【非常事★タイの、泰国東海岸】
第4話)ワールド・ドリアン・フェスティバル
《タイ旅行記|パタヤー|チャンタブリー|ラヨーン|スワンナプーム》
チャンタブリー。カンボジア国境も近いこの街は、周辺の山から採取されるルビー・サファイアなどの宝石の集積地でもある。街の一角には専門店が密集する通りがあり、窓越しに生々しい宝石の取引現場を目撃できたりもする。
バイヤーと思われる怪しげなインド人も目立ち、一方でベトナム系の住民も多く住むこの街は、仏教が盛んなこの国にあって、珍しくキリスト教徒が多く、街外れの川沿いには立派な教会も建っていた。
その川沿いには古い街並みが残り、チャンタブリー市は「River Front Old Town」として売り込もうとしているのだが、単にボロい家が残ってるだけじゃんと言うのが率直な感想だ。
Old Town の辺りをふらついていると、なにやら洗面器に溜まった泥を洗ってる怪しい男たちの集団に出くわした。真剣な眼差しで必死に水で泥を落としているその姿は、砂金取りのようだ。あ! その泥は宝石が詰まった泥なのか! 砂金ではなく、砂宝石を選別しているのか、道端で! さすが宝石の街チャンタブリー。
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おっと、僕がこの街に来たのは宝石のためではない。「ワールド・ドリアン・フェスティバル」を見に来たのだ。5月から6月はタイ・フルーツの最盛期であるが、フェスティバルは果物の収穫時期によって毎年微妙に開催日が変わる。今年はたまたま自分の訪タイ日とフェスティバルが重なってラッキーとしか言いようがない。
会場のタークシン王公園に行ってみると、公園の湖畔にはたくさんの屋台が軒を連ね、何だかウキウキしてくる。おや、湖のところどころに何かが浮かんでいるぞ。何だろう?
近づいてみると、それはフルーツで出来た寺院や船などのオブジェであった。札幌の雪祭りは雪像であるが、こちらは果物像である。様々なフルーツに芸の細かい装飾が施され壮観である。お見事、タイ一番のフルーツ大国チャンタブリー県!
メインステージではフェスティバルの開催を告げるアナウンスと共に、着飾ったタイダンサーたちが登場した。さすが本場のタイ。ダンサーの人数が半端ではない。次から次へと色々なグループのダンサーたちが登壇する。指先をしなやかにしならせ、ゆっくりとたおやかに進む舞いは幻想的ですらある。
が、しかしそのダンサーの集団の中に黒い衣装を身に付けた一団がいた。なぜかその一団は他の集団と比べるとゴツイ印象を受ける。あれ、これってオカマのダンサーじゃん。 それにしても公式イベントで堂々と演技できるなんて、タイのオカマは地位が高いゾ。
ミス・ドリアンちゃん vs オカマ・ダンサー(黒服)
お、なんか会場がまた盛り上がってきた。何だ、何だ。あっ、出た。タイ村祭り定番・のミスコン! ミス・ドリアンちゃんの登場だぁ! さぁすがミス。ドリアンの匂いはしないけど、気品はプンプン漂ってくるぞ。ビューティホー、ヤッホー!!
でもちょっと待て。このままではこのフェスティバル、単なる壮大な村祭りで終わってしまうではないか。曲がりなりにも「ワールド」フェスティバルだぞ。ワールドはどこに行ったのだ、主催者よ!
すると、ステージにはベトナムの民族衣装を着た一団が表れ、続いてチャイナドレスの集団も登壇した。なんとなくワールドな感じがしてきたが、でもベトナム系・中国系といった身近な地元の外国系タイ人でお茶を濁しただけじゃないのか。
ベトナム系、中国系、少数民族系、オバちゃん系、、、
さらにタイ少数民族代表やら、東北地方農民代表やらがステージに上がる。ワールドとは言いがたいが、エスニックであるには違いない。まあその辺はタイだからマイペライでOKなんだろう。
おや、農民代表のおばちゃんたちってミニスカートを履いてる。わぁ、いきなりステージでエアロビダンスをおっぱじめた。やー、こりゃ度肝を抜かしてくれるわい。でもオバちゃんたち、なんだかとっても楽しそうだ。
日本人とタイ人。平均収入は圧倒的に日本人の方が高いけど、人生を楽しんでいるのはどっちだろう? 元気に踊ってるミニスカ・オバちゃんたちを見ると、タイ人の方がよほど人生を楽しんでいるように見えてならないなぁ。
最終更新:2016年08月26日 21:04