【台湾の中心で、暑いと叫ぶ―南投県の夏旅】
第2話)食い逃げ事件

||台湾|彰化|の旅行記||

彰化(チャンホア)駅前の植木には大仏模様のカットが施され、ファンキーな異彩を放っている。そう、この街は大仏で有名な街なのだ。

夕刻前に宿にチェックインした僕は、八卦山(パークァシャン)の頂にある大仏公園を目指した。時折小雨がちらつき、じっとりと蒸し暑さが絡み着くが、丘の上に大仏が見えてくると足取りも軽くなる。ヤシの木に囲まれて大仏が鎮座する様は南国らしくエキゾチックだ。

大仏の街・彰化(チャンホア)
大仏の街・彰化(チャンホア)

5時までは大仏の中に入れるというので行って見る。僕が中に入ろうとすると、係りのオバちゃんが出てきて「もう閉めるよ」とゼスチャーでオイラの進入を阻止するではないか。なぜだ、時刻はまだ4時半なのに、、、

後で事情通に聞いてみたところ、係のオバちゃんが5時で帰りたいから4時半で閉めちゃうとの事だった。仏に仕える身でありながら、なんと自己チューな!!

それでも八卦山(パークァシャン)の丘の上から見下ろす彰化(チャンホア)市街の光景は眺めが素晴らしく、蒸し暑いなか登ってきた甲斐があったというもんだ。オバちゃんの怠慢は大仏のような広い心で大目にみてあげよう。

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ここ彰化(チャンホア)には大仏の他にもう一つ名物がある。肉圓(バーワン)と呼ばれる、肉まんと肉団子の合いの子のようなスナックだ。宿近くの「阿璋肉圓(アーチャン バーワン)店」が名店だと聞き突撃してみた。

名店「阿璋肉圓(アーチャン バーワン)店」
名店「阿璋肉圓(アーチャン バーワン)店」

店先では、目前で揚げられる肉圓(バーワン)に大勢の地元民が列を成している。

しかし、いったいどうやって注文してよいのか分からず、とりあえず席に座って「肉圓(バーワン)」とメモ帳に書いて店員さんに指し示し、オーダーした。

すると、茶碗の中に、見た目は肉まんだが、それに八角の効いたタレをかけた一品が供された。これをフォークで崩して食べるのだ。フォークを当てると、肉圓(バーワン)の皮の部分に妙に弾力が富んでいることが分かる。この部分はさつま芋のデンプンでできているそうだが、未体験のプニプニ感が面白い。

これが肉圓(バーワン)だ
これが肉圓(バーワン)だ

気軽なオヤツという位置づけなのであろう。店内でサクっと味わって立ち去る人もいれば、テイクアウトでたくさん買い込んで帰る人も多い。ま、一つ35元(約100円)だしね。

さぁ、僕もお勘定と思って店員に金を払おうとする。すると「店の前のテイクアウトの列に並べ」とジェスチャーで示される。ありゃ、この店のシステムってどうなっているのだ?と、改めて周りを観察してみると、持ち帰りだろうとイートインであろうと、ともかく店の前に並んで、まず料金を払うのが基本であることが分かった。

食べてから料金を払おうとするオイラの行為は、ここでは全くの掟破りだったのである。

阿璋肉圓(アーチャン バーワン)店
店の前でまず料金を払うのが基本

しかし、ズラツと並んだ地元民の列に加わり、いざ列の先頭に立ったときに「先に食べちゃったのでお金だけ払います」などとややこしい中国語をオイラが話せるワケがない。そして、コトバの分からない外国人がわけのわからない態度で店の流れをスタックさせてしまう事態は、並んでいる客にもお店にとっても多大な迷惑になることは容易に想像できる。

 「こりゃ、どうしようかな?」

悩んでいるうち、一歩列から離れてみる ― おや、 誰も何も言わない。

それでは、二歩離れてみる ― やはり店の人は僕に何の関心も示さない。

ならば今度は、三歩離れてみる ― なんか自分はもはやこの店とは何の関係もないタダの通行人に思えてきた。

ええい、いいや、このまま帰ってしまえ。

そして気づくとホントに通行人と化して店を出てしまった。。。 しかしこれって立派な食い逃げだよな ― そんなことでいいのか、自分<こら

ま、せめての罪滅ぼし。この旅行記を読んでる人に肉圓(バーワン)一つ35元(約100円)の広告費でお店の宣伝をしたことにして帳尻を合わせよう ― 言い訳が勝手過ぎるゾ、自分<こら


(続く)


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最終更新:2016年08月27日 00:14