【メコン左岸にて-ラオス中南部の旅】
第6話)国際船クルーズ

《ラオス旅行記|ビエンチャン|ヴァンビエン|ターケーク|サワナケート》

ターケークの街はメコン川に面し、その対岸にタイの街ナコンパノムと接する国境の街である。

それなりに活気のある街だろうと思っていた。しかしこの街、なんというかビエンチャンからツーリストが集まるエリアを取り除いて、5倍に薄めたような街とでも言えばいいのだろうか。要するに田舎なのである。

ザ・田舎-ターケーク・ラオス
ザ・田舎-ターケーク
ザ・田舎-ターケーク・ラオス

泊まった宿の裏手には赤土の道に水田が広がり、人の数よりヤギやアヒルが大きな顔をして歩いている。あっわわ、目の前で男と女が大胆にもラブシーンをぶちかましているゾ!大胆過ぎるぞ、ヤギのカップル!

といった感じなので、街の中心のちょっとだけフランス植民時代の雰囲気が残る一角を除くと、あとはメコン川沿いに気持ちの良いレストラン街があるくらい。どーってことのない所だ。

唯一にぎわう川沿いの飲食店街-ターケーク・ラオス
唯一にぎわうメコン川沿いの飲食店街

しかしこの街、他がマネしたくとも到底かなわぬアクティビティが存在する。それは超破格値の国際船クルーズである。

僅か60バーツ(180円)で船に乗って外国に行けるのだ。まあ、単に渡し舟でメコンを横切れば、すぐにタイ国じゃんなどと夢のない話を言わないように。

ということで、世界一お手軽な国際船クルーズに挑戦してみることにした。ターケークの船着場にはちっぽけなイミグレがあり、生意気にも免税店まである。しかし、店に入ると客は僕ただ一人で、店員は居眠りをしていた。

そもそもこの国境はほぼ地元のラオス人かタイ人しか利用しない。第三国の外国人に開放されたのは極めて最近の話だ。となれば、いくら免税価格とは言え地元民にとって高額なブランドウイスキーなど売れるわけがない。それでも免税店を作ってしまうのはラオスという国のなけなしのプライドなのだろうか?

やる気の見えない免税店
やる気の見えない免税店と、ちっぽけな「国際船」
国際船のクルーザー?

出国スタンプを押して、ちっぽけな「国際船」に乗り込む。船外機をうならせて「クルーザー」はメコンの大海原(大川原が正しい?)に向かう。左手にタイ、右手にラオスの川岸が見える。この川岸の対比は残酷なまでに両国の発展事情を物語っていた。何もかもが自然なままのラオスと、護岸整備が整い、しゃれた遊歩道まで備えるタイ。

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タイ側とラオス側。両国の国力が浮き彫りになる

5分間のクルージング中、そんなことは杞憂だとわかりつつ、一瞬妙な不安が僕の頭を掠めた。「もし何らかの理由で、例えば入国カードの記載ミスか何かで、タイ入国が拒否されたどうなる?」この場合僕はタイにも入れず、ラオスにも戻れず、メコンの中洲で一生立ち往生するはめになるのだろうか?そうしたら日本政府は特別機をメコン中州に飛ばしてくれたりするのだろうか。いや、せいぜい救命ボートぐらいかなぁ、などとアホなことを考えてるうちにタイ側の船着場に到着した。

船着場では職員たちが歓声を上げていた。なんだろうと目を凝らすと、職員たちは魚が釣れて喜んでいた。国境という緊張感がまるで感じられないマイペンライの国である。妙な不安がもたげた僕だったが、一気に脱力したのは言うまでもない。

上陸したタイはやはりラオスとは格が違った。街中には便利の象徴「セブンイレ●ン」がある。ラオスに「朝7から夜11時まで働こう」などと考えるオーナーが出現する日は、ここ千年なさそうである。

再び「国際船」に乗ってターケークに戻る。にぎやかなタイからラオスの田舎街に戻ると、時は緩やかに流れていた。夕暮れ前、ちょっとした広場からカチッ、カチッと鉄がぶつかる音がする。フランス領時代の名残であろうか、老いも若きも、ペタンク(=南仏発祥のゲートボールみたいなゲーム。鉄の玉をぶつけ合う)に興じている。

ペタンク@ラオス
ペタンク

何とも長閑なラオスであった。

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 19:02