【ウエストコーストの旅(カンボジアのだけど...)】
第5話)カンボジアのイルカ

《カンボジア旅行記|ココン|コンポンソム|シアヌークヴィル|プノンペン》

コンポンソムに着いた翌日は国立公園のボートツアーに参加することにした。朝飯・昼飯・ガイド付きで15ドル。これもMゲストハウスで申し込めちゃうから便利便利。送迎のミニバスに乗り込むと他の乗客はフランス人だらけ。車内はあっちもこっちも「しるぶぷれ~」状態だ。カンボジアがフランス領だったのは随分昔のはずだが、やつらは未だに自分の庭だと思ってるのだろうか?

10分ほど走ると「お前はここで降りろ」ととある海辺のレストランで下ろされてしまった。フランス語の洪水から解放されたのはいいけど、なぜ僕だけ? よく分からないがどうやらそこで朝飯を食ってろという話だ。

しばらくすると別のミニバスが迎えに来た。同乗者は家族連れで、奥さんは日本人、旦那さんはスイス人の一家だった。旦那さんもなかなか達者な日本語を話す。だがこの家族、親子の会話は日本語とドイツ語がバイリンガルで飛び交う国際会議状態。どうしてこんなに自然に切り替えられるのかとっても不思議だ。

ミニバスは国立公園に向けて一路海辺の道を進んでいった。小一時間ほどすると自然公園の入り口に到着した。ここからはレンジャーとともにボートに乗り込みマングローブの岸辺を遊覧するのだ。

自然公園入口-カンボジア・コンポンソム
自然公園入口-カンボジア・コンポンソム

ボートはゆっくりと河を下っていった。河は徐々にその幅を広げてゆく。岸辺では漁民たちが小船で漁をしていた。うっそうと茂るマングローブの林は人の手がほとんど入っていない。時折野生の鷲が獲物をめがけて海に急降下する。

小船で漁をする漁民-コンポンソム近郊・カンボジア
小船で漁をする漁民-コンポンソム近郊・カンボジア

やがて河だか海だか分からないほど川幅が広がると、水面をものすごい速さで一直線に跳ねてゆく生き物が現れた。あちらでピチピチ、こちらでピチピチ。「あれは何?」と聞くと、「エビが跳ねているのですよ。」とレンジャーが答えた。なんとも豊穣な海である。この海の水をすくって一煮立ちさせたらそのままトムヤムクンが出来てしまうのではないか!

さらにボートは河を下る。もうほとんど海である。すると、

 「あっ、イルカだ!」

同行の家族の子供たちが叫んだ。えっ、カンボジアでドルフィンウォッチングできるの?

僕も目を凝らしてみる。するといるいる。あっちでこっちで、イルカがその丸い背中を海面に突き出しているではないか!興奮する乗客を尻目に「たいてい見れますよ」と涼しい顔のレンジャー。

しばらくするとボートは美しいビーチに接岸した。ここでしばし海水浴タイム。海はきわめて透明で、小魚やカニが底をはっているのが良く見える。おや、向こうのボートは朝ちょっと一緒だったフランス人たちじゃん。おおおナイス! パリジェンヌちゃんのおビキニ姿じゃ!、とれびや~ん。

 「イイ眺メデスカ?」

あちゃ、スイス人の旦那さんに見られていた~。

ビーチに接岸して海水浴タイム-コンポンソム近郊・カンボジア
ビーチに接岸して海水浴タイム-コンポンソム近郊・カンボジア

そうしてる間にスタッフはシーフードバーベキューの準備を整えてくれた。優雅なランチを楽しんだ後はハイキングを兼ねて近くの農村を訪問、そしてボートに乗って公園の入り口に戻った。なかなか充実したツアーだったぞ。

ゲストハウスに戻るミニバスの中、例のスイス人が「私たちは結構高いホテルに泊まったのに街の地図さえないんだよ」とぼやいていた。「え、僕のゲストハウスではタダでくれましたよ」と地図付きパンフレットを見せてあげると、「ああ、こういうのが欲しかった!」と大変悔しがっていた。

「じゃあ僕のゲストハウスに寄ってパンフレットもう一部もらってあげますよ。」ミニバスは僕の止まっているMゲストハウスに直行した。首尾よくパンフレットをもらって家族に進呈すると大変喜ばれた。

「ありがとう、気をつけて旅してください」と律儀に彼は僕に名刺をくれた。「それではお元気で」と見送って、しばらくしてからその名刺をしげしげと見つめた。むむむむむむ!

  ↓その名刺
(株)某有名独車メーカー
 北京事務所・首席代表 
 A●●●●●K○○○○

どっひゃー!とんでもないバラモン階級の人だったんだ~!こ~んな人に、パリジェンヌ・おビキニ姿で鼻の下伸ばしてるところ目撃されたのか。これじゃ、いつまで経ってもカーストは上がらないわな、トホホ~。

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 18:21