【暑くて、熱い。ミャンマー・オカマ祭】
第4話)利益(りえき)はなくとも、ご利益(りやく)さ!

||ミャンマー旅行記|ヤンゴン|マンダレー|タウンビョン||

民家の一室を開放したステージでは打楽器隊の激しいリズムが鳴り響いていた。オカマダンサーはタバコをふかしながら踊っている。時折地酒をラッパ飲みして気合を入れる。踊っているというよりラリっているようにも見えるのだが、、、。

気温は容赦なく上がり続け、暑さに弱い僕ら外国人は見ているだけでもシンドイ。だが、ダンサーも観客もミャンマー人たちは平然としている。彼らのDNAには温度を感じる染色体が1本足りないに違いない。

音楽が盛り上がるにつれ、ダンサーの踊りも激しさを増してゆく。しだいにダンサーは陶酔状態に達してゆく。するとダンサーを囲んでいた観衆が自分のお札を次々とダンサーに手渡しだした。見る間に札束で埋まってしまうダンサーの手のひら。ダンサーは分厚くなった札束を見せびらかしながらくるくる回っている。

ジャンジャカ♪ジャンジャカ~♪ 音楽はクライマックスを迎えようとしている。そして最後にジャーン♪と大きな鐘の音が鳴るとともにダンサーは手にしたお札を天空に撒き散らした。

  ヒラヒラ~、  ヒラヒラ~、

空からお札のシャワーが降ってきた。するとステージは仁義なき札束争奪の戦場と化す。人々はありがたいオカマ様が降らせた天の恵みを奪おうと、老いも若きも入り乱れて、魑魅魍魎の修羅場状態。が、これもほんの一瞬の出来事で収束してしまう。時間にすれば10秒も経たないうちにお札はきれいさっぱりと誰かのフトコロに消えているのだ。

踊るオカマ!
オカマの回りを札束が舞う!

札束シャワーが終わると、音楽のリズムはゆっくりとなり、次のダンサーへと交代する。するとまた音楽が激しくなり、札束がダンサーに手渡され、お札のシャワーが降る。そして争奪戦が始まり一瞬で終わる。すると次のダンサーへ、、、、延々とこのパターンが繰り返される。

ミャンマーの人々が必死になって掴もうとするお札。だがよく考えれば、それは予め観衆が自分でダンサーに手渡したお札。経済学的には一切の利益もない。だが、聖なるオカマ様が降らせたお札、利益(りえき)はなくとも、ご利益(りやく)はたーぷりあるということなのだろう。

激しい争奪戦のさなか、ステージ脇の僕の前にも風に乗ったご利益(りやく)たっぷりのお札が落ちてきた。ラッキーである。サっとそれを掠め取って金額を確認した。でも、当然のようにそのお札は、、、1チャット札。  嬉しいような、悲しいような、、、

タウンビョン村では、このような民家をステージにした踊り場がいくつもあった。あちらの角からこちらの壁から、ジャンジャカ♪ジャンジャカ♪ 音楽は鳴り止むことがない。札束シャワーが何度も降り、これが一週間延々と続く。

ミャンマー全土から信者が集結するこのお祭りはミャンマー人にとって特別なものなのだろう。その証拠にミャンマー国鉄もこの時期だけ列車をタウンビョン村まで走らせている。たった一週間の祭りのためだけに存在する鉄道なんて聞いたことがないゾ!

そしてその列車がまたスゴイのだ。列車はORDINARY CLASS(一般人用)と書かれていたが、タウンビョン駅に進入してきた客車(僕には貨車に見えるのだが、、、)は屋根まで人が乗っているではないか!そればかりかく、先頭の機関車のデッキまで人・人・人で溢れている。・・・ミャンマーで一般人やってくのも楽ではないネー。

結局僕らは2日間ぶっ通しで祭りに通い詰めた。猛暑のせいで見ているだけなのに最後はめまいがしてきた。ああ暑かったぁぁぁ。

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 18:05