【暑くて、熱い。ミャンマー・オカマ祭】
第3話)いざタウンビョン村へ

||ミャンマー旅行記|ヤンゴン|マンダレー|タウンビョン||

猛暑のなかワゴンカーはタウンビョン村に向かって長閑な水田地帯を突き進む。ところどころ小高い丘にはパゴダの尖塔が黄金色に輝きとても美しい。村に近づくにつれ、祭りに向かう乗り合いトラックバスの数も多くなってきた。

街道筋に繰り出す地元の人の数も増え、なにやら手にした器を振りかざしている。すわ集団で物乞いだろうか?と思ったらそうではなかった。

よく見ると前を行くトラックバスの乗客がお札をばら撒いている。するとそのお札を道路脇の住民がわれ先にと奪いあう。ガイドのソウ・ウィンさんによると、これは撒かれたお札を拾うと幸せになるという儀式みたいなものだという。

でも、お金をばら撒くほうのトラックバスの乗客ってそんなにリッチなのだろうか?だいたい金持ちならトラックバスなんてみすぼらしい車に乗るはずないのだが、、、

しかし謎は直ぐに解けた。ばら撒いているのは1チャット札であった。日本円にしたら0.1円程度の価値しかない。物価の安いミャンマーでも、1チャット札なんてあまりにも価値が低すぎて、日常の買物で使われることはない。このお札は祭りのばら撒き用に存在しているといっても過言ではなかろう。さすが信仰の国ミャンマー。

小一時間ほどで僕らの車はタウンビョン村の入り口に到着した。冷房の効いたワゴンを降りるとたちまちムッとする熱気に包まれ、汗がだらだら流れだす。マンダレー地方は盆地なので、夏はものすごく暑い。ミャンマー人を満載したトラックバスも次々と到着し、大勢の人々がぞろぞろと村へと向かう。あたりはもう人、人、人でゴッタ返し、タダでさえ暑いのに、それに民衆の熱気が加わってスゴイ状態だ。

村には夥しい数の草葺の出店が立ち並んでいた。食堂やみやげ物屋、雑貨やら得体の知れない薬草やら、なかには日本ブランドのファッション小物(?)まで売っている。SONYのヘアブラシなんかここでしか手に入らないレアグッズだぜ。(笑)

出店の最大勢力はお菓子屋である。もち米やココナッツを砂糖で固めた不思議な逸品が山のように積まれている。ブースで展示販売ときたらお約束はイべントコンパニオン。ミャンマーのキャンペーンガールはタナカを顔に塗りたくって「いらっしゃ~い」とお客を誘う。

さて、その正体不明のお菓子を山のようにせっせと買い込む日本人がいた。われらがNさんである。Nさんはビニール袋いっぱいに買い込んだかと思うまもなく、またまた追加注文していた。

 「いやー家の土産にちょうどいいですよ」

あくまでも爽やかにファミリーパパを演出するNさん。でも、どこでも売ってるそのお菓子を、Nさんはなぜか特定のお気に入りの売り子ちゃんからしか買おうとしない。むろんこの事実はNさん夫人には極秘である。

出店が立ち並ぶ一角に移動観覧車を発見した。何人かの客が観覧車に乗り込むと係りの兄ちゃんが驚くべき大技を披露してくれた。

彼は観覧車の一番上によじ登ると、そこから観覧車の端っこを掴んで、えいっ!と地面に勢いよく飛び降りる。するとその勢いで観覧車がスルリと回りだす。兄ちゃんは間髪を入れずスルスル猿のように観覧車をよじ登り、また観覧車をつかんで、えいっ!と飛び降りその勢いで観覧者を回し、これを延々繰り返す。観覧車は人力で動かすのがミャンマースタイル。人間の力ってスゴイ!

しばらく辺りをふらふら歩いていると露店の裏の一角から鐘や太鼓のリズムが聞こえてきた。ジャンジャカ♪ジャンジャカ~♪ 

僕らは音のする方へ向かって行った。すると民家の一角に神棚をあつらえた小さなステージが出来上がっていた。音階の異なる鐘を木琴のように並べた打楽器隊が、最初は緩やかに、そしてだんだん激しくリズムを刻みだす。音楽の盛り上がりに合わせて奥からダンサーが現れた。ダンサーは女性の衣装を身にまとっていたが、その顔つきはとてもいかつい。

嗚呼! こっ、これが噂のタウンビョン祭りの主役、オカマちゃんなのか~。

踊るオカマ!
出たっ、踊るオカマ!

ガイドのソウ・ウィンさんは僕らがステージ脇に入れるよう交渉してくれた。外国人特権なのか、村の人は「中にに入りな」と門を開けてくれる。有難い。さあいよいよオカマ祭りが始まるぞ!

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 18:07