『セガガガ』超ロングインタビュー
ゾルゲール哲 氏 vs 電撃オンライン編集部

●涙! イラストはインパクト重視!

――パートがRPGとSIMの2つあったり、キャラの数が多かったりと、なにかと作業が多くて、開発に携わっていた人の数が多いように思えるのですが、ズバリ開発されていたチームの人数は?

ゾル:のべ3,000人ということになっているんですけど(笑)、実際には多い時には13~14人で、平均で10人ぐらいでやってました。今どきのゲームとしては少ないのでは、と言われるんですが、本来はあれぐらいじゃないと、全体が見えなくなるので。特に作業で不都合を感じたこともなかったですし。

――ゲーム中では、開発メンバーは最大7人ですけど、最終的にその数字にいきついた理由というのは? 実際の開発の経験がもとになっていたりしますか?

ゾル:ゲームを設計する時に、既存のゲーム製作シミュレーションを遊んでみたんですよ。オレ自身、シミュレーション自体が好きじゃないっていうのもあるんですが、とてもおもしろそうに見えなかったんです。例えば、背中を向けたキャラが何人か座ってて、コマンドを入力すると、ターンとして動き出す。こんなおちゃらけたゲームで、「さぁシミュレーションです!」っていっても、堅苦しさがあったら、誰もやってもらえないと思ったんですよ。そこでまず第一に、とってもわかりやすい絵面にしようと考えたんです。それで仕上がっているイラストを並べて、ゲームを作っているように見えるミニマムの人数を考えてみました。で、7人ぐらいがちょこちょこ動いているとそれらしく見えるので、7人にした、というわけです。特に実際のゲーム開発の経験からというわけではないですよ。

――イラストのお話が出ましたが、開発者などのキャライラストは何人の方で…。軽く100人以上いるくらいですから、相当多いんじゃないです?

ゾル:みんな嫌がって、誰も描いてくれなかったので、ラフ画はオレがまとめて描いています。クリンナップや色塗りなどは、いろいろな人に手伝ってもらいました。でも、だんだんムチャクチャになってきてね。イラストがない時に、白いダミーのデータを入れておくんですが、見分けが付かないから手書きで名前を入れておいたんですよ。ゲーム中に「ヌシ」って登場するんですが、あれ、実はダミーデータがそのまま製品に入っているんです。ちゃんとイラストは一生懸命描いてたんですけど、白い画面に「ヌシ」って書いてあった方が、インパクトが強い! 「んじゃあ、こっちにしよっか」って。このゲームのイラストは、絵のうまい下手は問わず、とにかくインパクトの強いものを採用しました。

――すごいですね! ほとんど1人で描かれたんですか…。でもそのわりに、というと変ですが、登場キャラ"週一秋葉"のTシャツに「秋葉原電気祭り」とさりげなく書いてあったりと、細かい部分までかなり凝ってて、気合い入ってますよね。

ゾル:よく気が付きましたねぇ。ちなみにあのキャラが持っている紙袋には「メッセサンオー(※11)」ってて書いてあるんですよ。それはさておき、今どきのRPGの戦闘シーンは、敵がアニメーションしてくれるとか、口から吐いた火がエフェクトでキレイに見えるとかじゃないと、申し訳ないじゃないですか。でも、このゲームは設計の時点で「戦闘シーンは絵が1枚出るだけ」ってことになっていたので、こだわれる部分って、イラストの細かさだけなんですよ。だから、細かさについてはそれなりに凝りに凝りましたね。
※11 メッセサンオー
 東京・秋葉原の中央通りにあるゲーム専門店。全部で5店鋪あり、家庭用ゲーム機のソフト&グッズ以外に、パソコンゲームや同人誌、同人ソフト、さらに海外ゲームorアジアの怪しいオモチャなどを取り扱っている。

――でも、どのキャラもインパクトがあるっていうか…はっきり言っちゃうと、変なキャラばっかりですよね(笑)。

ゾル:最初は全体的にもうちょっとマシな、人間型のキャラが多かったんですよ。でも、基本となる人間型のキャラを描いて並べたら、次から人間型のキャラを置いても見分けがつかなくなっちゃって…。見分けがつくようにするために、頭だけのヤツとか、箱に入っているヤツとか、下半身が水中モードになっているヤツとか、変なキャラばかりになっちゃたわけです。

――変と言えば、D研で開発できた新ハードにもビックリしたんですけど…。あの超次世代機はどなたが考えられたんです?

ゾル:あれもひどい話で…。ドグマ社(セガの架空のライバル会社)に勝つためのハードだから、すごいモノができる予定だったんだけどね。オレが考えるつもりだったんだけど忙しかったもんで、開発メンバーに「すごいの考えてくれ! どんなのでもいいから!」って頼んだら、ハムスターとか、ゴミ箱とか、目玉焼きとか(笑)、めちゃくちゃなものが上がってきて(笑)。トンカツをおごってイラストをお願いした人(後述)なんか、ラーメンと変なおっさんのイラストとか描いてきちゃって。「このおっさんのどこが超次世代機なんだよ!」って(笑)。でも、スケジュール的にきつかったので、途中からは見なかったことにして、結果的にバリエーションが増えた、と開き直ることにしました。ちなみにポリバケツとか、使い捨てカメラとか、フルCGなんですよ。当時は「そのくだらない情熱を、他に生かせないのか!?」なんて思いましたね。

――インパクトがあったと言えば、シミュレーション中に起こるイベントのイラストですね。プレイした人間はみんな「あの絵はいいよ~」って言ってました。あれはどなたが描かれたんです? もしかして、これも…。

ゾル:あれも半分くらいオレが描きました(笑)。最初はデザイナーにイラストを描いてもらったんですけど、そのイラストが内容的にヤバくて。で、描き直しをお願いしようとデザイナーを訪ねたんだけど、もうスケジュール的に申し訳なくて…。しようがなくオレが描き直すハメに…。コテコテの絵はオレが描いたイラストです。

――ということは、ひらめいた時のイラストって、もしかしてゾルゲール自身さんが…?

ゾル:あれもねぇ。「いかにもひらめきというイラスト描いて」って頼んだんだけど、「ひらめきのイラストってどんなイラストですか?」って言われて。結局、オレが描くことになったその時、はたと気づいたんだけど、そんな絵ってありえないのね。だから、しようがないから、アルキメデスが裸で走っているイラストにして…。でも、これは元ネタを知らなかったら、意味全然わからないよな(笑)。

――ホントにあそこの絵はおもしろいですよね。個人的には「バグ襲来」が一番爆笑しました(笑)。

ゾル:ありがとうございます。でも、あの絵なんか、ゲームの中のアイコンとしては、まったく用途を果たしてないよね。こういうゲームだからOKだけど、普通のゲームであんなイラストを描かれたら、「ふざけるな、描きなおせ」って、怒るでしょうね(笑)。

――でも、その一方で「ドットコム子ちゃん」みたいな萌えなキャラクターがいたりもして(笑)。

ゾル:あれいいでしょ! 今はもうかなりビッグになられましたが、ビッグになりかけのころに、片倉真ニ(※12)先生に蒲田でトンカツをおごって、食べ終わったところで話を切り出して…、トンカツ1枚で描いてもらったんです。ホント、みなさんの熱い友情に応援されましてね。スキヤキで描いてもらった人なんかもいますよ。
※12 片倉真ニ
 ゲ-ム雑誌の表紙や小説のカバーなどを手掛ける人気イラストレーター。

――トンカツをおごって、イラストを描いてもらったというのは笑えますが、すごい方が参加されてますね。あと、すごいと言えば、みんだなお(※13)さんとか、岡田斗司夫(※14)さんとか、豪華な面々がゲストとして出演されてますよね。

ゾル:岡田さんとか、最後までゲームに登場することを知らなかったと思いますよ「ファンです。写真撮らせてください」って言って、撮った写真を使って…。ほとぼりが冷めたころに、ゲームのサンプルを送る(笑)。どうしても「コミケ」というモノを入れたかったんですよ。ゲーム業界だけのパロディだったら省いちゃう要素かもしれないけれど、オタク的な要素も半分悪意を込めて入れたくて。「それならコミケだろ」ってことになって、そこで誰かに出演してもらおうと思ったんだけど、コミケの人気作家さんだと、どうせ手伝ってくれない…。それなら、コミケ→オタクの代表→オタキングということで、面識のあるみんだなおさんを通じて、岡田斗司夫さんにお願いしたんですよ。
※13 みんだなお(正式には眠田直)
 83年に漫画家デビューし、主にアニメのパロディ漫画家として活躍。その後、ゲームやアニメなどの製作などに参加、漫画以外にジャンルでも活動範囲を広げている。また、唐沢俊一氏(※)と 岡田斗司夫氏と"オタクアミーゴス"を結成しており、定期的にトークショーを開催している。
※唐沢俊一
 作家、評論家。趣味の古書蒐集で発掘したB級カルト本を、雑誌などで発表している。また、弟の唐沢なおき氏とは「唐沢商会」という名で、漫画も多数出している。
※14 岡田斗司夫
 映像/イベントプロデューサー。オタキングと呼ばれており、オタクの教祖的な存在。オタクに関しては、この人の右に出る人はいない。「オネアミスの翼」「ふしぎの海のナディア」といったアニメや『プリンセスメーカー』などのゲームを手掛けている。

●涙! こうしてムービーは作られた!

――オープニングはもちろん、研究室に入るシーンといった、ゲーム中の随所に挿入されるアニメーションって、見た目がにぎやかで、とっても気に入ってるんですけど、企画当初から入れる予定だったんですか?

ゾル:このゲームにアニメがなかったら、見た目が今よりショボくなったと思うんですよ。ゲームの魅力の1つになってくれれば、ということでアニメはがんばって入れました。アニメ製作は、数社にお話を持っていったんですけど、予算が予算だけに難航しまして。最終的には、『ドラゴンボールV.R.V.S』以来お付き合いが深い東映アニメーションさんにやっていただくことになり、いろいろお世話になりましたね。でも、アニメの予算は5分間分しかないのに、入れたいムービーは20分間ほどあったんですよ。で、どうしたかというと…濃縮還元卵スープみたいに…相当涙ぐましいことをやってなんとかしのぎました(笑)。

――実写のムービーも強烈ですよね。

ゾル:「モゲタンとおねえさん」ですか(笑)。

――そう、モゲタンとおねえさん(笑)。あれは各話の最後に総括として入ってますが、最初から各話の最後に入れていこうと?

ゾル:そうですけど、実はもっと入る予定だったんですよ。第2話で「セガはどうしてできたの?」っていうセガ創設についての話が出てくるけど、結論が出てこないでしょ。ホントはあったはずなんですよ。オレともう1人が、ツケ鼻して、まぶたに青い目を書いて、外国人のフリをして、「アイム デビット・ローゼン!」とか言って、「ここに会社作るね」とかやろうと思ったんだけど。肝心の相方がみつからなくて…ポシャりました(笑)。

――う~ん、それは残念…ちょっと見てみたかったです。でも、モゲタンを見られたからいいかな。モゲタンを最初に見た時の衝撃は、今思い出してもすごかったですね。「この生き物はなんなんだ~!?」って。相当インパクトありますから、彼の容姿は(笑)。

ゾル:最初はもっとかわいかったんだけど、作っているうちに、だんだん目が出てきちゃって。魔獣みたいになってきて(一同爆笑)。

――おねえさんはなぜか手がドリルだし。

ゾル:実はアフレコの時、まだぬいぐるみが完成していなくて。かわいいヌイグルミとしか声優さんに伝えてなくて、すごくほがらかな雰囲気で「おねえさん、おねえさん」って。まさか魔獣が出てくるとは、声優さんも思ってなかったでしょうね。

――笑ったのが、話が進むにつれて、後ろの窓ふきの人が、徐々に降りてきてて…。

ゾル:カメラを回してて、「あれ、降りてこないだろうな」って心配していたら、案の定だんだん降りてきちゃって(笑)。実はあのセガの看板の裏って、植え込みがあって人が入れるスペースがないんですよ。這いつくばっての撮影でした。しかも会社前の道にはトラックがバンバン通るんで、排気ガスがすごい。おまけに9月で残暑が厳しく、やってるうちにハイになってきて。正気の沙汰じゃなかったですね(笑)。あれでゲームが発売中止になってたら、ただの危ない人ですよ(笑)。

――コミケのシーンのムービーも笑いましたね。なんか同人誌を買うための戦士が集う戦場、修羅場みたいで…。

ゾル:あれは、まだゲームが企画書の段階の時に、ゲームにも登場しているディレクターの鈴木さん(ゲームでは鈴キ)といっしょに撮りにいったんです。鈴木さんは、全然オタクっけのない人。「スノボ行きたかったのに…」って言うのを無理に連れてきての撮影だったので、彼にとっては地獄のような風景だったと思いますよ。この時点でゲームが本当に完成するとは、彼は思ってなかったらしいですし…(笑)。

●涙! ゲーム中に流れる歌はこうして採用された!

――オープニングシーンで社是が出ますが、あれはセガの本物の社是ですよね。どうして入れたんです?

ゾル:あれは最初から絶対入れてやるつもりでいましたから。ゲームを作ろうとしてセガに入ってきて、「なんだ、この社是っていうのは、ムカツク!」ってずぅっと思っていて。だから、入れました(笑)。

――社是が入っているので、セガの社歌「若い力」が入ってるかと思ったんですけど…。

ゾル:「セガガガマーチ」っていうのを作ってもらったんですが、「若い力」よりもよっぽどよくできていて、これをさも社歌のように使ってしまおうと(笑)。だって、若い力は最後にしかセガって言わないじゃないですか。でも、セガガガマーチは、セガって言いまくりだから(笑)。とはいえ、「どうして『若い力』が入ってないの?」と言われることもよくあったので、入れてもよかったかもしれませんね。

――歌と言えば、秋葉原でバックにかかる「♪アキハバラ~、アキハバラ~♪」って、歌もグーですよね! テレビのボリュームを上げて、聴き入っちゃいましたよ(笑)。

ゾル:今回、音楽を担当された金子さんという方が、もともと歌謡曲の関係の人で、ゲーム音楽しか作れない人と違って、頼めばいろいろ作ってくれるんですよ。それで「アキバにテーマソング作ろうよ」って言って、シャレのつもりで詞を書いたら、本当に作ってくれて(笑)。しかも、勝手に2番も作ってくれて、聞いたこともない外国語でしゃべってるの(笑)。

――あの謎の言葉は何語なんです? 気になるんですけど…。

ゾル:金子さんが作ってくれた造語だと思います。あと、なにがスゴイって、普通ドリームキャストソフトは内蔵音源で鳴らしているんですけど、それだと金子さんが作ったこの曲が再生できないので、プログラムを作り替えたんです。この曲のためだけに。すごくいらんところに、手間がかかっているゲームなんですよ(笑)。それと、「ふたりのドリームキャスト」という曲とエンディングのテーマ。あれも金子さんが勝手に作ってきた曲なんですよ。こちらとしては、安いお金でお願いしているにも関わらず、率先してヴォーカルの方とかも連れてきてくれたりと、今でも頭が下がる思いですね。エンディングの曲なんか、本当だったら、別にお金をお支払いするべきなんですが、「このエンディングムービーにつながるんだったら、こういう曲じゃないとダメだ」と、金子さん自身がおっしゃって、収録までして頂き…。最初はエンディングの後に、「チャッチャラッチャチャ、セ~ガ~」とかにしてたんですけど、あの曲のおかげでゲームがギュッとしまり、本当に大助かりでしたね。あと、そう言えば、ソフトをCDとして再生したときの警告音も金子さんが勝手に作ったモノです。

●涙! 他にもイロイロな話を聞け!

――ストーリー面だと、やっぱりC研で語られる「萌え」の解釈、「小萌え」とか「大萌え」っていうのが、心に残ってますね。

ゾル:どうでした? 逆にオレが伺いたいんですけど…。

――「萌え」という言葉って、かなり抽象的でイメージとしてはなんとなくわかるんだけど、具体的な定義、説明って今までありませんでしたよね。ですから、なんだかノドにつかえていたモノがとれた、みたいな。

ゾル:よかったよかった。まあ、正直なお話をしますと、A研、B研とやってきて、ネタが尽きちゃったんですよ。またA研とそんなに変わらない話のダンジョンがもう1度あっても、誰もおもしろがって遊んでくれない。そこで「C研は萌えにしよう」って提案したら、すごく反対されたんですよ。「オレたちはそんな薄気味悪いモノを一生懸命やりたくない!」って。その嫌がり方が妙におもしろかったなぁ。実際、「オタクとか、なんかヤダよね~」って言うヤツが、ガンダムのマスターグレードを集めたりしてるんだよ。キミたち、もう少しその辺はしっかり見た方がいいだろってことで、採用しましたね。あとは、ゲームが取り上げられる時、あまりにもカッコ悪い部分をマスク(隠)してはないか。「そんなにカッコいいものじゃないんだよ。ゲーム業界は、実際はこういうモンなんだよ!」ってところを表現したかったんですよ。ちなみに、社長の声を担当された声優の岸野さんに、ついでに「萌え老」というキャラの声もお願いしたんですけど。「どんなキャラですか?」と聞かれたので、「100歳のオタクです」って答えたら、めちゃくちゃノってくれて、思わずセリフ増やしました(笑)。最高でしたね、あのアフレコは。最初はアニメがどうとか、オタクがどうとかいうセリフは嫌がられると思ってたんですが、嬉々としてやってくれましたよ。

――セリフの話になりましたが、戦闘中のセリフなどは、かなり鬼気迫るモノがあるんですけど、やはり開発の方全員で考えられたんですか?

ゾル:そうです。開発の人間で考えました。実は最初、あんなに入れる予定はなかったんです。従来のゲームだったら、ランダムで20種類も入っていれば十分だと思ってたんですよ。それで10種類ぐらい書いて、「あとテキトーにいくつか足しておいて」って頼んでおいたら、300種類ぐらい入ってるの(笑)。日頃「アイデアを出せ!」って言っても、2つか3つ出てくるのが関の山なのに、こんこんと湧き出てきて、しかもどれも痛い…。なんだかシャクだったので、さらにオレも追加したりして(笑)。

――ホント、痛いですよね。

ゾル:現実のことを言っているだけにね(笑)。

――ゲームでは開発中、デザイナーとかが途中でいなくなったりすることがありますよね。雑誌なんかでもライターが締め切り直前に原稿もあげずにいなくなるなんてことが実際にあるんですが、やっぱりあれは実体験をもとにしたイベントだったりしますか?

ゾル:オレはそういう経験ないんだけど、イベントを担当したプログラマーはあるらしくて。最初はいなくなるといっても、パッと消えるぐらいだったんだけど、彼の実体験をもとに「わぁ~」と駆け去る、という仕様になりました(笑)。あと、ゲーム中の開発室の独特のドンヨリとしたリアル感は、メインプログラマーの手によるものです。

――この前、ゲームメーカーの開発の方とお話した時に、「『セガガガ』は開発現場はリアルすぎて、プレイするのがつらい…」と、のけぞっておっしゃってましたよ。

ゾル:話が戻りますが、キャラクターといったって、1枚絵しかないじゃないですか。やることがないんですよ。だから、サボっている人は寝かそうとか、元気なキャラは回そうとか、むちゃくちゃになってきて。とても開発現場とは見えないんだけど、結果的にそれが妙にリアルな雰囲気を表現できて、よかったなぁと思っています。ちなみに話は全然変わりますが、プレイされてシェアは何%までいかれました?

――一応、100%取りました。あと真のエンディングも見てます。そう言えば、ちょっと攻略的なお話になってしまいますが、真エンディングの正確な条件というのは?

ゾル:ネットとかで大変盛り上がっているので、教えるのがもったいない気がしてならないんですが…。今のところは、がんばってくださいとしか言えないです。わりとこのゲーム、謎の部分、キーの部分を2つ、3つ明かしちゃうと、あとは「な~んだ」になっちゃうので。なけなしの謎ということで、秘密でお願いします。ただ、理不尽な条件ではないですし、追加プレイで資金が増えるなど、プレイはどんどん楽になりますので、3回もプレイすれば、真のエンディングは見られるようには作ってます。でも、この前、26回プレイしても見られないって人がいて。さすがにメールでちょっと教えてあげよっかなと思いましたね(笑)。

●涙! 『セガガガ』はセガマニアじゃなくとも楽しめる!

――プレイする前は、昔からのセガファンじゃないとわかりづらいゲームだと思ってたんですけど、トータルに見ると、ゲーム好きな人だったらひっかかる部分がたくさんあるように思いました。企画当初のターゲットはどのあたりと考えてましたか?

ゾル:セガマニアというよりはゲームマニアでしたね。やっぱりセガマニアにターゲットを絞ってしまうと、ネタがあんまりにも揃わないんですよ。あと開発側としては、『セガガガ』という名前はついてますが、セガという入口を通して、出口でゲームそのものがなんだったのかというところまで、持っていければいいなぁと…。

――『セガガガ』って、先程ゾルゲール哲さんがおっしゃられたように、かなりの変化球じゃないですか。そうなると、次はもっとすごい変化球のゲームを作ってほしいとユーザーは期待してしまうかもしれませんよね。そういった意味で、次の作品を作りづらいのではありませんか?

ゾル:ゲームっていうのは、小説とか映画とかマンガとかと同じで創作だから、創作すること自体は、いくらでも続けていけると思うんですよ。ですから、次が作りづらいとは思っていません。ただし、商業的な創作ということになると、儲けや人を動かすだけの内容がないと動けないわけですけど。お金があって、ゲームを作る環境が整うのであれば、いつでも「やってやるぜ!」という気持ちはありますね。

――安心しました! 次の作品もがんばってください! 最後になりますが、『セガガガ』をプレイした人、これからプレイしようと思っている人に、メッセージをお願いします。

ゾル:基本的にすごく変化球なソフトなので、手に取って頂いて、楽しんで頂ければ、それで満足という部分がまずあります。あとはこのゲームを遊んでみて、ゲームにも出演しているプログラマー岡の言う「ゲーム屋の心意気」というものを感じ取っていただけるとウレシイです。実際のプログラマー岡っていうのは、もっと無口で最後まで黙って一生懸命ゲームを作ってくれる人なんです。ゲームを支えているのは、基本的に、こういう語らないなりに「誇り」を持ってやっている人たちなんだ、というのを感じ取ってもらえれば…。今回は代表としてオレが話をさせて頂きましたが、プレイする時には、その後ろにいる金子さんとか、鈴木さんとか、岡橋くん(プログラマー岡)といった開発メンバーに思いを馳せて頂ければ、幸いです。
――わかりました。ゲーム屋の心意気、ですね。今日は貴重なお話をありがとうございました!



特別付録 初回限定版の話

(語り:広報企画室室長/笹原拓氏)
『セガガガ』は、セガマニアだけのゲームと見られがちだったので、特典はキャラ寄りにしたくなかったんですよ。それで、一般の人が冷静に見ても欲しがるような特典を考えてみました。製作に関しては業者さんが非常にがんばってくれまして、こちらのテキトーな注文にも、しっかりした物に仕上げてくれて…。特にピンバッチの木箱なんかは「宝石箱か、へその緒が入っているような箱」というアバウトな注文に対して、予算外で木の豪華な箱を作って頂き、しかもサービスで焼き印まで…! 本当に感謝しております。ちなみに最初、初回限定版は1,500セットしか作る予定はありませんでした。しかし、注文が殺到したため、できるだけ多くのユーザーに提供したいということで、急きょ生産ラインを増設。出荷本数を増やしましたが、初回限定版の特典の原価は3,500円なので、ほとんど儲けがありません(笑)。あと、メガドライブ仕様のビジュアルメモリですが、私も実物を見たことがないほどレアです。持っている人はぜひぜひ自慢してください



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年01月06日 20:33