【海峡を越えて―韓国短期旅行】
第3話)熱狂、釜山W杯スタジアム

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翌朝フェリーは釜山港に着いた。港の観光案内で、韓国サッカー(Kリーグ)の試合があるか尋ねてみる。うまい具合に今日試合があればラッキーである。野球と違ってサッカーは週に1~2回しか試合がないので、飛び込み観戦は結構、難かしいのだ。

日本語堪能な案内嬢はどこやらへ電話をかけて情報確認してくれる。観光局の対応としてはなかなか親切だゾ。

 案内嬢:「今日、試合あるてす」
 僕  :「それはラッキー!」
 案内嬢:「新しいスタチアムの最初の試合てす。いろいろセレモニーやります。」

なんと、釜山W杯スタジアムの柿落としのゲームじゃないか!歴史的な試合がみれる!!

昼過ぎ、最寄り駅からタクシーに乗ってスタジアムを目指す。いや、目指したつもりなのだが、、、タクシーの乗り方がよくわからん。韓国独特の相乗りシステムが分からないのだ。全然車がつかまえられない。

そこに救いの神が現れた。レッドデビル(=韓国サポーターの通称)である。彼は英語が話せたのでスタジアムまでちゃっかりタダで相乗りさせてもらうことにした。

 レッドデビル:「お前はどこから来た?」
 僕     :「東京からだよ」
 レッドデビル:「そうか、おれはソウルからだ」

ちょっとまて、郷土意識の強い韓国で、なんでソウルっ子が釜山のチームを応援しにくるんだろう。

 僕     :「なんでソウルから釜山のチームを応援しにきたの?」
 レッドデビル:「はぁ? 馬鹿なことを言うな。今日は国家代表の試合だぞ!」
 僕     :「国家代表!!」

おおー、今日はラッキーの3倍である。Kリーグの試合だと思ったら韓国代表チームとナイジェリア代表の親善試合だった。例えていうなら、牛丼を頼んだら、松阪牛のステーキが出てきたようなものだ(狂牛病でないことを祈る)。

セレモニーでは軍隊が鉄砲を打つわ、戦闘機がアクロバット飛行をするわ、派手な花火は打ち上がるわで盛り上がっていた。これで料金約1000円とは安いものである。しかし僕にとって一番の見どころは公式スポンサー現代自動車のキャンペーンねーチャンだったのは言うまでもない。

さて、肝心の試合だが、韓国チームは欧州や日本で活躍する一流選手が出場しない、ナイジェリアも2軍に近いチーム編成であった。うーん松阪牛のステーキはオージービーフにやや格下かぁ。

それでも試合はシーソーゲームの好試合。元ヴィッセル神戸にいたキム・ドフンのPKで韓国が先制。ナイジェリアも同点に追い付くものの、最後に韓国の誇る若きエース、イ・ドングのヘッドが炸裂して突き放す。5万人の大観衆は盛り上がる、盛り上がる。ウェーブの波が2周、3周とスタジアムを包み込む。

さてこのまま無事に2-1で韓国勝利かと思われた瞬間、ナイジェリアがゴール前でフリーキックを獲得した(かに見えた)。韓国、絶対絶命のピンチ?!

僕はイヤな予感がした。

もしこの歴史的なスタジアムの第一戦で韓国チームが勝てなかったら、観衆は行き場のない怒りをどこにむけるだろうか?当然その鉾先は外国人に向かうであろう。ちょっ、ちょっと待て、一般席にいる外国人って僕だけじゃないかぁぁぁ。なんとかしてくれ~。

そのとき奇跡が起きた。僕の願いが通じたのか、こともあろうにレフェリーが試合終了の笛をさっさと吹いちゃった。

そんなあるか~、とナイジェリアチームは抗議するが、ここは韓国のホームである。5万大観衆はハッピーハッピー。僕も変なとばっちりを受けずにラッキーラッキーであった。

ちょっと八百長くさい勝利ではあったが、レフェリーの配慮に感謝。

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 00:00