【台湾の中心で、暑いと叫ぶ―南投県の夏旅】
第1話)座席は全て完売です!!
||台湾|台北|彰化|の旅行記||
台北中央駅の切符売場に掲げられた張り紙のメッセージに、僕は思わず焦りを募らせた。
「座位已全部售完(座席は全て完売です)」
朝に羽田を発った飛行機は、台北市内に近い松山(ソンシャン)空港に予定より10分早い12時ジャストに到着。「上手く行けば午後1時の急行列車に間に合うかも知れない!」 僕は、急いで出国手続きを済ませ地下鉄に飛び乗った。途中一箇所で電車を乗り換え、10分前に中央駅に到着、その矢先での冒頭の張り紙である。
「彰化(チャンホア)まで一枚」
今回の旅は台湾中部をめぐる予定だ。付け焼刃で覚えた中国語で、ともかく僕は目指す台湾中部の街・彰化(チャンホア)行きの切符が欲しい意図を伝える。しかし、駅職員は容赦のない早口中国語でなにやらギャーギャーとまくし立て、結局何が何だか分からぬまま、一枚の切符が渡された。
一体何の問題があったというのだ。ちゃんと席はあるではないか。おかげで、昼飯を買い込む暇もなくギリギリの乗車になってしまったではないか。
まあよい、そのうち車内販売がやってくるだろう。
南へ向かう列車の車窓をしばし楽しんでいたが、やがてお腹がグーっと鳴り出した。すると、そこにタイミングよくカートを引きずるオバちゃんの気配が。良かった、これで空腹から開放されるゾ、と思ったのもつかの間、そのオバちゃんは客席に体を突っ込み何かを持ち去っていく。どう考えても、モノを売る行動とはかけ離れ過ぎている。
どういうことだろうと思ったら、そのオバちゃんはゴミの収集係であった。残念、お弁当販売ではなかったのか。お腹減ったなぁ。
その後暫く空腹に耐え忍んだのち、お目あての弁当販売がやって来た。ぶ厚いお肉の入ったお弁当がたった80元(約220円)とは嬉しい限り、ビバ美食大国・台湾!!
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しかし、異変は彰化(チャンホア)まであと30分というところで起こった。台中から乗り込んだ台湾人の乗客が「ここは俺の席だ」と言い張って聞かない。
そんなハズはない、この5号車18番シートは紛れもなく僕の席だ、僕は正々堂々、自分の切符を差出した。
すると台湾人は「ここを見ろ」と切符の一部を指差す。なんとそこに印字されていたのは、「台中以後無座 No Seat After Taichung」の文字。
「台中以後無座 No Seat After Taichung」
ああ、台北駅の「座位已全部售完(座席は全て完売です)」の張り紙は嘘ではなかった。無座の区間が30分だけだったのが不幸中の幸いと諦めるしかあるまい。
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彰化(チャンホア)に着くと、ネットで目星をつけて置いた駅近の富皇大飯店に向かった。英語に訳せば Rich Royal Hotel となるこの宿だが、1階が駐車場というのが怪しい。そして部屋の内装がピンクを基調としているのがなお怪しい。さらに無料のコーヒー/お茶に加えて、Cンドームが備えてあるのが決定的に怪しい。
しかし、こんな宿に平気で楽しげにファミリーで泊まっている台湾人、そのメンタリティこそが一番怪しいゾ!!
最終更新:2016年08月27日 00:13