【海鮮王国・済州を行く】
第3話)舌は天国、胃は地獄

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済州島にはオルレと呼ばれるウォーキングコースが設けられている。海岸線沿いを中心に、4~6時間程度のコースが島全体に10コース以上整備されているが、整備といっても大規模な土木工事を行ったわけではない。

あぜ道から大通りの歩道まで、元々ある道のなかから地元NPOのボランティアがウォーキングに適したコースを見つけ、要所に道しるべを設置しただけのものである。

済州オルレ
オルレのコースを示す様々な標識

コースの目印も街路樹にくくられたリボンだったり、馬をモチーフにした標識だったりと素朴なものばかりであるが、それでも道案内があることで、地元の人しか知らない小道を、観光客でも迷うことなく歩いてゆくことができ、その土地ならではの光景に出会うことができる。

地域振興と称して本土からの補助金を土木工事で浪費してしまう、どこかの国の離島県対策とは大違いだ。

またオルレを運営しているNPO発行の日本語版ガイドブックも秀逸だ。国内で市販されているガイドブック、たとえば「C球の歩き方」などは、韓国編のなかに済州の主だったスポットがチラッと紹介されているだけだが、これでは広い済州島を"歩く"ことはできない。どこが「歩き方」なのだと版元の責任者を小一時間ほど問いただしたくなる。

済州オルレ
オルレコース図と使えるガイドブック

ところがこのNPOのガイドブックは、オルレのコースごとに見所や地元の食堂などが載っており、内容が恐ろしく充実している。こんな素晴らしいガイドブックが済州空港の観光案内でタダでもらえるのだから嬉しいではないか。

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城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)を後にした僕は、オルレ・コース1を始興(シフン)に向かって歩いていた。始興(シフン)には地元の海女さんたちが経営する、その名も「海女の家」という海鮮レストランがある。そこで遅いランチを洒落込もうと目論んでいた。

しかし、ここでもまたハングルの壁が僕の前に立ちはだかる。海岸沿いのレストランは皆店名をハングルで掲げており、どれが「海女さん食堂」なのか分からない。ともかく通りすがりの人を見つけ聞いてみる。すると、今その目の前の店が「海女の家」だった。

始興(シフン)海女の家
始興海女の家

席に着くと早速名物の貝粥を頼むと、すぐさま盛りだくさんの副菜が運ばれてきた。キムチ・酢の物・小蟹のから揚げ・ニラチヂミ… 副菜だけでも十分食事になる。

ここに来る前、すでに城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)の海女小屋で刺身をつまんでいたので、この量は多すぎる。残しては生ゴミになるからまずいと思い、何品かを少し自分のテーブルから離してみる。

これは手をつけないから、他の方のために下げてもいいですよと、暗黙に意思表示したつもりであった。

始興(シフン)海女の家
貝粥と盛りだくさんの副菜

すると、通りがかった海女さんウエイトレスは、離した小皿をまた僕の方に寄せてくる。こりゃまるで「しっかり食べなさい!!」と言わんばかりだ。だったら腹をくくるしかない。いや胃をくくると言わねばならんか。ともかく全部食べて見せましょうゾ!!

メインの貝粥も上品な滋味がしみて美味であるが、副菜のモズクの酢の物もおいしく、最初にぺろっと平らげてしまった。

すると海女さんウエイトレスは、空になったおいらの酢の物の小鉢を発見、すばやくお代わりを持ってきた。さすが暗い海の底で獲物を見つけ出す海女さんの鋭い視力だ。オイラの小鉢の異変まで鋭く察知してしまうとは恐るべし。

もうここまでサービスされたら、こちらも逃げるわけには行かない。美味しいので食べるのは楽しいが、胃袋はギャル曽根状態になりつつあり、だんだん苦しくなってくる。

舌は天国、胃は地獄。それでも大満足の「海女の家」であった。

(続く)


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