【寒いぞ!冬のモロッコ旅】
第4話)モロッコ商人たちの怪しい日本語

《モロッコ旅行記|マラケッシュ|ワルザザード|ラバト》

マラケッシュにはアラブ世界最大の市場・スークがある。狭い店舗が無数に軒を連ね、一度入るとなかなか元に戻ってこれない。貴金属や民芸品、衣料に食料。ありとあらゆるものがごちゃごちゃに売られている。手造りのものが多く家内制手工業の偉大さに触れたいならここに限る。

モロッコ人は甘党だ。お菓子屋の軒先ではどぎつい色の砂糖菓子が山と積まれている。たかっているハエの多さが、この店の美味なる味を保障しているのだろう。(笑)

マラケッシュのスークaマラケッシュのスークc
マラケッシュのスーク
狭いスークの路地に物を満載した荷車が通るマラケッシュのスークd

時折ただでさえ狭いスークの路地に品物を満載した馬車が通りかかり、道をふさいでしまう。道を空けろと怒鳴る声と売り子の呼び声が交錯し、益々混沌度が上がってゆく。

ただ、スークの中には無数の店があるのだが、どうも売っている品物に店の数程のバラエティ感がない。こちらの民芸品店で見た木彫り細工は隣の店でも売っていれば、あちらの衣料品屋で売っているTシャツはどの店でも売っている。商品に差別化がないから、勢い売り子の競争が熱を帯びてくる。

欧州からの観光客が圧倒的に多いモロッコだが、やはりマラケッシュはモロッコ一の観光地。それなりに日本人観光客もやってくるので、スークを歩いているとすぐに日本語で声をかけられる。商売に必死なのはわかる。競争が厳しいのもわかる。でも、せっかく覚えた日本語の呼びかけなのだが、所詮は付け焼刃の日本語。変てこなバリエーションがたくさんあってこれがとても面白い。

 呼びかけの声X:「ジャポン? ヤマハ・スズキ・ホンダ」
         (僕はバイクじゃないぞ!)

 呼びかけの声Y:「さよなら」
         (会ってすぐ「さよなら」はないだろう)

 呼びかけの声Z:「ジャポンか? おお ジャッキー・しぇン!」
         (いつからジャッキーは日本人になったんだ!
          それから「チェン」と言え。フランス語訛りで「しぇン」と言うな!)

 呼びかけの声P:「ナカター、ナカター」
         (じゃ、日本の首相の名前知ってるかい?)

 呼びかけの声Q:「ジャポン、アキハバラ」
         (げっ、「秋葉原」とは渋いゾ。いったいどこで覚えたんだ。)

 呼びかけの声R:「アサクサバシ~」
         (うわ~、誰が教えたんだ。こんな地名!)

どうやらここでは日本と言えば京都でも奈良でもなく、秋葉原・浅草橋なのだ。台東区の区長さんはさぞかし鼻の高い思いであろう。が、ついにはこんな呼びかけ日本語に遭遇してしまった。

まさかモロッコで、、、、

 呼びかけの声W:「 ♪~ 魚・魚・さかなぁぁぁ ♪~ 」

お、恐るべしモロッコ商人。「みんなの歌」まで視聴していたのかぁっ!

(続く)


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最終更新:2016年08月24日 10:41