第3章(1) 流行病の町、ベクセリア
エフィータ達が歩みを進めると、とある町に付いた
関所が開通されたというだけで、町の情報はほとんど聞いていない
橋にいる商人がすれ違いざまに「ベクセリア」というのをつぶやいていたから、多分町の名前はベクセリアだろう
しかし、町には活気はもうなく、悲しげな雰囲気が漂っていた
「ここ…って、ベクセリアだよね…?」
「町の活気って何もないよな、お通夜みたいな感じだしな」
「…?エフィータさん、あれ…」
アゲンが指差す先、そこにはたくさんの墓石が立てられていた
教会の前に建てられている墓石は、50…いや、もしかしたら100以上立てられてるかもしれない
教会の前には、それぞれの墓石に祈りをささげるシスターがいるが、そのシスターが妙に咳き込んでいる
シスターだけではない、町中で咳き込む声が聞こえる
「…エフィータ、これって…なーんかおかしくない?」
「うん…ちょっと怪しいよね、なんというかその…町中が病気にかかったって感じ?」
「とりあえず、町長さんの家に行きましょう、あの大きな家が多分町長さんの家だと思います」
ミリアが町長の家らしき家を指差す
エフィータ達は、この事の真相を聞くため、町長の家に歩みを進めた
町長の家に付き、村長の部屋を屋敷の住人に聞き、二階に上がった
廊下の突き当たりに、扉が無い部屋があった
その部屋の中に、町長らしき人物がいる、部屋は本棚だけでびっしりといった感じだ
「あの~…」
というと、町長さんは机をバンと叩き
「わかったぞ!!」
と大声で言った、すかさずヴェルンが
「え?!何がわかったんだ?」
と聞くと、町長さんがゆっくり座りながら
「…さっぱり読めん」
といった時、ヴェルンが思いっきりずっこけた
「…やはり、古文書の解読は、あいつに頼るしかないか…とにかく、これ以上被害が広がる前になんとかせねば…」
というと、いまさらエフィータ達に気付いた様子で
「…おや?客人でしたか、私はこのベクセリアの町長ですが、何かご用ですかな?」
「あの、この町で何が起こってるのかが知りたいのですが…」
「フムウ、この町で何が起こってるかですか…」
そういうと、町長さんは少し考えたような表情をして
「…わかりました、ではわかってる限りのことを、ご説明いたしましょう」
といい、重々しく話を進めた
「わがベクセリアに、はやり病が広がってることは、すでにご存じでしょうかな?」
「はい、この町すべてに病気が広がってるような感じですね…」
と、旅芸人エフィータの代わりに、僧侶ミリアが答えた、ミリアが言うとどこか納得できる
「実は、このはやり病は、100年ほど前にも、今と同じようにはやったものらしいのです」
「えええ?!100年もの前の病気が、なんでいまさら?!」
フィリムが興奮してるように言う
「まあ、落ち着いてください、そこで今、古い記録をあさって治療法を探しているのですが…何が何やらさっぱりでしてな、やむ追えず、学者のルーフィンにそれらしき古文書の解読を任せておるのです」
「ルーフィンっていうのは…?」
「うむう…こちらから説明するのも何ですし、こっちから少々用事もありましたし…しかし、そろそろ何かがわかってもよさそうなころだが」
町長さんが、最後の方に少し苛立ちを込め言う
「…そうだ!!お客人方、あなたがたもどうなってるか気になっておるのでしょう?」
「え?!ええ…まぁ…」
エフィータが若干引き気味に言う
「ならば、ルーフィンの所まで行って、様子を見てきてもらえますかな?あいつの家は、この屋敷の西にある一軒家ですから、申し訳ないがひとっ走り頼みますわい」
といい、半ば強制的に押し付けられてしまった
押しつけられたエフィータ達にとっては、なんとも腑に落ちない
しかし、この後しょうがないので、渋々町長の家の右隣の小さな瓦屋根の一軒家に行くことにした
最終更新:2010年03月08日 20:00