400 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:28:45.43 ID:uVpZ6co0
どんだけ☆エモーション(その12)
(サトシ視点)
「千絵先生!」
俺はホームルーム終了後職員室に向かう千絵先生を追いかけた。
「あら? サトシ君どうしたの? そんなに慌てて?」
千絵先生はいつもと変わらない表情で俺をじっと見る。
「そりゃ慌てますよ! ヒロアキがこの学校から居なくなるんだから!」
興奮が抑えきれないせいか俺にしては珍しく口調が強くなってしまう。
「確かにヒロアキ君が居なくなる事は大変な事よね。でも決まってしまった事だし
仕方無い事だわ。」
千絵先生は俺の興奮をよそに冷静に答える。
「何で千絵先生は平然としているんですか? ヒロアキは先生と晴子さんとの
関係からして昔からの顔馴染みでは無いんですか?」
「そうだけど私はヒロちゃんと二度と会えない訳ではないし、学校だけのつながりでは
無いからね」
「先生にとってはそうかも知れないですけど展開が急すぎですよ! 留学だけの話では
無かったんですか?」
「まぁ、留学自体がアレだったし、展開としてはいいのかな」
「アレ?」
曖昧な千絵先生の言葉に(゚д゚)ポカーンとする俺。
「ふふっ、何でも無いわ。とにかく決まってしまった以上、私にはどうすることも出来ないわ。
ハルちゃんだってそうせざるを得なかったんでしょうねぇ。」
「そうせざるを得ない…?」
「ご免ね、サトシ君。私用事があるから行くわよ」
「…」
呆然としていたのでこれ以上千絵先生を引き止める事もできず
その場に立ち尽くす俺。
千絵先生は立ち去ろうとしたが一旦立ち止まると振り返って俺に向かう。
「サトシ君、確かにあなたの親友のヒロアキ君は高校にはもう来ないけど
別にそれで終わりじゃないでしょ?」
「え?」
千絵先生の問いかけに戸惑う俺。
「確かにサトシ君にとって今回の件はとてもショックな事だと思うわ。
でも親友は親友でしょ? どのような状況であってもね」
「それはそうですけど…」
先生の言っている事は分かっていても腑に落ちない。
「…それに別に寂しくなんてないでしょ、一応居るし」
「え?」
「それじゃ、ね」
千絵先生は行ってしまった。
401 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:31:28.56 ID:uVpZ6co0
「…」
千絵先生が行ってしまった後になっても俺は動揺が治まらずその場に居た。
下校時間なので生徒の往来の邪魔にならないように廊下の窓際に寄りかかる。
窓の外からは下校中の生徒が見える。皆、試験が終わったせいか賑やかな様子で
俺とは対照的だ。
千絵先生はいつもと変わらない表情で俺をじっと見る。
「そりゃ慌てますよ! ヒロアキがこの学校から居なくなるんだから!」
興奮が抑えきれないせいか俺にしては珍しく口調が強くなってしまう。
「確かにヒロアキ君が居なくなる事は大変な事よね。でも決まってしまった事だし
仕方無い事だわ。」
千絵先生は俺の興奮をよそに冷静に答える。
「何で千絵先生は平然としているんですか? ヒロアキは先生と晴子さんとの
関係からして昔からの顔馴染みでは無いんですか?」
「そうだけど私はヒロちゃんと二度と会えない訳ではないし、学校だけのつながりでは
無いからね」
「先生にとってはそうかも知れないですけど展開が急すぎですよ! 留学だけの話では
無かったんですか?」
「まぁ、留学自体がアレだったし、展開としてはいいのかな」
「アレ?」
曖昧な千絵先生の言葉に(゚д゚)ポカーンとする俺。
「ふふっ、何でも無いわ。とにかく決まってしまった以上、私にはどうすることも出来ないわ。
ハルちゃんだってそうせざるを得なかったんでしょうねぇ。」
「そうせざるを得ない…?」
「ご免ね、サトシ君。私用事があるから行くわよ」
「…」
呆然としていたのでこれ以上千絵先生を引き止める事もできず
その場に立ち尽くす俺。
千絵先生は立ち去ろうとしたが一旦立ち止まると振り返って俺に向かう。
「サトシ君、確かにあなたの親友のヒロアキ君は高校にはもう来ないけど
別にそれで終わりじゃないでしょ?」
「え?」
千絵先生の問いかけに戸惑う俺。
「確かにサトシ君にとって今回の件はとてもショックな事だと思うわ。
でも親友は親友でしょ? どのような状況であってもね」
「それはそうですけど…」
先生の言っている事は分かっていても腑に落ちない。
「…それに別に寂しくなんてないでしょ、一応居るし」
「え?」
「それじゃ、ね」
千絵先生は行ってしまった。
401 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:31:28.56 ID:uVpZ6co0
「…」
千絵先生が行ってしまった後になっても俺は動揺が治まらずその場に居た。
下校時間なので生徒の往来の邪魔にならないように廊下の窓際に寄りかかる。
窓の外からは下校中の生徒が見える。皆、試験が終わったせいか賑やかな様子で
俺とは対照的だ。
…ショックだ。
何でこうなってしまったのだろうか。
天気はとても良いのだが、その良さが俺にとってはかえって空虚に感じる。
…。
ぼんやりしながらも俺は色々とこれまでの経緯を思い起こす。
天気はとても良いのだが、その良さが俺にとってはかえって空虚に感じる。
…。
ぼんやりしながらも俺は色々とこれまでの経緯を思い起こす。
今週の初め、俺とヒロアキは一緒に帰った。
俺にとってはいつもと変わらない光景でヒロアキもいつもと変わらない様子だった。
しかしその日の昼以降から奴の消息がプッツリと途絶えた。
何度携帯電話で連絡を取ろうにも実際に家に会いに行っても手掛かりは掴めなかった。
翌日の朝、俺がヒロアキの家まで迎えにいった時に晴子さんは
ヒロアキは海外留学に行ってしまったと言った。
俺にとってはいつもと変わらない光景でヒロアキもいつもと変わらない様子だった。
しかしその日の昼以降から奴の消息がプッツリと途絶えた。
何度携帯電話で連絡を取ろうにも実際に家に会いに行っても手掛かりは掴めなかった。
翌日の朝、俺がヒロアキの家まで迎えにいった時に晴子さんは
ヒロアキは海外留学に行ってしまったと言った。
…そして今日の千絵先生の話。
「やっぱり、おかしいぜ…」
思わず言葉がこぼれる。
あまりに話が急展開すぎるし、不自然にも程がある。
第一、俺はヒロアキから留学の話をこれっぽっちも聞いてない。
そのような素振りも全然無かった。たとえ以前よりヒロアキと接する機会が減っていたとしてもだ。
思わず言葉がこぼれる。
あまりに話が急展開すぎるし、不自然にも程がある。
第一、俺はヒロアキから留学の話をこれっぽっちも聞いてない。
そのような素振りも全然無かった。たとえ以前よりヒロアキと接する機会が減っていたとしてもだ。
肝心の母親の晴子さんはあんな感じだからまともな確認の取り様が無いのは
俺自身が認識しているところであり。
俺自身が認識しているところであり。
だからヒロアキに確認を取ろうにもその本人はあの日一緒に帰って以降
全然連絡が取れなくなってしまった。
これまでこんな事はヒロアキのやり取りの中で一度も無かった。
実のところひょっとしたら連絡が取れるんじゃないかと未だに連絡を取り続けている。
402 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:35:29.56 ID:uVpZ6co0
「…」
俺は晴子さんがヒロアキについて何かを隠しているに違いないと思っている。
そりゃ、実の母親だもんな。知らない訳が無い。
そうなってくるとその疑惑は晴子さんだけでなく千絵先生にもかかってくる。
俺は千絵先生は晴子さんと非常に仲が良い事は知っている。
絶対あの二人が裏で繋がっているのは間違いないと思う。
さっきの会話の中にも何か意図的なものを感じるのは俺の気のせいだろうか。
全然連絡が取れなくなってしまった。
これまでこんな事はヒロアキのやり取りの中で一度も無かった。
実のところひょっとしたら連絡が取れるんじゃないかと未だに連絡を取り続けている。
402 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:35:29.56 ID:uVpZ6co0
「…」
俺は晴子さんがヒロアキについて何かを隠しているに違いないと思っている。
そりゃ、実の母親だもんな。知らない訳が無い。
そうなってくるとその疑惑は晴子さんだけでなく千絵先生にもかかってくる。
俺は千絵先生は晴子さんと非常に仲が良い事は知っている。
絶対あの二人が裏で繋がっているのは間違いないと思う。
さっきの会話の中にも何か意図的なものを感じるのは俺の気のせいだろうか。
そうなってくると。
「…この後の予定が決まったな」
俺は一人呟くと教室に戻り、自分の荷物をまとめる。
「サトシ、帰るのか? それなら俺と…」
「悪い! 急用ができた! 急ぐからごめんな!!」
「え? ちょ、サトシ!?」
俺の戻りを待っていた吉田を振り切ると俺はヒロアキの家へと向かった。
「…この後の予定が決まったな」
俺は一人呟くと教室に戻り、自分の荷物をまとめる。
「サトシ、帰るのか? それなら俺と…」
「悪い! 急用ができた! 急ぐからごめんな!!」
「え? ちょ、サトシ!?」
俺の戻りを待っていた吉田を振り切ると俺はヒロアキの家へと向かった。
このままでは埒が明かないし、何も知らないままでいることなんて俺には耐えられない。
…だから。
403 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:40:57.95 ID:uVpZ6co0
…だから。
403 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:40:57.95 ID:uVpZ6co0
◇
(ミヒロ視線)
「さて、そろそろ準備に取り掛からないとね~」
「うん」
夕方になって夕食の準備に取り掛かる俺。
それぞれエプロンを身につけるとキッチンに向かう。
「…」
しかし相変わらず実用に向かないひらひらのエプロンですこと。
親子揃ってフリフリのレースの入った可愛らしいピンクのエプロン。
某所に行ったら普通にコスプレと勘違いされるんじゃないの?
実由の分もあるのでペアルックというよりはトリオルックとでも言うのだろうか?
…全くいい趣味しているよ。確かに似合っているから何も言えないが。
「そうでしょ~、私たちに似合うと思ってチョイスしたのよ~」
(ホント、よく似合っているよねww 可愛い~ww)
「はいはい」
「うん」
夕方になって夕食の準備に取り掛かる俺。
それぞれエプロンを身につけるとキッチンに向かう。
「…」
しかし相変わらず実用に向かないひらひらのエプロンですこと。
親子揃ってフリフリのレースの入った可愛らしいピンクのエプロン。
某所に行ったら普通にコスプレと勘違いされるんじゃないの?
実由の分もあるのでペアルックというよりはトリオルックとでも言うのだろうか?
…全くいい趣味しているよ。確かに似合っているから何も言えないが。
「そうでしょ~、私たちに似合うと思ってチョイスしたのよ~」
(ホント、よく似合っているよねww 可愛い~ww)
「はいはい」
そんなやりとりはさておき、俺は母さんと二人で今晩何を作るか話し合う。
「今日は家庭的に肉ジャガなんてどう~?」
「うん、いいと思う」
あっさり決まる。
嗜好の変化のせいかあまり好きでは無かったイモが最近好きになっている俺。
何故か女の子ってイモが好きなんだよね。
「今日は家庭的に肉ジャガなんてどう~?」
「うん、いいと思う」
あっさり決まる。
嗜好の変化のせいかあまり好きでは無かったイモが最近好きになっている俺。
何故か女の子ってイモが好きなんだよね。
とりあえず下ごしらえの野菜を切る作業を始める俺。
すっかり俺の包丁を扱う手つきもさまになってきている。
「毎日の献立を考えるのって結構大変なんだな」
「そうよ~、主婦って色々大変なのよ~
ミヒロちゃんも立派な奥さんになれるように今から特訓しないとね~」
「お、奥さんって、何言ってるの? しかも誰の!?」
「ふふっ、誰なのかしらね~。でもいつかはミヒロちゃんも…ね♪」
母さんは俺の方を見ると軽くウインクする。
「ち、ちょっと、止めて欲しいんですけど!?」
思いっきり動揺する俺。…ああ、もう、野菜のカットがバラバラだよっ!
404 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:42:23.72 ID:uVpZ6co0
気を取り直して下ごしらえに専念する俺。
…トントントン。
まな板の小気味の良い音が続く。
すっかり俺の包丁を扱う手つきもさまになってきている。
「毎日の献立を考えるのって結構大変なんだな」
「そうよ~、主婦って色々大変なのよ~
ミヒロちゃんも立派な奥さんになれるように今から特訓しないとね~」
「お、奥さんって、何言ってるの? しかも誰の!?」
「ふふっ、誰なのかしらね~。でもいつかはミヒロちゃんも…ね♪」
母さんは俺の方を見ると軽くウインクする。
「ち、ちょっと、止めて欲しいんですけど!?」
思いっきり動揺する俺。…ああ、もう、野菜のカットがバラバラだよっ!
404 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:42:23.72 ID:uVpZ6co0
気を取り直して下ごしらえに専念する俺。
…トントントン。
まな板の小気味の良い音が続く。
―奥さんか。
作業の手を緩めてそのフレーズに想いを巡らす俺。
今の俺の姿のままだといずれは誰かの奥さんになってしまうのかな、と考える。
作業の手を緩めてそのフレーズに想いを巡らす俺。
今の俺の姿のままだといずれは誰かの奥さんになってしまうのかな、と考える。
「…いやいや、落ち着け」
この間まで男だった俺だよ?
女になったからって急に男を好きになって付き合うとか、更には結婚して
誰かのお嫁さんになるなんて実感が湧かないし有り得ない話だと思ってしまう。
そうそうこの状況に順応なんて出来ないよなぁ…。
(大丈夫よ、ミヒロちゃん)
―ん?
(私がいるもの。私がいるから男の子を好きになる事も付き合う事も
何ら違和感は出てこないわ。だって私、女の子だもの)
―…。
確かに男の子と付き合う事について全然違和感というか拒絶する気持ちは
俺の中には湧いてこないんだ。
女になったからって急に男を好きになって付き合うとか、更には結婚して
誰かのお嫁さんになるなんて実感が湧かないし有り得ない話だと思ってしまう。
そうそうこの状況に順応なんて出来ないよなぁ…。
(大丈夫よ、ミヒロちゃん)
―ん?
(私がいるもの。私がいるから男の子を好きになる事も付き合う事も
何ら違和感は出てこないわ。だって私、女の子だもの)
―…。
確かに男の子と付き合う事について全然違和感というか拒絶する気持ちは
俺の中には湧いてこないんだ。
…しかも。
しかも恐ろしい事に母さんの話の「誰の奥さんになるのかしらね」という部分で"ある人物"が浮んで
来ていたのである。それも…
(うふww ミヒロちゃんだけでなく私も好きだから良かったよねっww)
俺の意識の中にマルさんの胸キュンな感情が流れ込んでくる。
しかも恐ろしい事に母さんの話の「誰の奥さんになるのかしらね」という部分で"ある人物"が浮んで
来ていたのである。それも…
(うふww ミヒロちゃんだけでなく私も好きだから良かったよねっww)
俺の意識の中にマルさんの胸キュンな感情が流れ込んでくる。
す、好きって!?
だ、誰の事かな~~~~!!!!
だ、誰の事かな~~~~!!!!
それは俺の中の”気持ち”と反応して恐ろしいまでの相乗効果を生み、
甘酸っぱい感情が溢れかえってすっごいドキドキしてくる。
「あらあら~微笑ましいわね~! 私も二人の応援するからね~!」
母さんは嬉しそうに俺を抱きしめる。
(頑張ろうね、ミヒロちゃんww)
甘酸っぱい感情が溢れかえってすっごいドキドキしてくる。
「あらあら~微笑ましいわね~! 私も二人の応援するからね~!」
母さんは嬉しそうに俺を抱きしめる。
(頑張ろうね、ミヒロちゃんww)
だから!
だから、読まないでよ!! 人の心の中をっ!!!
俺の顔が真っ赤になる。
も~嫌っ!!
405 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:45:40.90 ID:uVpZ6co0
ピンポーン。
玄関のインターホンの鳴る音がする。
だから、読まないでよ!! 人の心の中をっ!!!
俺の顔が真っ赤になる。
も~嫌っ!!
405 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:45:40.90 ID:uVpZ6co0
ピンポーン。
玄関のインターホンの鳴る音がする。
「あら? 誰か着たみたいね~」
「実由じゃないかな? 見て来る」
俺は料理を作る手を止めるとパタパタと玄関に向かう。
「実由じゃないかな? 見て来る」
俺は料理を作る手を止めるとパタパタと玄関に向かう。
ガチャ。
実由だと思っていた俺は無用心にも確認もせずにドアを開ける。
「え」
ドアの向こうの人物に俺は思わず固まってしまう。
「や、やあ」
「…サ、サトシくん」
そこにはサトシが立っていた。
実由だと思っていた俺は無用心にも確認もせずにドアを開ける。
「え」
ドアの向こうの人物に俺は思わず固まってしまう。
「や、やあ」
「…サ、サトシくん」
そこにはサトシが立っていた。
サトシもまさか俺が出てくるものとは思っておらず驚きの表情を浮かべている。
俺は俺で昨日の事や母さんとのやり取りもあって正直なところ色々と気まずいのだが。
(ホラ、ミヒロちゃん、頑張ってww)
―う、うん…
俺は俺で昨日の事や母さんとのやり取りもあって正直なところ色々と気まずいのだが。
(ホラ、ミヒロちゃん、頑張ってww)
―う、うん…
「…え~と、昨日は色々ゴメンね。あと、鞄を持ってきてくれたんだよね、
…ありがとう」
俺はマルさんの励ましで何とか気持ちを落ち着かせつつ振る舞う。
「いや、俺の方こそゴメン。ミヒロちゃんを泣かせてばかりで嫌な思いばかりさせて」
「…? 嫌な思い?」
サトシの言葉に首を傾げる俺。
「昨日とか、一昨日とか、俺のせいだよね、ミヒロちゃんが泣いちゃったのは。」
確かにサトシに会うたびに泣いたり怒ったりしているような気がしているが
それは俺が原因で起きたものばかりでサトシ自身には非は無いと思う。
「…何言ってるの? 別にサトシ君のせいじゃないよ、私が勝手に泣いただけ。
それに嫌な思いなんて全然してないんだから気にする必要なんて無いんだよ?」
「え、でも…」
「気にしないでいいのっ、ホントだから、ね」
困った感じのサトシに念押しで笑ってみせる俺。
「…そうなんだ、それなら良かった。俺はてっきりミヒロちゃんに嫌われたかなって
内心不安だったんだよね」
ホッとした表情を浮かべるサトシ。
406 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:48:13.45 ID:uVpZ6co0
「やだなぁ、私がサトシくんを嫌いになるわけないじゃない? むしろ私は」
「え? むしろ?」
(むしろww 何?)
「いや、まあその…、それにしても今日はどうしたの?
試験が終わってサッカー部の活動再開だったよね、なんでココに?」
思わず妙な事を口走りそうになるのを抑えて話の方向転換を図る俺。
(もう、ミヒロちゃんったらww)
「そうだ、俺は晴子さんにどうしても確認したい事があって来たんだ」
「母さ…晴子さんに確認?」
「あらあら~、サトシちゃんじゃない~」
俺の背後から母さんが現れる。
「どうも。ここのところ毎日来てばかりですいません。」
ペコリと母さんに向かって頭を下げるサトシ。
「いえいえ、いいのよ~、未来の候補の最筆頭だものね~」
(晴子さんったら、ヤダww)
「…未来の候補? 何ですか?」
「ちょ、かあさ…、何を言ってるの!?」
母さんの言っていることが理解できる俺は思わず動揺する。
「いいじゃない~? 別に~」
「もう、いい加減にしてよ!」
「あらあら~、照れちゃって~ww」
(うふふww)
…ありがとう」
俺はマルさんの励ましで何とか気持ちを落ち着かせつつ振る舞う。
「いや、俺の方こそゴメン。ミヒロちゃんを泣かせてばかりで嫌な思いばかりさせて」
「…? 嫌な思い?」
サトシの言葉に首を傾げる俺。
「昨日とか、一昨日とか、俺のせいだよね、ミヒロちゃんが泣いちゃったのは。」
確かにサトシに会うたびに泣いたり怒ったりしているような気がしているが
それは俺が原因で起きたものばかりでサトシ自身には非は無いと思う。
「…何言ってるの? 別にサトシ君のせいじゃないよ、私が勝手に泣いただけ。
それに嫌な思いなんて全然してないんだから気にする必要なんて無いんだよ?」
「え、でも…」
「気にしないでいいのっ、ホントだから、ね」
困った感じのサトシに念押しで笑ってみせる俺。
「…そうなんだ、それなら良かった。俺はてっきりミヒロちゃんに嫌われたかなって
内心不安だったんだよね」
ホッとした表情を浮かべるサトシ。
406 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:48:13.45 ID:uVpZ6co0
「やだなぁ、私がサトシくんを嫌いになるわけないじゃない? むしろ私は」
「え? むしろ?」
(むしろww 何?)
「いや、まあその…、それにしても今日はどうしたの?
試験が終わってサッカー部の活動再開だったよね、なんでココに?」
思わず妙な事を口走りそうになるのを抑えて話の方向転換を図る俺。
(もう、ミヒロちゃんったらww)
「そうだ、俺は晴子さんにどうしても確認したい事があって来たんだ」
「母さ…晴子さんに確認?」
「あらあら~、サトシちゃんじゃない~」
俺の背後から母さんが現れる。
「どうも。ここのところ毎日来てばかりですいません。」
ペコリと母さんに向かって頭を下げるサトシ。
「いえいえ、いいのよ~、未来の候補の最筆頭だものね~」
(晴子さんったら、ヤダww)
「…未来の候補? 何ですか?」
「ちょ、かあさ…、何を言ってるの!?」
母さんの言っていることが理解できる俺は思わず動揺する。
「いいじゃない~? 別に~」
「もう、いい加減にしてよ!」
「あらあら~、照れちゃって~ww」
(うふふww)
「…」
俺と母さん(+マルさん)の盛り上がりとは対照的にサトシは神妙な顔を崩さず
じっと俺たちの様子を見ていた。
「どうしたの~? サトシちゃん、深刻そうな顔しちゃって?」
「いえ、今日…学校で千絵先生から聞いたんですけど」
「千絵ちゃん? まぁ、という事は」
何かに気付いたような母さんの表情。
俺と母さん(+マルさん)の盛り上がりとは対照的にサトシは神妙な顔を崩さず
じっと俺たちの様子を見ていた。
「どうしたの~? サトシちゃん、深刻そうな顔しちゃって?」
「いえ、今日…学校で千絵先生から聞いたんですけど」
「千絵ちゃん? まぁ、という事は」
何かに気付いたような母さんの表情。
「そうです、ヒロアキの転校の話です」
「え?」
俺はサトシの言葉に反応する。
俺が転校? 初めて聞いたぜ、そんな事。
「え?」
俺はサトシの言葉に反応する。
俺が転校? 初めて聞いたぜ、そんな事。
「…先生の言った事を確認したくて今日はここに来ました。
本当に、本当にヒロアキは学校に帰って来ないんですか?」
407 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:49:45.76 ID:uVpZ6co0
…
本当に、本当にヒロアキは学校に帰って来ないんですか?」
407 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:49:45.76 ID:uVpZ6co0
…
「今更、嘘を言っても仕方ないわ~。サトシちゃん、それは事実よ~」
一瞬の沈黙の後母さんは答えた。
「そうなんですか…」
母さんの話に明らかに落胆の表情を浮べるサトシ。
「ヒロちゃんは向こうの留学先で色々あったのよね~。
だから帰って来れる予定が変わってしまったのよ~」
母さんは俺をチラチラ見ながら会話を進めていく。
…成る程、どうやら男に戻る事が無理だから
ヒロアキは留学したまま帰って来ない展開にするわけか。
母さんの考えている事を理解する俺。
一瞬の沈黙の後母さんは答えた。
「そうなんですか…」
母さんの話に明らかに落胆の表情を浮べるサトシ。
「ヒロちゃんは向こうの留学先で色々あったのよね~。
だから帰って来れる予定が変わってしまったのよ~」
母さんは俺をチラチラ見ながら会話を進めていく。
…成る程、どうやら男に戻る事が無理だから
ヒロアキは留学したまま帰って来ない展開にするわけか。
母さんの考えている事を理解する俺。
「…ヒロアキに何があったのですか? 俺に教えてもらえないのでしょうか?」
事情を全く知らないサトシは身を乗り出さんばかりに母さんに話を聞こうとする。
「あらあら、も~、サトシちゃんたら積極的なんだからww」
母さんはサトシの視線に嬉しそうにする。
「かあさ…、晴子さん、なんでそこでトキメクの!?」
「あらやだww ミヒロちゃん、妬いてるの?」
「違うっ!」
展開があらぬ方向に進みそうになるのを抑える俺に対し
相変らずの母さん。…もう、この人ってば。
事情を全く知らないサトシは身を乗り出さんばかりに母さんに話を聞こうとする。
「あらあら、も~、サトシちゃんたら積極的なんだからww」
母さんはサトシの視線に嬉しそうにする。
「かあさ…、晴子さん、なんでそこでトキメクの!?」
「あらやだww ミヒロちゃん、妬いてるの?」
「違うっ!」
展開があらぬ方向に進みそうになるのを抑える俺に対し
相変らずの母さん。…もう、この人ってば。
しかしサトシは表情を崩さずにいた。
「俺が心配しているのはあいつが無事かどうかですよ、学校に戻る戻らないは
この際どうでもいい。俺が知りたいのはあいつはどうしているのか、
元気でやっているのか、それを知りたいんです。」
408 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:52:06.60 ID:uVpZ6co0
「サトシ…くん」
真剣に俺の事を気にかけているサトシ。
俺はその姿を見ると申し訳の無い気持ちにとらわれる。
「う~ん、そうねぇ…ヒロちゃんが元気な事は元気なのよね~。ただ、」
「ただ?」
「戻るに戻れない事情が出来ちゃったのよね~、困ったことに~」
母さんはそう言うと俺の方をじーっと見る。
…あんまり見んなよ。
この際どうでもいい。俺が知りたいのはあいつはどうしているのか、
元気でやっているのか、それを知りたいんです。」
408 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:52:06.60 ID:uVpZ6co0
「サトシ…くん」
真剣に俺の事を気にかけているサトシ。
俺はその姿を見ると申し訳の無い気持ちにとらわれる。
「う~ん、そうねぇ…ヒロちゃんが元気な事は元気なのよね~。ただ、」
「ただ?」
「戻るに戻れない事情が出来ちゃったのよね~、困ったことに~」
母さんはそう言うと俺の方をじーっと見る。
…あんまり見んなよ。
「…戻れない事情?」
母さんの言葉に怪訝な表情をするサトシ。
「そうなのよ~、事情なのよ~」
「…それって、何か病気にでもなったって事ですか?」
「いえいえ~、本人は至って元気よ~」
「病気で無ければその事情って何なんですか?」
「そうね~病気では無いんだけど身体がね~」
「ヒロアキの身体に何があったのですか?」
「まあ、色々あるのよね~、察してあげて欲しいわ~ww」
「海外から帰って来れないのはそれが原因だと言うのですか?」
「ん~、海外というか何と言うか別に海外で無くてもいいんだけどね~」
「え? どういう事ですか?」
母さんの言葉に怪訝な表情をするサトシ。
「そうなのよ~、事情なのよ~」
「…それって、何か病気にでもなったって事ですか?」
「いえいえ~、本人は至って元気よ~」
「病気で無ければその事情って何なんですか?」
「そうね~病気では無いんだけど身体がね~」
「ヒロアキの身体に何があったのですか?」
「まあ、色々あるのよね~、察してあげて欲しいわ~ww」
「海外から帰って来れないのはそれが原因だと言うのですか?」
「ん~、海外というか何と言うか別に海外で無くてもいいんだけどね~」
「え? どういう事ですか?」
「あうあう…」
ストレートに色々聞いてくるサトシと微妙な返答を続ける母さんとのやりとりを
聞いていてハラハラする俺。
このままだと俺(ミヒロ)がヒロアキだとバレかねない状況になるんじゃないの?
ストレートに色々聞いてくるサトシと微妙な返答を続ける母さんとのやりとりを
聞いていてハラハラする俺。
このままだと俺(ミヒロ)がヒロアキだとバレかねない状況になるんじゃないの?
そんなやり取りが続き、何時までたっても埒が明かないような気がした。
いつもであればきっとサトシは諦めてしまっているに違いなかった。
…しかし、今日のサトシは普段と違っていた。
409 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:54:49.03 ID:uVpZ6co0
いつもであればきっとサトシは諦めてしまっているに違いなかった。
…しかし、今日のサトシは普段と違っていた。
409 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:54:49.03 ID:uVpZ6co0
母さんのペースに乗せられる事無くサトシは自分の気持ちをどんどん前に出していく。
流石の母さんも少しずつサトシに押されていく。…そして。
流石の母さんも少しずつサトシに押されていく。…そして。
「とにかく教えて下さい! 晴子さん、俺にはヒロアキの事を知る権利は無いんですか?」
「サトシちゃん~、そんな事はないわ~、でも」
「でも、何ですか? 話せないのはヒロアキが俺には言うなと口止めでもしてるんですか?
晴子さんにとって、…ヒロアキにとって俺は事情を教えるに足らない存在でしか無いんですか?」
切実な表情のサトシ。
母さんに伝える言葉は悲痛な音色に変わっている。
「ヒロアキは俺の事をどう思っているのか、俺には分かりません。でも俺は
あいつの事を親友だと思っているし、これからも親友で有り続けたいと思ってます。
ヒロアキの身にどんな事があったとしても俺はあいつの親友を止めるつもりはありません!」
「サトシちゃん~、そんな事はないわ~、でも」
「でも、何ですか? 話せないのはヒロアキが俺には言うなと口止めでもしてるんですか?
晴子さんにとって、…ヒロアキにとって俺は事情を教えるに足らない存在でしか無いんですか?」
切実な表情のサトシ。
母さんに伝える言葉は悲痛な音色に変わっている。
「ヒロアキは俺の事をどう思っているのか、俺には分かりません。でも俺は
あいつの事を親友だと思っているし、これからも親友で有り続けたいと思ってます。
ヒロアキの身にどんな事があったとしても俺はあいつの親友を止めるつもりはありません!」
「サトシちゃん…」
母さんは普段見せない辛そうなサトシの姿に言葉を詰まらす。
さすがの能天気な母さんもサトシの本気の姿に心を打たれてしまったようだ。
母さんは普段見せない辛そうなサトシの姿に言葉を詰まらす。
さすがの能天気な母さんもサトシの本気の姿に心を打たれてしまったようだ。
「…ひょっとしたら、それは俺の知ってはならない事実なのかも知れない。
でも俺はあいつが学校から居なくなる事を聞いた時に決心しました。
俺は迷わないし、後悔しない。このまま知らないままでいる事の方がもっと後悔すると思うから。」
でも俺はあいつが学校から居なくなる事を聞いた時に決心しました。
俺は迷わないし、後悔しない。このまま知らないままでいる事の方がもっと後悔すると思うから。」
「…」
俺はサトシの姿を直視できずいた。
サトシの事をよく知っているからこそ奴の想いの強さに俺自身の感情がコントロールできなくなる。
…
…あー、やばいかも。
さすがにこのままだと奴に本当の事を話しかねない。…それに本気で泣いちゃいそうだよ。
410 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:56:17.13 ID:uVpZ6co0
「…ごめんなさい…、ちょっと…」
我慢し切れなくなった俺はそそくさとその場を離れる。
「…」
母さんはちらりと俺の姿を見る。
俺はサトシの姿を直視できずいた。
サトシの事をよく知っているからこそ奴の想いの強さに俺自身の感情がコントロールできなくなる。
…
…あー、やばいかも。
さすがにこのままだと奴に本当の事を話しかねない。…それに本気で泣いちゃいそうだよ。
410 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:56:17.13 ID:uVpZ6co0
「…ごめんなさい…、ちょっと…」
我慢し切れなくなった俺はそそくさとその場を離れる。
「…」
母さんはちらりと俺の姿を見る。
ぱたぱたと駆け足で自分の部屋に向かう俺。
「ううっ…グス、グスッ」
部屋の戸を開けた時にはもう涙がこぼれ落ちて嗚咽が漏れそうになる。
(ミヒロちゃん、つらいよね…)
「グスッ…うん」
「ううっ…グス、グスッ」
部屋の戸を開けた時にはもう涙がこぼれ落ちて嗚咽が漏れそうになる。
(ミヒロちゃん、つらいよね…)
「グスッ…うん」
つらい。
本当につらいよ。
本当の事を言いたいよ。
本当につらいよ。
本当の事を言いたいよ。
あれだけ俺の事を思って苦しんでいるサトシに自分がヒロアキだと伝えて
安心させてあげたいよ。
俺だってサトシに隠し事なんてしたくなかった。
出来る事なら今すぐにもあいつに言いたい。
安心させてあげたいよ。
俺だってサトシに隠し事なんてしたくなかった。
出来る事なら今すぐにもあいつに言いたい。
…でも。
本当の事を言ったらこれまで通りの生活に戻れるのかなぁ。
いつものようにサトシと、クラスの連中と馬鹿やっていられるのかなぁ。
サトシとサッカーの全国制覇を目指す事ができるようになるのかなぁ。
…
…無理だね。
だって、俺はもうヒロアキじゃないんだもん。
ミヒロなんだもん。
もう二度と男に戻る事なんて出来ない。
俺が女の子になったなんてサトシだって信じないし、これまでの関係なんて無理に決まっているよ。
ミヒロなんだもん。
もう二度と男に戻る事なんて出来ない。
俺が女の子になったなんてサトシだって信じないし、これまでの関係なんて無理に決まっているよ。
…だから言えないし、言わない。
こんな話、誰も信じてくれないし、有り得ない話だから。
こんな話、誰も信じてくれないし、有り得ない話だから。
俺は飛び込むようにベッドにうずくまった。
411 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:58:37.02 ID:uVpZ6co0
◇
411 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 00:58:37.02 ID:uVpZ6co0
◇
…玄関には母さんとサトシの二人きりになった。
そして俺が居なくなってもやり取りは続いていた。
そして俺が居なくなってもやり取りは続いていた。
「…俺に教えて下さい、俺はどんな事でも信じます」
サトシは何かを決意したような表情で母さんをまっすぐに見つめている。
「どんな事って、サトシちゃんは何かヒロちゃんについて心当たりでもあるの~?」
サトシは何かを決意したような表情で母さんをまっすぐに見つめている。
「どんな事って、サトシちゃんは何かヒロちゃんについて心当たりでもあるの~?」
サトシは母さんの言葉に何か考え込む様子であったが
言おうか言わないか悩んだ後、
「…心当たりは無いわけではありませんが、そんな事無いだろうな…」
困惑の表情で呟く。
「…」
母さんはそんなサトシの様子をじっと見ている。
言おうか言わないか悩んだ後、
「…心当たりは無いわけではありませんが、そんな事無いだろうな…」
困惑の表情で呟く。
「…」
母さんはそんなサトシの様子をじっと見ている。
「…確証が無い以上、ハッキリとした事は言えません。
でも俺の前に現れないのは理由が有っての事だと思います。
俺はどんな理由であってもヒロアキの事は受け入れるつもりなんですけど。」
でも俺の前に現れないのは理由が有っての事だと思います。
俺はどんな理由であってもヒロアキの事は受け入れるつもりなんですけど。」
「…サトシちゃんって、ホントにヒロちゃんの事を思っているのね…」
母さんはそう言うとサトシにそっと抱きついた。
「…晴子さん」
普段であれば慌てふためくサトシも今回は大人しく母さんに抱きつかれている。
「…でも、ごめんなさい。これだけは私に話す権利は無いと思うわ~。
本当は話してあげたいのだけどね…だってサトシちゃんとヒロちゃんとの間の話だもの~。」
「え?」
母さんに抱きつかれたままで母さんの話しを聞くサトシ。
「これはサトシちゃんとヒロちゃんが二人で解決しなければならない話よ~。
私や千絵ちゃんがあの子の為に出来る事はある程度はしてあげたけど、人間関係に至っては
私達ではどうする事もできないわ~。結局は当事者同士で解決していかなければならないのよ~。
ヒロちゃんは気持ちを切り替えてサトシちゃんとの繋がりを絶とうとしているみたいだけどね~。」
「俺との繋がりを絶つ…?」
「…あ、でも別な形での繋がりが出来つつあるのかも知れないけどね~。」
「え…?」
母さんの話に首を傾げるサトシ。しかし表情は崩さないでいる。
412 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 01:00:41.95 ID:uVpZ6co0
「確かめてみればいいじゃない~?」
「え?」
「さっき、ヒロちゃんの心あたりについて確証できないって言ってた事よ~。
サトシちゃんがヒロちゃんのことについて感じた事、思った事は
これだけ付き合いの長い二人だもの、ひょっとしたら当たっているかも知れないわよ~。」
母さんはそう言うとサトシにそっと抱きついた。
「…晴子さん」
普段であれば慌てふためくサトシも今回は大人しく母さんに抱きつかれている。
「…でも、ごめんなさい。これだけは私に話す権利は無いと思うわ~。
本当は話してあげたいのだけどね…だってサトシちゃんとヒロちゃんとの間の話だもの~。」
「え?」
母さんに抱きつかれたままで母さんの話しを聞くサトシ。
「これはサトシちゃんとヒロちゃんが二人で解決しなければならない話よ~。
私や千絵ちゃんがあの子の為に出来る事はある程度はしてあげたけど、人間関係に至っては
私達ではどうする事もできないわ~。結局は当事者同士で解決していかなければならないのよ~。
ヒロちゃんは気持ちを切り替えてサトシちゃんとの繋がりを絶とうとしているみたいだけどね~。」
「俺との繋がりを絶つ…?」
「…あ、でも別な形での繋がりが出来つつあるのかも知れないけどね~。」
「え…?」
母さんの話に首を傾げるサトシ。しかし表情は崩さないでいる。
412 :vqzqQCI0 :2008/12/14(日) 01:00:41.95 ID:uVpZ6co0
「確かめてみればいいじゃない~?」
「え?」
「さっき、ヒロちゃんの心あたりについて確証できないって言ってた事よ~。
サトシちゃんがヒロちゃんのことについて感じた事、思った事は
これだけ付き合いの長い二人だもの、ひょっとしたら当たっているかも知れないわよ~。」
「そ、それは…でも…」
急な母さんの提案に戸惑うサトシ。
「もしその確証が事実だとしたら…サトシちゃんはそれを受け入れられるの~?」
急な母さんの提案に戸惑うサトシ。
「もしその確証が事実だとしたら…サトシちゃんはそれを受け入れられるの~?」
「…正直、分かりません。実際にそうなってみなければ。
…何と言うか、晴子さんの話は"謎かけ"が多くて今の俺に全てを理解することはできません。
俺があいつの為に何をしてやれるのか正直なところ分かりませんけど…
だけど何とかしてやりたい気持ちは誰よりもあります。」
…何と言うか、晴子さんの話は"謎かけ"が多くて今の俺に全てを理解することはできません。
俺があいつの為に何をしてやれるのか正直なところ分かりませんけど…
だけど何とかしてやりたい気持ちは誰よりもあります。」
「…ヒロちゃんは苦しんでいるの~。そしてその苦しみに気付いてあげられるのは
サトシちゃんしか居ないのよ~。」
「苦しんでいる…ヒロアキが…?」
「そしてあの子を助けてあげられるのはサトシちゃんだけ。…親友のね~。
だからお願い。早くあの子を助けてあげて~。」
母さんはニッコリ微笑んでサトシを見つめる。
サトシちゃんしか居ないのよ~。」
「苦しんでいる…ヒロアキが…?」
「そしてあの子を助けてあげられるのはサトシちゃんだけ。…親友のね~。
だからお願い。早くあの子を助けてあげて~。」
母さんはニッコリ微笑んでサトシを見つめる。
「…分かりました、晴子さん。俺はヒロアキの為に出来ること、やってみます。
…確認したい事もありますし」
サトシも何かスッキリした表情に変わる。
…確認したい事もありますし」
サトシも何かスッキリした表情に変わる。
「あ~それはそうとサトシちゃん~、お願いがもう一つあるんだけどいい~?」
「…はい? 俺ですか?」
何やら微笑みに意図的なものを感じさせつつサトシに迫る母さんと
その動きに戸惑いを見せるサトシ。
その動きに戸惑いを見せるサトシ。
…そんな二人のやり取りなど露知らず、ベッドに突っ伏している俺であった。