322 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/18(土) 16:44:58.16 ID:.CHHgvI0
第四話
第四話
「じゃあラスト三問目。僕は何故かはよく分からないけど、目が赤くなるときがある。そのときの条件は?」
「考え事に耽っていくとだんだん目が赤くなっていき、最終的には白目の部分が全部赤くなるぐらいになってしまう・・・そして」
「で、考え事すると目が赤くなってどうなるんだっけ?」
マキが聞いてくる。前にも話したと思うんだが・・・
「あーちょっと待って。私が前にメモしたのが残ってるはず」
そう言って真夏は自分のカバンを漁る
取り出したのは一冊のノート。これって例のデスノートじゃねえか
「どれどれ?目が赤くなると・・・んー・・・色々書いてあって逆に訳分からなくなってる・・・どうやら簡潔に言うと頭の回転がはやくなるっぽい。流れで説明すると、考え事をする→目が赤くなりはじめる→考え事を続行→目が完全に赤くなる→ハイパーLREタイム→思考能力が急上昇、みたいだ」
「ああ、そういえばそんな感じだった」
「でも確か欠点もありましたよね?」
「それも書いてある。使いすぎると頭がボーッとするらしい。これはまだ軽いほうで、限界まで使ってると強制解除されたあと気絶するぐらい。だとさ。ちなみに強制発動も出来るらしいけど、使用時間が通常より短くなるみたいだ」
まあ要するにそんなところ。考え事をすればする程、脳内での時間が遅く流れるだけ。ソーマトウって言うのか?まあでも頭がよくなるわけじゃないから、あまり意味無いけどな
しかし、なんだ・・・
323 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/18(土) 16:45:28.25 ID:.CHHgvI0
「何でそんなことわざわざメモしてるんだ?」
323 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/18(土) 16:45:28.25 ID:.CHHgvI0
「何でそんなことわざわざメモしてるんだ?」
「いや、何か目が赤くなるとか格好いいじゃん?マンガとかに出てきそうだよ。これ使って私、何かマンガ書けそうだよ。というかその力凄い羨ましいよ。私にくれよ」
「わけわかんねーよ!マンガ書くつもりかよ!結局自分が欲しいだけじゃねーか!」
「凄いじゃんその力!追い詰められた主人公がこの赤い目で逆転とかさ!友情、努力、勝利に繋がりそうだしさ!それに某ハントマンガの鎖使いみたいだよその赤い目!」
「僕はクルタ族の生き残りでもなんでもねえよ!しかもジャンプに応募するつもりかよ!それにこの力のせいで長い間考え事出来ないからむしろマイナスだろ!というかこれただの充血だっての!」
マキの家系は大体医者になっているらしい。マキにもその才能があるらしく、僕の力というか赤い目を見せたところ充血という診断結果だった。・・・格好悪い
「充血もそこまで来ると逆に格好いいよ!私もそれぐらい充血してみたかった!」
「全然格好よくねえよ!充血したいって何!充血願望とか聞いたことないぞ!それにハイパーLREタイムって何!」
「正式名称は、赤眼開花 - Lunatic Red Eyes(ルナティックレッドアイズ)略してLRE!格好いいだろ!私が名付けた!」
ダメだこいつ・・・はやく、なんとかしないと・・・
というか何でこんな話になったんだっけ。ああ、そうだドッペルゲンガーについて聞こうとしたんだ
「そうだそうだ。なあ、みんな。ドッペルゲンガーっていると思う?」
「へ、ドッペルゲンガー?」
最初に反応したのは真夏だった
「んー、どうだろう。私はいないと思うけどな・・・妖怪の類だろ?ドッペルゲンガーって。今の世の中に妖怪なんて・・・」
「マキはどう?」
324 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/18(土) 16:45:56.80 ID:.CHHgvI0
「俺も真夏と同じ意見だな。妖怪とか正直、いるとは思えない。科学技術的な意味で・・・というか、勇人いきなりどうしたんだ?妖怪の存在とか真冬ちゃん並に信じてなさそうだが」
324 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/18(土) 16:45:56.80 ID:.CHHgvI0
「俺も真夏と同じ意見だな。妖怪とか正直、いるとは思えない。科学技術的な意味で・・・というか、勇人いきなりどうしたんだ?妖怪の存在とか真冬ちゃん並に信じてなさそうだが」
「あ、いや。昨日ホラー映画見たあと日本妖怪辞典みたいなの見てたらさ、ドッペルゲンガーってのがあったんだ。世の中に似た人は3人いるっていうし、そこのところどうなんだろって思って」
危ない危ない、結局何の前触れも無くいきなり聞いてしまった。真夏はスルーしてくれたのに・・・。変なところで鋭いな、マキ
最後に真冬ちゃんに聞いてみることにした
「真冬ちゃんは・・・」
マキがさっき言ってた通り、真冬ちゃんが信じているとは思えない。何て言ったって、あの『証明の女神』の二つ名を持つぐらいだ。ちなみにその二つ名は真夏が広めt
「私は・・・いると思います・・・」
な
「「「なんだってー!」」」
僕とマキと真夏でシンクロする。おお、案外ドッペルンゲンガーじゃなくてもシンクロするもんだな
って、そうじゃなくて
「え、いるって。本当に?」
少し信じられなくて再度聞いてしまう。聞き違いなんてことが・・・
「は、はい。いると思います。ただ、妖怪ではなく、全く同じ、もう一人の自分だという条件付きですが」
- どうやら聞き違いではなかったようだ
僕もマキも真夏も唖然。ざわ・・・ざわ・・・
325 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/18(土) 16:46:25.12 ID:.CHHgvI0
「お、おい・・・。あの『証明の女神』がドッペルゲンガーを信じているだと・・・?」
325 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/18(土) 16:46:25.12 ID:.CHHgvI0
「お、おい・・・。あの『証明の女神』がドッペルゲンガーを信じているだと・・・?」
「そ、その二つ名、恥ずかしいです・・・」
うーん、可愛らしい。じゃなかった、びっくりだ。真夏に至ってはびっくりしすぎて声すら出てない
ちなみにさっきも言った通り、『証明の女神』というのは真夏が名付け、真夏が広めた真冬ちゃんの二つ名である。
数学的、物理的、科学的に考えて物事を証明する癖からついた二つ名・・・
そんな空想から一番遠いと思われる真冬ちゃんがドッペルゲンガーを信じるだと
いや、逆に考えるんだ
そんな真冬ちゃんだからこそ、何かドッペルゲンガーを信じるに値する根拠があるのかもしれない
それに、ドッペルゲンガーじゃなくて同一人物という条件付きだという。僕としてはそちらのほうが有難い。あれは妖怪の類ではなかった。多分
- 聞いてみるか
「真冬ちゃんが、そのドッペルンゲンガーを信じる根拠って何?」
「それはですね・・・」
真冬ちゃんの目が怪しく光る・・・いかん、これは自分の世界に入った予感
「まず!西田先輩もお姉ちゃんも間違ってます!いない、という意見を持つのは問題ありませんが、理由は科学技術の発展したこんな世の中だから、なんて人任せでしかありません!そんな証明、エレファントです!」
「え、エレファント?」
326 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/18(土) 16:46:58.62 ID:.CHHgvI0
マキのやつこれも忘れてるのかよ。たしか、エレファントってのは数学の証明の評価で使う言葉だっけ。綺麗に証明出来ると「エレガント」、不恰好だと「エレファント」・・・って真冬ちゃんが言ってた
326 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/18(土) 16:46:58.62 ID:.CHHgvI0
マキのやつこれも忘れてるのかよ。たしか、エレファントってのは数学の証明の評価で使う言葉だっけ。綺麗に証明出来ると「エレガント」、不恰好だと「エレファント」・・・って真冬ちゃんが言ってた
「今度は私が証明します!ドッペルゲンガーはいます!一般相対性理論と量子力学をあわせた量子重力理論、その中の超弦理論を使います!まだ未完成ですが、これが成立すると仮定します!超弦理論は、物質の基本的単位を大きさが無限に小さなゼロ次元の点粒子ではなく1次元の拡がりをもつ弦であると考える弦理論に超対称性という考えを加え拡張したものです!超は、凄いって意味でついた訳じゃないので間違えないでください!ここで宇宙多重創生論です!平行宇宙間を繋ぐものに、アインシュタイン・ローゼン橋と呼ばれるものがあり、これはブラックホール等の重力崩壊を起こした天体によって生じるものです!先ほど言った超弦が絡み合う状態は、極小のブラックホールを生み出します!ちなみに超弦理論は理論の整合性のため10次元時空が必要で・・・」
そ、そろそろやばくなってきた。真夏やマキは大丈夫だろうか
二人の様子を見る・・・
って真夏の頭から何か出てるぞ!煙!?マキは口から何か出てるし!あれエクトプラズマってやつじゃねえのか!?
「Q.E.D 以上です!あ・・・」
どうやら事態に気付いたらしい。真冬ちゃんの証明がストップした
「す、済みません!済みません!また私、自分の世界に入っちゃって・・・」
「いや、まあ僕は大丈夫だけど他の二人は重症かも」
「お姉ちゃん!西田先輩!済みません!」
真冬ちゃんが必死に謝っている。どうやら二人とも蘇生出来たようだ
だが肝心なことが聞けてない、というか理解出来てない
327 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/18(土) 16:47:38.18 ID:.CHHgvI0
「真冬ちゃん、結局どういうことなの?」
327 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/18(土) 16:47:38.18 ID:.CHHgvI0
「真冬ちゃん、結局どういうことなの?」
おそらく証明できたのだろう。結論だけ聞かせてもらうことにした
「えっと、つまり多重構造世界。いわゆるパラレルワールドから来たってことです。ドッペルゲンガーでなく、同一人物ですが」
- それの証明ってことだったのか
証明の女神の二つ名は伊達じゃないってこと、改めて実感した