462 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:17:24.95 ID:0XUEaXg0
どんだけ☆エモーション(その14)
どんだけ☆エモーション(その14)
翌日、俺は最寄の私鉄駅前の広場にて待ち合わせをしていた。
「…」
携帯電話で時間をチェックする。まだ午前9時30分。
一応約束の時間は10時なのだが昔からの習慣とは恐いもので待ち合わせ時間の30分前に
いつも俺は来るようにしている。
携帯電話で時間をチェックする。まだ午前9時30分。
一応約束の時間は10時なのだが昔からの習慣とは恐いもので待ち合わせ時間の30分前に
いつも俺は来るようにしている。
毎回思うのだが早く来すぎたかな?
…特に今回の場合だとまるで俺が今日のお出かけを待ちわびているようではないか。
…特に今回の場合だとまるで俺が今日のお出かけを待ちわびているようではないか。
「…」
…それにしても何だかなぁ。
駅前のお店のショーウィンドウに映る自分の姿を見ながら考えてしまう。
…それにしても何だかなぁ。
駅前のお店のショーウィンドウに映る自分の姿を見ながら考えてしまう。
本日の俺の格好は実由の手によってしっかりおめかしされていて、
薄い黒地の半袖カーディガンに花柄の刺繍があしらわれているピンク色のミニドレス。
ちょっと大人っぽさを演出した感じで、初夏のこの季節に良く合っていると思う。
…しかし。
ミニドレスの丈は膝上20センチで気を抜くとパンツが見えてしまうんじゃないの?
ううっ…、実由の奴め。
薄い黒地の半袖カーディガンに花柄の刺繍があしらわれているピンク色のミニドレス。
ちょっと大人っぽさを演出した感じで、初夏のこの季節に良く合っていると思う。
…しかし。
ミニドレスの丈は膝上20センチで気を抜くとパンツが見えてしまうんじゃないの?
ううっ…、実由の奴め。
お化粧も何気に施されていて、俺にしてみればえらく気合が入っているなぁ…と感じてしまうのだが
実由も母さんも「「この位、全然普通よ~♪」」…だそうだ。
まぁ、自分で言うのも何だが…可愛いかな?
…いや、かなり可愛いぞ。
実由も母さんも「「この位、全然普通よ~♪」」…だそうだ。
まぁ、自分で言うのも何だが…可愛いかな?
…いや、かなり可愛いぞ。
…それにしても何でこうなってしまったのだろうか。
463 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:20:03.48 ID:0XUEaXg0
◇
463 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:20:03.48 ID:0XUEaXg0
◇
『…いきなりゴメンね、電話してしまって』
受話器の向こうでサトシが申し訳無さそうに言う。
突然、俺への電話をしてきたサトシ。
受話器の向こうでサトシが申し訳無さそうに言う。
突然、俺への電話をしてきたサトシ。
「ううん、別に何とも無いよっ、…どうしたの急に?」
考えてみるとここのところ毎日のように俺とサトシは顔を合わせているのだが、
あらたまって電話を掛けてくるなんてどういう事なんだろうか?
考えてみるとここのところ毎日のように俺とサトシは顔を合わせているのだが、
あらたまって電話を掛けてくるなんてどういう事なんだろうか?
『ええと、まぁ…その、何というか』
…? なんだか妙に落ち着かない、煮え切らない感じの口調のサトシ。
どうしたんだろ?
「…」
でも、サトシの次の言葉を待つ俺は不思議とドキドキしている。
(私までドキドキしてきた…)
『んー、言わないと駄目だよなぁ…、あの…ミヒロちゃんって、明日は予定とかある?』
「予定? …えっと、別に無いけど?」
『ミヒロちゃんさえ良ければ明日…俺と一緒に出かけないかな?』
受話器の向こう側から一呼吸置いた後、サトシは思い切って言った。
…? なんだか妙に落ち着かない、煮え切らない感じの口調のサトシ。
どうしたんだろ?
「…」
でも、サトシの次の言葉を待つ俺は不思議とドキドキしている。
(私までドキドキしてきた…)
『んー、言わないと駄目だよなぁ…、あの…ミヒロちゃんって、明日は予定とかある?』
「予定? …えっと、別に無いけど?」
『ミヒロちゃんさえ良ければ明日…俺と一緒に出かけないかな?』
受話器の向こう側から一呼吸置いた後、サトシは思い切って言った。
…え、これって。
(…デートのお誘いかな?)
デート? サトシが俺に?
「…一緒って、何処かに連れてってくれるの?」
思わず尋ねる俺。
デート? サトシが俺に?
「…一緒って、何処かに連れてってくれるの?」
思わず尋ねる俺。
『まあ、そうなんだけど…どうかな?』
サトシの誘いに俺は一瞬考える。
464 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:22:39.68 ID:0XUEaXg0
…
サトシの誘いに俺は一瞬考える。
464 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:22:39.68 ID:0XUEaXg0
…
…うーむ。
サトシがどういうつもりで俺を誘っているのかはともかく、
これは俺の事をあいつに伝えるいい機会なのかな? と思う。
これは俺の事をあいつに伝えるいい機会なのかな? と思う。
(…どうするの?)
いつもならば乗り気のマルさんも今回ばかりは俺の返答を待っている。
「…」
後ろを見ると母さんが俺の事を興味津々な表情で見ている。
いつもならば乗り気のマルさんも今回ばかりは俺の返答を待っている。
「…」
後ろを見ると母さんが俺の事を興味津々な表情で見ている。
…。
『…ミヒロちゃん、…駄目かな?』
何だか落胆したような感じのサトシの声。
俺が返答に迷っている事に戸惑っているのかな?
何だか落胆したような感じのサトシの声。
俺が返答に迷っている事に戸惑っているのかな?
…ああ、もう。
そんな事でテンション下げんなよ、サトシめ。
あいつって、割と恋愛下手なのかも知れないな。
人の事は言えないけど。
そんな事でテンション下げんなよ、サトシめ。
あいつって、割と恋愛下手なのかも知れないな。
人の事は言えないけど。
思わず俺は受話器の向こうの相手に言う。
「…サトシ君、その…」
465 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:25:31.85 ID:0XUEaXg0
◇
465 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:25:31.85 ID:0XUEaXg0
◇
「毎度の事ながらこういう時はあそこだな」
俺はそう言うと迷わず駅前のマックに向かう。
俺はそう言うと迷わず駅前のマックに向かう。
俺が待ち合わせに早く来すぎた時はいつもそこで時間をつぶす。
軽くホットコーヒーを一杯飲みつつ、待ち合わせの時間までのんびりとする。
いつしかそれが俺にとっては当たり前の待ち合わせの習慣だったりするのだ。
軽くホットコーヒーを一杯飲みつつ、待ち合わせの時間までのんびりとする。
いつしかそれが俺にとっては当たり前の待ち合わせの習慣だったりするのだ。
店に着き、カウンターに向かう俺。
「…あれ?」
「え? ミヒロちゃん?」
なんとそこには俺より先にレジ前で会計を済ませようとしているサトシの姿があった。
「え? ミヒロちゃん?」
なんとそこには俺より先にレジ前で会計を済ませようとしているサトシの姿があった。
「サトシ君? どうしてココに?」
思わず尋ねる俺。まだ時間には早いだろ。
思わず尋ねる俺。まだ時間には早いだろ。
「ミヒロちゃんこそ、…早いね。待ち合わせの時間まで30分近くあるよ?」
驚きの表情を隠さずにサトシは俺に言う。
驚きの表情を隠さずにサトシは俺に言う。
「…えーと、まぁ、早く来ちゃったんだよね」
順番が来たので俺はそそくさと注文をする。
既に会計を済ませたサトシは俺が終わるのを待って側に立っている。
順番が来たので俺はそそくさと注文をする。
既に会計を済ませたサトシは俺が終わるのを待って側に立っている。
そう。今日の待ち合わせはサトシからのお誘いによるお出かけ。
昨日、俺はサトシの申し出にOKしたのだ。
昨日、俺はサトシの申し出にOKしたのだ。
それぞれ会計を済ませた商品を手に俺達は窓際の席につく。
「お昼まで時間があるとは言え、随分買いこんでいるね」
ホットコーヒーだけの俺と違い、サトシはモーニングセット+ハンバーガーを手にしている。
「まぁ、食べ盛りなんで、この位が丁度いいかなって。」
「運動部だからよく食べるとは言え、朝食は当然摂っているんでしょ?
…食べすぎなんじゃない?」
モリモリとハンバーガーを頬張るサトシを目に少々呆れ顔の俺。
「そりゃ、勿論朝食は摂っているよ。でも身体が欲しがっているんだ、仕方無いよ」
サトシは照れ笑いを浮かべつつも手と口の動きは止まらない。
「育ち盛りだから? 」
「う~ん、そうかもね。高校入ってから随分身長も伸びたし。」
サトシの言うとおり中学に比べ奴の背は伸びたのは目に見えて明らかだ。
俺も高校に入って身長は伸びたが、170そこそこの俺に比べサトシはそれ以上伸びている。
175以上はあるんじゃないの? …くそっ。
しかも女の子になってしまった俺は折角伸びた身長も今や160すらいかない位までに
背が縮んでしまっており、お陰で腹立たしい事に奴を見上げないとならないので
元男の俺にしてみれば結構屈辱的な状況である。
466 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:27:00.52 ID:0XUEaXg0
「ミヒロちゃんはホットコーヒーだけなんだね」
「うん、おr、じゃなかった、私はいつもコーヒーだよ。
最近すっかり苦い物が苦手になりつつあるんだけどね。」
「ふ~ん、そうなんだ」
じっと、俺を見るサトシ。
会話しつつも食べるペースが落ちる事が無い。
ホットコーヒーだけの俺と違い、サトシはモーニングセット+ハンバーガーを手にしている。
「まぁ、食べ盛りなんで、この位が丁度いいかなって。」
「運動部だからよく食べるとは言え、朝食は当然摂っているんでしょ?
…食べすぎなんじゃない?」
モリモリとハンバーガーを頬張るサトシを目に少々呆れ顔の俺。
「そりゃ、勿論朝食は摂っているよ。でも身体が欲しがっているんだ、仕方無いよ」
サトシは照れ笑いを浮かべつつも手と口の動きは止まらない。
「育ち盛りだから? 」
「う~ん、そうかもね。高校入ってから随分身長も伸びたし。」
サトシの言うとおり中学に比べ奴の背は伸びたのは目に見えて明らかだ。
俺も高校に入って身長は伸びたが、170そこそこの俺に比べサトシはそれ以上伸びている。
175以上はあるんじゃないの? …くそっ。
しかも女の子になってしまった俺は折角伸びた身長も今や160すらいかない位までに
背が縮んでしまっており、お陰で腹立たしい事に奴を見上げないとならないので
元男の俺にしてみれば結構屈辱的な状況である。
466 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:27:00.52 ID:0XUEaXg0
「ミヒロちゃんはホットコーヒーだけなんだね」
「うん、おr、じゃなかった、私はいつもコーヒーだよ。
最近すっかり苦い物が苦手になりつつあるんだけどね。」
「ふ~ん、そうなんだ」
じっと、俺を見るサトシ。
会話しつつも食べるペースが落ちる事が無い。
「ところで今日は何処に連れてってくれるのかな?」
俺もそんなサトシの姿を見ながら尋ねる。
「うん、ミヒロちゃんってこの町に来てまだ間も無いと思ってさ、
この町の遊べる所とか便利な場所とかを紹介できたらなって考えてるんだ。」
「…この町の案内って事?」
「そうだね、簡単に言ってしまうとそうなるかな」
「…そうかぁ、この町の案内ねぇ」
俺は生まれてからずっとこの町に住んでいるので別に案内されても分からないところは
無いのだが、一応ミヒロはこの町に来たばっかりという設定になっているので
サトシはミヒロの為に気を遣ってお誘いしてくれたようです。
…でも今更この町を紹介されてもねぇ。別に目新しいものが有るわけで無いしなぁ…。
「…ミヒロちゃん?」
「あ、ううん、ありがとう。サトシ君も忙しいのにゴメンね、私の為に
時間を作ってくれて。サッカー部は大丈夫なの?」
俺の反応があまり良くなかったのを気にしてか、ちょっと不安げな表情のサトシに
気付いた俺はとりあえず嬉しそうな素振りを見せる。
「うん、とりあえず大丈夫かな、試合は近いんだけどね」
「そうなの? ホントにゴメンね。でも嬉しいよ」
「…良かった。それじゃ、行こうか?」
俺の笑顔を見てホッとした表情を浮べるサトシ。
「うん」
サトシの様子を見て俺もホッとする。
俺もそんなサトシの姿を見ながら尋ねる。
「うん、ミヒロちゃんってこの町に来てまだ間も無いと思ってさ、
この町の遊べる所とか便利な場所とかを紹介できたらなって考えてるんだ。」
「…この町の案内って事?」
「そうだね、簡単に言ってしまうとそうなるかな」
「…そうかぁ、この町の案内ねぇ」
俺は生まれてからずっとこの町に住んでいるので別に案内されても分からないところは
無いのだが、一応ミヒロはこの町に来たばっかりという設定になっているので
サトシはミヒロの為に気を遣ってお誘いしてくれたようです。
…でも今更この町を紹介されてもねぇ。別に目新しいものが有るわけで無いしなぁ…。
「…ミヒロちゃん?」
「あ、ううん、ありがとう。サトシ君も忙しいのにゴメンね、私の為に
時間を作ってくれて。サッカー部は大丈夫なの?」
俺の反応があまり良くなかったのを気にしてか、ちょっと不安げな表情のサトシに
気付いた俺はとりあえず嬉しそうな素振りを見せる。
「うん、とりあえず大丈夫かな、試合は近いんだけどね」
「そうなの? ホントにゴメンね。でも嬉しいよ」
「…良かった。それじゃ、行こうか?」
俺の笑顔を見てホッとした表情を浮べるサトシ。
「うん」
サトシの様子を見て俺もホッとする。
かくして俺はサトシの案内によって見慣れたこの町を見て回る事になった。
467 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:28:48.37 ID:0XUEaXg0
「まずは駅前のショッピングセンター巡りからスタートかな?」
サトシはそう言うと商店街に向かって歩き出す。
「賑やかな所だね、この辺りは」
ありきたりな事を言いながら俺はサトシの横についていく。
「この辺がこの街では一番賑やかなところなんだ。
うちの高校の連中も放課後この辺りでブラブラしてたりするんだよね」
「へーっ、そうなんだ、でも楽しそうだよね?」
「俺はこのあたりの大きなスポーツショップでサッカー用品をチェックするのが
自分の習慣みたいな感じになっているんだ」
「へえ、さすがサッカー部員だね、私はどちらかと言えばパソコンのソフトかな?」
「パソコン?」
「興味が移ってしまったんだよね、以前は別なジャンルだったんだけど。」
「ふーん」
俺とサトシは学校の話題や最近の自分の状況について取り留めの無い会話を
続けつつ、街の中を歩いていく。
467 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:28:48.37 ID:0XUEaXg0
「まずは駅前のショッピングセンター巡りからスタートかな?」
サトシはそう言うと商店街に向かって歩き出す。
「賑やかな所だね、この辺りは」
ありきたりな事を言いながら俺はサトシの横についていく。
「この辺がこの街では一番賑やかなところなんだ。
うちの高校の連中も放課後この辺りでブラブラしてたりするんだよね」
「へーっ、そうなんだ、でも楽しそうだよね?」
「俺はこのあたりの大きなスポーツショップでサッカー用品をチェックするのが
自分の習慣みたいな感じになっているんだ」
「へえ、さすがサッカー部員だね、私はどちらかと言えばパソコンのソフトかな?」
「パソコン?」
「興味が移ってしまったんだよね、以前は別なジャンルだったんだけど。」
「ふーん」
俺とサトシは学校の話題や最近の自分の状況について取り留めの無い会話を
続けつつ、街の中を歩いていく。
正直なところ、サトシの案内で街の中を歩いていても特に目新しい発見も無く
相変らずの俺の良く知っているいつもの街の風景ではあった。
しかしサトシと二人でおしゃべりをしながら街の中を歩いていると
俺は以前良くサトシとつるんで出掛けていた頃の事を思い出す。
相変らずの俺の良く知っているいつもの街の風景ではあった。
しかしサトシと二人でおしゃべりをしながら街の中を歩いていると
俺は以前良くサトシとつるんで出掛けていた頃の事を思い出す。
こうして振り返って見ると俺がサトシと何処かに出掛けるのなんて何時以来なんだろう?
俺はぼんやりと考えてみる。
俺はぼんやりと考えてみる。
小中学、高校の夏休みや冬休みのまとまった休みの時に
サトシとよく街へ繰り出したり海や山へ遊びに行っていたよな。
特に目的はなかったけど何だか冒険しているみたいで俺はwktkしたもんだ。
ホント、あの頃は楽しかったよな。
サトシとよく街へ繰り出したり海や山へ遊びに行っていたよな。
特に目的はなかったけど何だか冒険しているみたいで俺はwktkしたもんだ。
ホント、あの頃は楽しかったよな。
今回は久々にサトシと一緒の外出。別に感慨も何も無いけどさすがに
昨夜は期待で気持ちが高まったせいかなかなか寝付けなかったよ。
昨夜は期待で気持ちが高まったせいかなかなか寝付けなかったよ。
しかし今日は一応は案内とは言うけど単に街へ遊びに出ているもんだよね? これって。
こういった状況は男同士で行くよりカップルで出かけるときっと楽しいのかな?
考えてみると異性との付き合いがほとんど無い俺にとっては
妙に憧れるのは言うまでも無い話です。
468 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:31:11.48 ID:0XUEaXg0
ん? …男同士? いや、待て。
こういった状況は男同士で行くよりカップルで出かけるときっと楽しいのかな?
考えてみると異性との付き合いがほとんど無い俺にとっては
妙に憧れるのは言うまでも無い話です。
468 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:31:11.48 ID:0XUEaXg0
ん? …男同士? いや、待て。
今の俺はヒロアキじゃなくてミヒロ。中身はともかく一応は女の子である。
これってひょっとして、…デート?
これってひょっとして、…デート?
でも、相手がサトシだし俺にはそんなつもりは…無い、はず?
「…?」
…でもでもっ? このドキドキとする感覚や甘酸っぱいような気持ちは
俺が男だった時にサトシに対して感じ得なかった感覚だ。
どうしてこんなにwktkするんだろう?
俺が男だった時にサトシに対して感じ得なかった感覚だ。
どうしてこんなにwktkするんだろう?
「どうしたの、ミヒロちゃん? 目を白黒させて?」
そんな俺の様子に気が付いたサトシは俺を見ている。
「う、ううん、何でも無いよ? ちょっと考え事をしていただけ」
「ふーん、じゃ、次はあそこに行ってみようか?」
サトシはそんな俺の状況など気がつかず嬉しそうに俺の前を歩いている。
考えてみるとあいつが異性の相手と二人っきりで出かけるなんて初めてなんじゃないの?
一応今の俺はミヒロという女の子。中身はともかく、傍から見ればデートだよな、この状況は。
何だか今日のサトシはいつもと違って舞い上がっているような気がするのは俺の気のせい?
まあ、…分かんないけどね。
そんな俺の様子に気が付いたサトシは俺を見ている。
「う、ううん、何でも無いよ? ちょっと考え事をしていただけ」
「ふーん、じゃ、次はあそこに行ってみようか?」
サトシはそんな俺の状況など気がつかず嬉しそうに俺の前を歩いている。
考えてみるとあいつが異性の相手と二人っきりで出かけるなんて初めてなんじゃないの?
一応今の俺はミヒロという女の子。中身はともかく、傍から見ればデートだよな、この状況は。
何だか今日のサトシはいつもと違って舞い上がっているような気がするのは俺の気のせい?
まあ、…分かんないけどね。
「…でね、ここは本以外にもCDが充実しているんだ」
「へーっ、便利だね、このお店」
サトシの案内はどんどん白熱を帯びてきた。
俺にとって既に知っている場所ではあるがサトシが一生懸命に説明するもんだから
それが妙に面白くて俺はさっきから笑いが抑えられない。
そんな俺のニヤニヤした表情をサトシは俺が喜んでいるように見えるようで
その説明にどんどん力が入ってきている。
「へーっ、便利だね、このお店」
サトシの案内はどんどん白熱を帯びてきた。
俺にとって既に知っている場所ではあるがサトシが一生懸命に説明するもんだから
それが妙に面白くて俺はさっきから笑いが抑えられない。
そんな俺のニヤニヤした表情をサトシは俺が喜んでいるように見えるようで
その説明にどんどん力が入ってきている。
「さて、お腹も空いたし何処かでご飯でも食べようか」
昼過ぎまで歩き回った俺達はファミレスに入って昼食をとることにした。
469 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:32:54.04 ID:0XUEaXg0
「う~ん…」
午前中はずっと歩き回っていたせいかすっかり疲れてしまった俺。
具合は悪くないんだけど身体が妙に重く感じる。
「どうしたの? ミヒロちゃん?」
サトシがそんな俺の様子を見て尋ねてくる。
「あ、ううん、何でもないよ、ちょっと疲れたかなって」
何事も無いように振舞う俺。
「え? 歩きすぎちゃった? …もう少し休みながらでも良かったね、ゴメン」
「え、いや、そんな大層なものじゃなくて…お腹が空いちゃったかな、って」
「あはは、そうなんだ。注文はしてるからもう少しの辛抱だよ」
「言っておくけど私はサトシ君ほど食いしん坊じゃ無いからね」
「やだなぁ、成長期だと言ってくれよ」
「また、それ?」
気兼ねの無い会話が続く。
以前の俺(ヒロアキ)ではないので多少気を遣って会話をしなければ
ならない部分も確かにあるのだが、それでもサトシと一緒にいると楽しい。
こんな時間がずっと続けばいいのになぁ、と俺は思う。
そんなやりとりをしていると注文した料理が運ばれてきた。
昼過ぎまで歩き回った俺達はファミレスに入って昼食をとることにした。
469 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:32:54.04 ID:0XUEaXg0
「う~ん…」
午前中はずっと歩き回っていたせいかすっかり疲れてしまった俺。
具合は悪くないんだけど身体が妙に重く感じる。
「どうしたの? ミヒロちゃん?」
サトシがそんな俺の様子を見て尋ねてくる。
「あ、ううん、何でもないよ、ちょっと疲れたかなって」
何事も無いように振舞う俺。
「え? 歩きすぎちゃった? …もう少し休みながらでも良かったね、ゴメン」
「え、いや、そんな大層なものじゃなくて…お腹が空いちゃったかな、って」
「あはは、そうなんだ。注文はしてるからもう少しの辛抱だよ」
「言っておくけど私はサトシ君ほど食いしん坊じゃ無いからね」
「やだなぁ、成長期だと言ってくれよ」
「また、それ?」
気兼ねの無い会話が続く。
以前の俺(ヒロアキ)ではないので多少気を遣って会話をしなければ
ならない部分も確かにあるのだが、それでもサトシと一緒にいると楽しい。
こんな時間がずっと続けばいいのになぁ、と俺は思う。
そんなやりとりをしていると注文した料理が運ばれてきた。
「街の中を歩いてみて、どうだった?」
注文した料理を食べつつサトシは俺に聞く。
「うん、割と充実しているよね。これなら大きな街に出なくても
買い物については問題ないかもね」
実際のところ勝手知ったる街なので感想も何も無いのだが
とりあえずは無難な返事をする俺。
「良かった、気に入ってくれて。ミヒロちゃんを誘った甲斐があったよ。」
そう言うとサトシは残りの料理に手をつける。
「それにしても、どうして今回私なんかを誘ってくれたの?
サトシ君って忙しいのにわざわざ街案内までしてくれるなんてさ。
サトシ君位の人なら私よりも同じ学校の可愛い女の子を誘えばいいのに」
コーヒーを口にしつつ上目遣いでサトシをちらりと見る。
「え? えーと…そう、ミヒロちゃん、君の方こそにこっちに来て色々と
忙しかったんじゃ無いかなって。だから、街案内も兼ねてミヒロちゃんの
気分転換になればと思って誘ったんだよね。」
ちょっと焦った様子のサトシ。若干、顔が赤くなっているけど?
470 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:35:26.25 ID:0XUEaXg0
…こっちに来てかぁ。
そう言えば俺は最近この家に来たという設定になっているんだっけ。
注文した料理を食べつつサトシは俺に聞く。
「うん、割と充実しているよね。これなら大きな街に出なくても
買い物については問題ないかもね」
実際のところ勝手知ったる街なので感想も何も無いのだが
とりあえずは無難な返事をする俺。
「良かった、気に入ってくれて。ミヒロちゃんを誘った甲斐があったよ。」
そう言うとサトシは残りの料理に手をつける。
「それにしても、どうして今回私なんかを誘ってくれたの?
サトシ君って忙しいのにわざわざ街案内までしてくれるなんてさ。
サトシ君位の人なら私よりも同じ学校の可愛い女の子を誘えばいいのに」
コーヒーを口にしつつ上目遣いでサトシをちらりと見る。
「え? えーと…そう、ミヒロちゃん、君の方こそにこっちに来て色々と
忙しかったんじゃ無いかなって。だから、街案内も兼ねてミヒロちゃんの
気分転換になればと思って誘ったんだよね。」
ちょっと焦った様子のサトシ。若干、顔が赤くなっているけど?
470 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:35:26.25 ID:0XUEaXg0
…こっちに来てかぁ。
そう言えば俺は最近この家に来たという設定になっているんだっけ。
「確かにそうかも。私、最近遊びに行く事なんて全然無かったなぁ…」
思わず実感を込めて話す俺。
最近どころかネットで一日中PCの前にへばり付いていた俺にとっては
ミヒロがどうのこうのという問題どころの話ではないのですが。
思わず実感を込めて話す俺。
最近どころかネットで一日中PCの前にへばり付いていた俺にとっては
ミヒロがどうのこうのという問題どころの話ではないのですが。
「そうなんだ。じゃあやっぱり誘って良かったよ」
「え? どうして?」
サトシのホッとした様子が気になる俺。
「実は俺、女の子を誘ったの初めてなんだよね。正直、すごく緊張したよ。
でもミヒロちゃんが俺の案内を喜んでくれたみたいだし、何だか安心したって言うかさ。」
しみじみと実感を込めて話すサトシ。
「そ、そうなんだ? でもそんなに緊張するほどのもんじゃないでしょ?
相手は私なんだし」
「…ミヒロちゃんだからこそ、俺は緊張したんだよ」
「え?」
俺の問いかけに対し真顔で答えるサトシに戸惑う俺。
「他の女の子、とりわけ同じ学校の女の子達にはあまり関心を引く相手が
俺には居なかったんだ、…これまでは。」
「…」
「だけどミヒロちゃんに初めて会って、まだ日は浅いんだけど何だか惹かれるものを
感じるんだ」
「そ、それって…」
(……)
サトシの話に何故かものすごくドキドキしてくる俺。
マルさんの気持ちが俺に流れ込んでいるせいかどうかは分からないけど、
この甘酸っぱいクラクラする感覚は何なんだろう?
それにしても、いきなりサトシは何を言い出しているのだろうか?
「で、でも何で私なの? サトシ君みたいに女の子に人気があるような人が?
もう少し色々考えてみたの? 落ち着いてさ、冷静に考えてみようよ?」
この場はなんとか収拾をつけようとするが自分でもわけの分からない会話をする俺。
「理由なんか俺にも分からないよ。でも会って色々話したりして気がついたんだ、
…俺はミヒロちゃんがいいって。」
俺とは対照的に冷静に言うサトシ。
「……」
顔がどんどん赤くなっていく俺。頭の中が真っ白になるとはこの事かな?
「ご、ごめんね、ちょっと、トイレ…」
思わずトイレに駆け込む俺。慌てていたせいか荷物は座席に残したままにして向かう。
471 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:37:55.83 ID:0XUEaXg0
「え? どうして?」
サトシのホッとした様子が気になる俺。
「実は俺、女の子を誘ったの初めてなんだよね。正直、すごく緊張したよ。
でもミヒロちゃんが俺の案内を喜んでくれたみたいだし、何だか安心したって言うかさ。」
しみじみと実感を込めて話すサトシ。
「そ、そうなんだ? でもそんなに緊張するほどのもんじゃないでしょ?
相手は私なんだし」
「…ミヒロちゃんだからこそ、俺は緊張したんだよ」
「え?」
俺の問いかけに対し真顔で答えるサトシに戸惑う俺。
「他の女の子、とりわけ同じ学校の女の子達にはあまり関心を引く相手が
俺には居なかったんだ、…これまでは。」
「…」
「だけどミヒロちゃんに初めて会って、まだ日は浅いんだけど何だか惹かれるものを
感じるんだ」
「そ、それって…」
(……)
サトシの話に何故かものすごくドキドキしてくる俺。
マルさんの気持ちが俺に流れ込んでいるせいかどうかは分からないけど、
この甘酸っぱいクラクラする感覚は何なんだろう?
それにしても、いきなりサトシは何を言い出しているのだろうか?
「で、でも何で私なの? サトシ君みたいに女の子に人気があるような人が?
もう少し色々考えてみたの? 落ち着いてさ、冷静に考えてみようよ?」
この場はなんとか収拾をつけようとするが自分でもわけの分からない会話をする俺。
「理由なんか俺にも分からないよ。でも会って色々話したりして気がついたんだ、
…俺はミヒロちゃんがいいって。」
俺とは対照的に冷静に言うサトシ。
「……」
顔がどんどん赤くなっていく俺。頭の中が真っ白になるとはこの事かな?
「ご、ごめんね、ちょっと、トイレ…」
思わずトイレに駆け込む俺。慌てていたせいか荷物は座席に残したままにして向かう。
471 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:37:55.83 ID:0XUEaXg0
「あ~、もう何を言うんだよ…サトシの奴」
ファミレスの女子トイレの手洗い場の前で俺は思わず呟く。
鏡の中に映る俺の顔はすっかり赤くなっている。くそっ、何赤くなってるんだよ。
ファミレスの女子トイレの手洗い場の前で俺は思わず呟く。
鏡の中に映る俺の顔はすっかり赤くなっている。くそっ、何赤くなってるんだよ。
少しでも心を落ち着かせようという気持ちの表れか、蛇口の流水の中に両手を入れる。
流水が冷たくなってくるにしたがって俺の気持ちも冷静になってくる。
流水が冷たくなってくるにしたがって俺の気持ちも冷静になってくる。
ありゃ、本気だな。
サトシは俺を、ミヒロを好きになってしまっている。
サトシは俺を、ミヒロを好きになってしまっている。
…俺の正体はヒロアキなのに?
でもサトシは俺の事をミヒロという一人の"女の子"として初めて会ったあの日から
俺の事を見ている。
サトシは俺(ミヒロ)をヒロアキとは思わずに普通の女の子として
楽しく案内に興じているのかと思うと騙している気がして
申し訳のない気持ちになってしまう。
俺の事を見ている。
サトシは俺(ミヒロ)をヒロアキとは思わずに普通の女の子として
楽しく案内に興じているのかと思うと騙している気がして
申し訳のない気持ちになってしまう。
一応俺は(もちろん今後も)女の子だけれども、ヒロアキなんだ。
中途半端な女なんだ。出来ればサトシのようないい奴にはホントに可愛い女の子と
付き合った方が良いに決まっている。
俺なんかに興味を持たれてもお互いにいい事なんか無い。
中途半端な女なんだ。出来ればサトシのようないい奴にはホントに可愛い女の子と
付き合った方が良いに決まっている。
俺なんかに興味を持たれてもお互いにいい事なんか無い。
…これはハッキリいってまずいな。
まさかサトシが俺に対してそんな感情を持つなんて全くの想定外だった。
先程まで顔を赤らめていた俺だったが事態の深刻さに顔が青ざめていく。
まさかサトシが俺に対してそんな感情を持つなんて全くの想定外だった。
先程まで顔を赤らめていた俺だったが事態の深刻さに顔が青ざめていく。
「…」
俺が自分の事を初めからヒロアキである事を話してさえいればこんな事にはならなかった。
…これは俺のせいだ。俺がハッキリ言わないからこんな事になってしまったんだ。
このままだとサトシを裏切るだけで無く、騙すことにもなってしまう。
それこそ終わりだ。
俺が自分の事を初めからヒロアキである事を話してさえいればこんな事にはならなかった。
…これは俺のせいだ。俺がハッキリ言わないからこんな事になってしまったんだ。
このままだとサトシを裏切るだけで無く、騙すことにもなってしまう。
それこそ終わりだ。
…どうすればいい?
俺は考える。しかし答えはただ一つ。
考えてみれば今日はその為にサトシの誘いに乗ったわけだし。
ここで呑気に顔を赤らめたり、胸をときめかせている場合じゃない。
考えてみれば今日はその為にサトシの誘いに乗ったわけだし。
ここで呑気に顔を赤らめたり、胸をときめかせている場合じゃない。
「…よし」
俺は気持ちを入れ替えるとサトシの居る席に戻った。
472 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:42:06.25 ID:0XUEaXg0
「ごめんね、お待たせしちゃったね」
俺は気持ちを入れ替えるとサトシの居る席に戻った。
472 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:42:06.25 ID:0XUEaXg0
「ごめんね、お待たせしちゃったね」
俺が戻るとサトシはぼんやりと食後のコーヒーを飲んでいた。
「…いや、別にいいよ」
サトシはさっきのやり取りが何事も無かったかのように普通に振舞っている。
…ん? でも、普通過ぎかな?
「…いや、別にいいよ」
サトシはさっきのやり取りが何事も無かったかのように普通に振舞っている。
…ん? でも、普通過ぎかな?
「あ、ミヒロちゃん、バッグ置きっぱなしだったから俺が預かっていたよ」
サトシはそういうと白い皮製の手提げバッグを俺に差し出す。
「あれ? 私、席に置いたままだったんだ。ありがとう、サトシ君」
俺は笑顔でそれを受け取る。
「うん、別にいいよ。…そうだ、バッグの中に携帯電話が入っているのかな?
何か呼び出し音みたいな音がしていたけど」
「え? そうなの? 誰だろう? 私、一応携帯は持っているんだよね」
俺はサトシからバッグを受け取ると席に座る。
「ふ~ん、そうなんだ」
サトシはそう言うと残りのコーヒーを口にする。
サトシはそういうと白い皮製の手提げバッグを俺に差し出す。
「あれ? 私、席に置いたままだったんだ。ありがとう、サトシ君」
俺は笑顔でそれを受け取る。
「うん、別にいいよ。…そうだ、バッグの中に携帯電話が入っているのかな?
何か呼び出し音みたいな音がしていたけど」
「え? そうなの? 誰だろう? 私、一応携帯は持っているんだよね」
俺はサトシからバッグを受け取ると席に座る。
「ふ~ん、そうなんだ」
サトシはそう言うと残りのコーヒーを口にする。
「さて、そろそろ出ようか。まだ案内したいところもあるし」
サトシはそう言うとすっと立ち上がる。
「うん?そうだね」
俺もそれにつられて席を立つ。
サトシはそう言うとすっと立ち上がる。
「うん?そうだね」
俺もそれにつられて席を立つ。
ファミレスを出た後も俺とサトシは街の中を歩く。
「…」
「…」
しかし午前中のような和気あいあいとした雰囲気は無くなってしまっていた。
「…」
「…」
しかし午前中のような和気あいあいとした雰囲気は無くなってしまっていた。
たぶん、その原因は俺。
自分の事をサトシに話さなければならないという俺の心の焦りで
サトシの案内に気持ちが乗らなくなってしまったから。
自分の事をサトシに話さなければならないという俺の心の焦りで
サトシの案内に気持ちが乗らなくなってしまったから。
いつ、どのタイミングで自分の事をサトシに話すか。
サトシの案内が進んで行く中でこの思いがどんどん重く膨らんでいって、
自分でも気がつかないくらい俺の表情が憂鬱に、そして暗くなっていく。
「…?」
更には俺の身体の感覚も重く苦しい気がする。気持ちが重いと身体も重くなるのかな?
自分の脚が重く感じて一歩一歩が非常にしんどく感じる。
473 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:43:41.60 ID:0XUEaXg0
「…」
サトシはサトシで午前中とは様子が一変していた。
最初は嬉々として俺を案内していたサトシ。しかし俺の変化に気付いたのか
どうかは分からないが、ファミレスを出てからのサトシの表情は曇っていた。
サトシの案内が進んで行く中でこの思いがどんどん重く膨らんでいって、
自分でも気がつかないくらい俺の表情が憂鬱に、そして暗くなっていく。
「…?」
更には俺の身体の感覚も重く苦しい気がする。気持ちが重いと身体も重くなるのかな?
自分の脚が重く感じて一歩一歩が非常にしんどく感じる。
473 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:43:41.60 ID:0XUEaXg0
「…」
サトシはサトシで午前中とは様子が一変していた。
最初は嬉々として俺を案内していたサトシ。しかし俺の変化に気付いたのか
どうかは分からないが、ファミレスを出てからのサトシの表情は曇っていた。
「…ミヒロちゃん、ちょっと街から外れてしまうんだけどいいかな?」
真剣な表情で俺に尋ねてくるサトシ。
「え? 別にいいけど?」
俺はサトシの様子に戸惑う。
「…そう、それじゃ行くよ」
サトシはそう言うと俺の方を見ずに足取りを進める。
「え? 別にいいけど?」
俺はサトシの様子に戸惑う。
「…そう、それじゃ行くよ」
サトシはそう言うと俺の方を見ずに足取りを進める。
「…何処に行くの?」
サトシの足取りが俺とサトシの家の方向に向かっているのに気がついた俺は
思わず尋ねる。…ひょっとして帰るとか?
サトシの足取りが俺とサトシの家の方向に向かっているのに気がついた俺は
思わず尋ねる。…ひょっとして帰るとか?
「うん、ちょっと…ね。」
サトシはそう答えたきり何も言わない。
「…」
俺はサトシの俺に対する変化が気になりつつも、それ以上聞かずに後をついて行く。
サトシはそう答えたきり何も言わない。
「…」
俺はサトシの俺に対する変化が気になりつつも、それ以上聞かずに後をついて行く。
サトシの足取りは街から外れ、何故か街の中を流れる川沿いの草地にたどり着いた。
「ここは…川沿いの原っぱだよね?」
俺は案内された場所を見渡しつつ呟く。
「…うん、何処にでもある原っぱだよ」
俺は案内された場所を見渡しつつ呟く。
「…うん、何処にでもある原っぱだよ」
…でも、この場所は。
俺は堤防を降りて草地の真ん中まで歩いていく。
サトシも俺の後に続く。
474 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:45:13.80 ID:0XUEaXg0
「ここは…」
この場所は俺がまだ小学生の頃、サッカーの練習によく使っていた。
俺は堤防を降りて草地の真ん中まで歩いていく。
サトシも俺の後に続く。
474 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:45:13.80 ID:0XUEaXg0
「ここは…」
この場所は俺がまだ小学生の頃、サッカーの練習によく使っていた。
サトシと初めて出会ったのもこの場所だった。
そう言えば初対面で俺とサトシはいきなりガチのサッカー勝負をしたんだっけ。
…あの時のサッカー勝負。
そう言えば初対面で俺とサトシはいきなりガチのサッカー勝負をしたんだっけ。
…あの時のサッカー勝負。
「…勝ったのは誰だったかなぁ」
ぼんやりしていたせいか俺は不用意にも呟く。…サトシがすぐ側にいるにもかかわらず。
ぼんやりしていたせいか俺は不用意にも呟く。…サトシがすぐ側にいるにもかかわらず。
「…ヒロアキが勝ったよ」
サトシがポツリと一言。
そうか、あの時は俺が勝ったんだ…って、ええっ?
サトシがポツリと一言。
そうか、あの時は俺が勝ったんだ…って、ええっ?
「ヒロアキって、一体どうしちゃったの? サトシ君?」
サトシの一言に狼狽する俺。
「うん? 別に独り言だよ? ミヒロちゃん」
サトシは何事も無いかのように振舞う。
サトシの一言に狼狽する俺。
「うん? 別に独り言だよ? ミヒロちゃん」
サトシは何事も無いかのように振舞う。
…だけど、何か様子が変だ。
考えてみるとファミレスから出てからサトシの様子に変化があったような気がする。
俺に対して何か余所余所しさがあるような気がするんですけど。
考えてみるとファミレスから出てからサトシの様子に変化があったような気がする。
俺に対して何か余所余所しさがあるような気がするんですけど。
「…サトシ君? どうしちゃったの?」
「…ミヒロちゃん、ちょっと待ってね。 気になる事があってさ、
どうしても確認したいことがあるんだよね。」
サトシ俺の問いかけには答えず、おもむろに携帯電話を取り出すと
電話をかけようとする。
475 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:46:52.32 ID:0XUEaXg0
ん? 急にどうしたんだろ、サトシの奴?
俺との会話を止めて電話なんかかけちゃって。
「…ミヒロちゃん、ちょっと待ってね。 気になる事があってさ、
どうしても確認したいことがあるんだよね。」
サトシ俺の問いかけには答えず、おもむろに携帯電話を取り出すと
電話をかけようとする。
475 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:46:52.32 ID:0XUEaXg0
ん? 急にどうしたんだろ、サトシの奴?
俺との会話を止めて電話なんかかけちゃって。
~♪ ~~♪
ん?
~~♪
あれ?
俺の携帯電話から着信音が。
誰だろ?
「…あれ?」
しかもこの着信メロディーって…
誰だろ?
「…あれ?」
しかもこの着信メロディーって…
俺は何も考えず自分の携帯をバッグから取り出す。
それは俺がヒロアキの頃から使っている機種。
サトシが見ているにも関わらず俺は無警戒にもそれを取り出した。
それは俺がヒロアキの頃から使っている機種。
サトシが見ているにも関わらず俺は無警戒にもそれを取り出した。
「…」
「…え」
「どうして君がそのケータイを持っているんだい?」
「…サ、サトシくん…?」
気がつくとサトシは携帯を持っている方の俺の手を掴んでいた。
「たとえ、同じ機種を持っていたとしてもその着信メロディーは俺とヒロアキの間だけでしか
登録していない音楽なんだけど。」
登録していない音楽なんだけど。」
「…そ、それは」
俺は自分の携帯電話の液晶画面に目を通す。
電話の相手は…サトシ。
俺は自分の携帯電話の液晶画面に目を通す。
電話の相手は…サトシ。
「!?」
そう、サトシは俺の携帯に電話をかけたのだ。
…それにしても何故? どうしてこのタイミングで?
思わず動きが止まる俺。
476 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:48:32.21 ID:0XUEaXg0
「…」
何だろうか、自分自身の心臓の音がもの凄い勢いでドキドキしていて苦しいくらいだ。
俺は恐る恐るサトシの顔を見る。
…それにしても何故? どうしてこのタイミングで?
思わず動きが止まる俺。
476 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:48:32.21 ID:0XUEaXg0
「…」
何だろうか、自分自身の心臓の音がもの凄い勢いでドキドキしていて苦しいくらいだ。
俺は恐る恐るサトシの顔を見る。
「…どういう事か俺に話してもらえるかな? ミヒロちゃん?」
俺は思わず硬直する。
今までに無い位無表情のサトシ。怒っている? いや、良く分からない。
しかしこんな冷たい表情、俺は見た事が無い。
俺は思わず硬直する。
今までに無い位無表情のサトシ。怒っている? いや、良く分からない。
しかしこんな冷たい表情、俺は見た事が無い。
どうしよう。
どうしたらいい?
俺の頭の中で良く分からない思いがぐるぐる駆け巡る。
確かに俺は今日、サトシに俺の正体を告げようと考えていたし、そのタイミングを
ファミレスから出てずっとうかがっていた。だけど、こんな展開になるなんて
正直想像もつかなかった。
確かに俺は今日、サトシに俺の正体を告げようと考えていたし、そのタイミングを
ファミレスから出てずっとうかがっていた。だけど、こんな展開になるなんて
正直想像もつかなかった。
…思考が上手くまとまらないし、答えが出ない。
やだ、どうしよう。
どうにもならない。
答えが出せない。
「…」
サトシは相変らず俺を冷たい視線で見続けている。
サトシは相変らず俺を冷たい視線で見続けている。
怒っている? 今まで俺がミヒロと偽ってサトシを欺いてきたことを?
今まで隠し事無く親友としてやってきたのに何の相談も報告も無く
急に居ない振りをしてきた俺の事を?
急に居ない振りをしてきた俺の事を?
急に頭の中が真っ白になる俺。
477 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:52:24.60 ID:0XUEaXg0
「こ、これは…その」
サトシの追求にうろたえる俺。
477 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:52:24.60 ID:0XUEaXg0
「こ、これは…その」
サトシの追求にうろたえる俺。
「その…何?」
相変らず表情を変えないサトシ。
相変らず表情を変えないサトシ。
色々思いつく限りの理由を考えるが混乱しているせいもあり
何も思いつかない。
何も思いつかない。
「…」
「…」
「…」
沈黙が続く。非常に長い時間が流れているように感じる、いや止まっているように
感じるのかな?
感じるのかな?
その間、俺はもはやサトシには誤魔化しがきかない状況であることに気付いていた。
…だからといって今の状況をすんなりと言えるほど俺は冷静では無かった。
…だからといって今の状況をすんなりと言えるほど俺は冷静では無かった。
「…」
俺の頭の中は混乱の極致にあった。
…そして。
訳の分からなくなった俺がとる行動はただひとつ。
「ご、ごめん! なんと言うか、その…、ごめんねっ!!!」
ダダダッ!!!!
凄い勢いで走り出す俺。いわば敵前逃亡だった。
478 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:53:50.00 ID:0XUEaXg0
「!! えっ! ミ、ミヒロちゃん!? ちょっと!!」
サトシは俺のいきなりの行動に戸惑っているようだ。
慌てているサトシの声が後ろから聞こえる。呼び止めようとするがそんなの構っちゃいらんない。
捕まったら即、死(?)である。
478 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:53:50.00 ID:0XUEaXg0
「!! えっ! ミ、ミヒロちゃん!? ちょっと!!」
サトシは俺のいきなりの行動に戸惑っているようだ。
慌てているサトシの声が後ろから聞こえる。呼び止めようとするがそんなの構っちゃいらんない。
捕まったら即、死(?)である。
「ミヒロちゃん!! 待って!」
サトシの必死な声が聞こえる。どうやら奴は俺を追いかけてきているようだ。
後ろを気にする余裕は無い。いくら俺の逃げ足が天才的とは言えども男の時とは違う。
それにサトシの脚はサッカー部でも1、2を争うくらいの俊足だ。
まともにやって敵うとは思えない。
サトシの必死な声が聞こえる。どうやら奴は俺を追いかけてきているようだ。
後ろを気にする余裕は無い。いくら俺の逃げ足が天才的とは言えども男の時とは違う。
それにサトシの脚はサッカー部でも1、2を争うくらいの俊足だ。
まともにやって敵うとは思えない。
…そんな訳で滅茶苦茶に走った。サトシに追いつかれない様に。
何時の間にか俺の履いていた赤く可愛らしいデザインのミュールは何処かに
いってしまったようで、俺は裸足で走っていた。
何時の間にか俺の履いていた赤く可愛らしいデザインのミュールは何処かに
いってしまったようで、俺は裸足で走っていた。
実由が俺に似合うといって無理やり着せられているピンク色のミニドレスは丈が短いので
これだけ激しく走っていると多分パンツ丸見えなんだろうな~と思うが
もはやそんな事気にしちゃいらんない。とにかく走って逃げ切るんだ。
これだけ激しく走っていると多分パンツ丸見えなんだろうな~と思うが
もはやそんな事気にしちゃいらんない。とにかく走って逃げ切るんだ。
「…」
「ミヒロちゃん!」
これだけ必死に走っているにも関わらずサトシが俺に着実に近づきつつあるのを、
サトシが俺に確実に追いついてしまうのを感ぜられずにはいられなかった。
「ミヒロちゃん!」
これだけ必死に走っているにも関わらずサトシが俺に着実に近づきつつあるのを、
サトシが俺に確実に追いついてしまうのを感ぜられずにはいられなかった。
「う~、くっそ~」
俺は思わず唸る。
正直なところ俺の身体は俺の思い通りに動いてくれないんだ。
昨日くらいからずっと身体が重くって、…不思議なんだよ。
俺は思わず唸る。
正直なところ俺の身体は俺の思い通りに動いてくれないんだ。
昨日くらいからずっと身体が重くって、…不思議なんだよ。
俺が男だったらサトシなんかに追いつかれることなんて無いのに!
色々な思いが俺の中で交差する。
色々な思いが俺の中で交差する。
(…ミヒロちゃん)
何故かこの場面でマルさんの声が。
479 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:55:57.64 ID:0XUEaXg0
どうしたんだよ、マルさん?
今日は全然意識が流れて来なかったからどうしたのかと思ったよ。
…などと言っている余裕は今の俺には無いんですけど。
何故かこの場面でマルさんの声が。
479 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:55:57.64 ID:0XUEaXg0
どうしたんだよ、マルさん?
今日は全然意識が流れて来なかったからどうしたのかと思ったよ。
…などと言っている余裕は今の俺には無いんですけど。
(ミヒロちゃん、こんな時にゴメンね。
…なるべく"出ない"方がいいかな、って思ってたから…)
「…何を言っているのか分かんないよっ」
苦しそうに声を出す俺。
…なるべく"出ない"方がいいかな、って思ってたから…)
「…何を言っているのか分かんないよっ」
苦しそうに声を出す俺。
(あまり"私"が出過ぎるとミヒロちゃんに影響が出過ぎちゃうから…)
…?
さっきからマルさんの言っている事が分からない。
…?
さっきからマルさんの言っている事が分からない。
(こんな時にゴメンね、でも"時機"が近づきつつある今しか
ミヒロちゃんに…話せないから)
マルさんの話は続く。
(もう実感していると思うけど、ミヒロちゃんの身体が自分の思うように
動かなくなっていないかな…?)
…確かにそうだけど、それって疲労のせいじゃないの?
(ううん、これは私の影響がいよいよミヒロちゃんの身体に起きている
兆候なの…)
マルさんの影響? 何それ?
確かにマルさんと融合した事により俺の身体は女の子になっちゃったけど。
ミヒロちゃんに…話せないから)
マルさんの話は続く。
(もう実感していると思うけど、ミヒロちゃんの身体が自分の思うように
動かなくなっていないかな…?)
…確かにそうだけど、それって疲労のせいじゃないの?
(ううん、これは私の影響がいよいよミヒロちゃんの身体に起きている
兆候なの…)
マルさんの影響? 何それ?
確かにマルさんと融合した事により俺の身体は女の子になっちゃったけど。
(以前、私はミヒロちゃんに自分の事を異世界を渡り歩く思念体だと言ったけど…実は違うの。)
…違う? どういう事?
必死に走りながらも意識はいつの間にかマルさんとの会話に集中している俺。
俺は川原を抜け、いつの間にか市街地まで出ていた。
俺は川原を抜け、いつの間にか市街地まで出ていた。
(…私の正体は生命体に寄生する思念体。…そして最終的にはその個体を意識もろとも乗っ取るの)
480 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:58:06.21 ID:0XUEaXg0
…
480 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:58:06.21 ID:0XUEaXg0
…
…
…
俺の思考はフリーズしていた。
マルさんは今、何を言ったんだろう? 全然理解できない。
…
…でも。
言われてみるとマルさんが俺の身体を乗っ取る事について否めない部分を感じる。
(あの日、あの時、私は公園で寝そべっているヒロアキ君を見かけた。
これまで私はあなたに会うまで色々な生命体との融合、そして乗っ取りを試みていた。
…でも"相性"というものがあって私はことごとく失敗に終わっていた。
…このままでは"自分の身体"を見つける前に私自身が消滅してしまう。
だから迷わずにあなたに寄生した。あなたという"身体"を手に入れるために。
これは私にとっては最後のチャンスだったの。)
これまで私はあなたに会うまで色々な生命体との融合、そして乗っ取りを試みていた。
…でも"相性"というものがあって私はことごとく失敗に終わっていた。
…このままでは"自分の身体"を見つける前に私自身が消滅してしまう。
だから迷わずにあなたに寄生した。あなたという"身体"を手に入れるために。
これは私にとっては最後のチャンスだったの。)
…
(…幸運にも、ヒロアキ君との融合は成功した。そして、ヒロアキ君は女の子になった。
実はヒロアキ君が女の身体になったのは私があなたの身体を完全に乗っ取った後に
私が人間の女の子として生きる為に変化したもの。…そう、全ては私の為だけの変化だったの。)
実はヒロアキ君が女の身体になったのは私があなたの身体を完全に乗っ取った後に
私が人間の女の子として生きる為に変化したもの。…そう、全ては私の為だけの変化だったの。)
…俺と君との衝突も、融合しないと二人とも生命を失うとか、という話は…。
(勿論、…嘘。 私はあなたを欺いてきた。…でも、それももう終わり。
私とあなたのシンクロが進めば進む程、あなたの身体は自分の思うように
動かなくなっていき、最後はあなたの意識ごと私の身体になる)
481 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:59:45.13 ID:0XUEaXg0
…
私とあなたのシンクロが進めば進む程、あなたの身体は自分の思うように
動かなくなっていき、最後はあなたの意識ごと私の身体になる)
481 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 03:59:45.13 ID:0XUEaXg0
…
…
…
…そんな。
…そんな馬鹿な。
俺は呆然とする。
これまでのマルさんの話は全て嘘だった?
これまでのマルさんの話は全て嘘だった?
…信じられない。マルさんが俺を騙していたというのか?
全ては俺の身体を奪い取る為に?
全ては俺の身体を奪い取る為に?
(……)
マルさんからの反応は無い。
…ホントに俺を騙していたのか?
…ホントに俺を騙していたのか?
…マルさんは。
…ホントに?
482 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 04:01:07.08 ID:0XUEaXg0
「危ないっ! ミヒロちゃんっ!!」
呆然としている俺に向けられる叫び声。
482 :vqzqQCI0 :2009/02/18(水) 04:01:07.08 ID:0XUEaXg0
「危ないっ! ミヒロちゃんっ!!」
呆然としている俺に向けられる叫び声。
「…サトシ?」
俺はその声でハッと我に返る。
俺はその声でハッと我に返る。
サトシから逃げている途中だった俺。
無我夢中でいつの間にか車道に出ていた俺。
…そして。
俺の目の前には走行中のトラックが。
…
…
…
キキーッ!!
激しいブレーキ音。
…
…
そして。
トラックに跳ね飛ばされる俺が居た。