【お気楽軍団、ラオスを行く】
第8話)インターナショナル・バス
《ラオス旅行記|ビエンチャン|タイ|ウドンタニー|コーンケーン》
ビエンチャン4日目、お気楽軍団一行の旅もこの日で解散。Fさん、Aさんはそれぞれ別の便でバンコク経由で帰国する。やや日数のある僕は、陸路でタイに抜ける予定だ。Lホテルで最後の朝食バイキングを共にするが、このLホテル、宿泊客のチェックは甘い。それに付け込み協力隊員U君に宿泊客のフリさせて、朝飯を堪能させてやった。有難いだろ、U君。感謝したまえ。
朝食を終えると、僕は11:00に出るタイのウドンタニー行きインターナショナル・バスに乗るべく、タラートサオ前のバスステーションに向かった。ここは呑気なラオスである。30分前に行けばOKだろうと国際線をなめたのが甘かった。
「ウドンタニー行き、満員だよ」
あちゃー、次のバスは14:00だ。前日に時間を調べたまでは用意が良かったが、切符を買っておくべきだった。詰めが甘いゾ。
しかし、よく調べてみると12:00にノーンカイ行きのバスがある。とりあえずそっちに切り替え、うだうだ時間をやり過ごす。
ノーンカイ行きも満員であった。タイとラオスの人とモノの行き来が活発な様子がよくわかる。15分ほどでバスは先日、プチ脱北した友好橋の検問所に着いた。検問所と言っても雰囲気はまさに高速道路の料金所だ。乗客は一旦ここで降りて、徒歩でイミグレに向かいスタンプを押してもらう。
出国審査も、まるで電車の改札を通るかのごとくあっさり通過、再びバスに乗り込み橋を渡る。この橋は自動車が片道一車線ずつと、中央に線路が通っている珍しいものだ。タイから電車が乗りいれると言われ続けて10年、未だに一度も電車が通ったことのない線路だ。21世紀の今もなおラオスには電車がない。だから通勤ラッシュも痴漢被害もない世界でもまれな国でもある。
橋の真ん中に線路がある。これは未だ開通しない電車用
そんなラオスに別れを告げ、今度はタイの入国ゲートだ。こちらも料金所風なのに変わりはないが、一回りも二回りも立派に見える。国力の差だろうか。
タイに入ると交通量が眼に見えて増えてきた。そして何より、看板の文字が(ちょっとだけ)読みやすい。ラオ語とタイ語は兄弟語であるが、ビミョウに文字が違う。例えていうなら、タイ語で「わ」と書く文字をラオ語は「ね」と書いたりする。ラオ語はやたらと文字の先端を丸めたがるが、「わ」と「ね」が違えば意味が違ってくるから、タダでさえタイ語を読むのに苦労する僕にとって、ラオ語は輪をかけて読みづらかったのだ。
タイ領に入ると程なくノーンカイのバスターミナルに着く。タイのバス網は大変充実している。直ぐに次のバスに乗り換え、夕暮れ前ウドンタニーに着いた。
僅かな時間をぬってウドンタニーの街を散策していると、大粒の雨が降り出した。あわて道路わきの工務店の軒先で雨宿りしようと駆け込んだ瞬間である。
ワッワッワッ ワーン!
巨大な猛犬に吠え立てられ、再び大雨の道中に追い立てられた。季節外れの大雨に強風が重なってずぶ濡れである。やっとの思いでコーヒー屋台の屋根傘の下に潜り込み、雨の止むのをまつ。
「本格的な雨季はまだこれからのはずなのに、ツイてないなぁ」などと一人言をこぼしてしまったが、実はちょうどこのころ巨大サイクロンがミュンマーを襲っていた。東北タイのこの雨はその端っこに過ぎなかったのだろう。
サイクロン直撃じゃなくてラッキーだったと感謝しておくべきだろう。
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最終更新:2016年08月27日 18:46