character episode(4) 子ども戦士アゲン
道をただただ歩いている
エフィータ達が歩いていると、後ろからの視線が気になり振り向いた
が、後ろには草むらや木ばかりで人の気配などしない
エフィータ達は首をかしげたが、何事もなかったようにまた歩き出した
その後ろには、木の陰に隠れていて、ほっとしている
小さな人影があった…
峠の道の途中まで来た時、やはり後ろの視線が妙に気になるフィリム
エフィータの肩をちょんちょんと叩き
「あのさ~、後ろからすっごいしせんを感じるの、見に行ってもいい?」
「う~ん…確かに誰か来てる感じはするけど…」
「よっしゃ!!じゃあ行ってきます~♪」
はいともいいえとも言っていないエフィータの返事を自分のいいように聞き、フィリムは走り出した
ヴェルンがついため息を漏らす
しかし、後ろに走って行ったフィリムがある岩の前で止まり
その岩の後ろに回り込んだかと思うと
「うわぁ!!」
という声とともに、小さな男の子が岩陰から出てきた
「…ふぅ…びっくりしたぁ~」
そう一息ついている男の子にエフィータがゆっくり近づき
「あの~…どうしたの?」
と聞くと
「うわぁ!!」
といい、また後ろに下がってしまった、よほど小心者なんだろう
「ったく…こそこそと付いてきて、どういうつもりだ?」
ヴェルンがきつい口調で問いかける
男の子はびくびくとしながら
「あの…皆さんと、いっしょに旅に行かせてもらいたいな~と…」
「はぁ?冗談じゃねぇ、誰がお前みたいな子どもと!!」
「何~?!じゃあアタシはどうなるのよ!!」
ヴェルンのちょっとした言葉から、フィリムとけんかになってしまった
その2人を仲裁に入るミリア、もはやこれは日常茶飯事といっても過言ではない
エフィータがその男の子の顔を見ながら
「どうして、僕たちと旅をしたいと思ったの?」
と聞いた、するとその男の子は
「僕…強くなりたいんです、周りから弱虫弱虫って、いじめられていたから…」
「…そっか」
エフィータは一息ついて
「じゃあ、一緒に来る?」
と、サラリと言った、その言葉に2人のけんかも止まる
「うぉおい、エフィータ?!お前…正気なのか?こんな子供」
「だーかーらー!!それは私にも当てはまるんだって!!」
また口げんかが始まりそうだったが、その間にエフィータが仲裁した
「まぁまぁ、確かに今は小さいけど…なんか…その…一緒にいたら、助かる気がして…」
と、なんだかいいことを言ってるのか駄目なのかよくわからないような回答を出した
しかし、ヴェルンも体力がほとんどなく、言い返せないようだ―ほとんどの原因はフィリムとのけんかにあると思うが―
「はぁ…まぁ、いいけどよ、足引っ張るんじゃねぇぞ」
と、そっけない返事で返した
「一緒にがんばろうね♪えーっと…」
「あ、僕、アゲンっていいます」
「アゲンだね!!子供だってできるところを見せつけようよ!!」
フィリムが振り回す形で、アゲンと握手をする、上下にぶんぶん振り回し、明らかにやりすぎというくらいだ
「よろしくお願いしますね、アゲンさん」
フィリムが勢いよく手を離した後、ミリアが話しかけた
「あ…よろしくおねがいします!!」
「よ~し、もうそろそろで天の箱舟だ!!急ごう!!」
3人の声が響くが、アゲンは天の箱舟を知らない
なので、道中アゲンに、天の箱舟についてエフィータ達―特にフィリム―は説明してあげた
「へぇ~、これが天の箱舟かぁ~」
「け…結構大きいね…」
フィリムが圧巻され、ヴェルンが眺めている
ミリアとアゲンは回り込んだり、触ってみたりとそれぞれ行動している
「う~ん…あんた達に見える理由が私には分んないんですケド」
妖精の姿になったサンディがぼやくように言う
「…ってあれ?あれあれあれ?」
サンディが天の箱舟を見ながら言う
「…なんで?天の箱舟ってば、なーんにも変わってないじゃん、神様がアタシらを見つけてくれたら、箱舟が光って動きだしそうなもんなのに…」
とつぶやくと、サンディは考えだし
「…ハッ!!も…もしかして、アタシの予想外れたッ?!」
「う~ん…かもね」
と、エフィータが苦笑いをしながら言う
その後、サンディがあわてたようにこちらに向き
「だ…大丈夫だよ、そんなわけない!!天の箱舟に乗ったら動き出すって!!さ、入ってみよ!!」
といい、エフィータの背中を押した
「わ…わかったって!!…んじゃあ、みんな、入るよ」
エフィータがそういうと、ばらばらに動いていた4人が集合し、箱舟の中に入った
先に入ったサンディが、周りを見渡しながら
「…ま…マジすか…中も何にも変わってない…アタシら、神様に見捨てられちゃった…?」
といった、少しさびしげな声と一緒に
「中…何も変わってない…」
と言いながら、エフィータが入ってくる
その後に、ぞろぞろと入ってる仲間たち
と、その時
天の箱舟がぐらぐらと揺れた
「わわわわ!!」
そうサンディが言うと、エフィータのところに急いでやってきて
「ちょっと、どゆ事?!今一瞬揺れたよね?あんた達が入った来た時…」
そういうと、サンディが気づいたように
「…あんた達が入ってきたとき、一瞬揺れた…?もしかして!!」
そういうと、エフィータにサンディが近付き
「そうか!!それヨ、エフィータ!!」
「え?!な…何が?」
エフィータが困惑したようなトーンで言う
「だーかーらー、黒騎士事件を解決した時に出た星のオーラの力で、あんたに天使の力が戻ったのよ!!」
「えぇ?!そ…そーかな…?」
エフィータがまた困惑したように言う、しかしそれを完全無視してサンディが一人で話を進める
「天使が乗れば箱舟が動くってアタシの最初の予想はやっぱ当たってたんですケド!!…だったら話は早くネ?エフィータがもっともーっと人助けをして、いっぱい天使の力を取り戻せば今度こそ箱舟は動いちゃうんですケド!!」
「えーっと…話が早すぎて何が何だか…」
エフィータが話の速さに圧倒されているのをよそに
「それじゃ、お城の東にある関所を越えて新しい町に行って見よーヨ!!誰か困ってるかもしんないしね!!よーし!!なんか希望が見えてきた!!人助けの旅にレッツゴー!!」
とサンディが言うと、エフィータを引っ張って行った
いきなりだったものだから、エフィータも対応できず、ずるずると引きずられていった
「…何なんですか?あれ…」
「あぁ、別にいつものことだから心配とかするな!!んじゃあ俺は行くから」
といい、ヴェルンは走り出した
「あ、待ってよー!!」
といい、フィリムが走る
その後にアゲンが走り、ミリアは微笑みながら歩いて行く
新しい仲間が増えたが、別にいつもとほとんど変りなく時は過ぎて行った
最終更新:2009年12月01日 20:35