。

そのときである。パシャッというシャッター音がした。見ると一人の人民観光客がスマホで写真を撮っている。えっ、カメラはNGだが、スマホだったらいいのか。 なんか基準が曖昧だぞ、中国の観光当局!!

シルクロード旅行記・新疆ウイグル|クチャ郊外 キジル千仏洞は内部のカメラ撮影禁止のはずだが…
クチャ郊外 キジル千仏洞は内部のカメラ撮影禁止のはずだが…

こうして幾つか郊外の史跡をめぐり、クチャの街に戻る。タクシーは遮るもののない、ひたすら直線の道を進む。

 キィ キィ キィッー

いきなり運転手がブレーキを踏んだ。遮るもののない大地で何事だ!!

いや遮るものが存在した。大地で放牧されている羊の群れが道路を占拠していた。あたりを管理しているさすがの人民解放軍も羊の気まぐれだけは取り締まれない。

シルクロード旅行記・新疆ウイグル|クチャ郊外 遮るもののない直線道を遮るのは羊だけ
クチャ郊外 遮るもののない直線道を遮るのは羊だけ

シルクロードの主役、それは人ではなく羊なのであった。

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 09:28