第2章(9) 呪いと黒騎士と魔物(後編)
エフィータに向かってくるイシュダルと短剣
エフィータが目をつぶったとき、真正面で心地よい音で金属音が鳴った
エフィータが目を開けるとそこには、短剣に短剣で向かっているヴェルンがいた
ヴェルンはにっと笑うと、イシュダルの短剣を振り払い、逆に顔に一突きを入れようと、短剣を早いスピードで突く
イシュダルは、不意打ちだったが、かろうじてよけた、しかしうすい緑色をしたほほに、傷がついた
「クッ…」
イシュダルは頬に手を添える、血はまだ出てくる
「…フン、別に戦いとか好きじゃねーけど…人襲うんだったら、俺は容赦しねーぞ!!」
そう言い、またイシュダルのもとに駆け出す
「クッ…こざかしい奴めッ!!」
と、イシュダルが言い放ち、目から紅い光を撃つ
ヴェルンはそのままくらってしまい、地面を転がった
「だ…大丈夫ですか?」
ミリアが駆け寄り言う、ヴェルンは膝を押さえながら立ち上がり
「大丈夫だ…こんな傷、へでもねぇよ…」
そう言い、また駆け出した
そう言われたミリアは、槍の柄の底の方を地面に押し付け、目をつぶり呪文をブツブツとつぶやく
そして、呪文を言い終わった後、目をかっと見開き
「ホイミ!!」
と、叫んだ、すると槍の先から緑色の光が輝き、走ってるヴェルンを包み込む
その光は、ヴェルンを包むと同時に、傷をどんどん癒していき、光がはじけたかと思うとそこには、傷がほとんどが治っているヴェルンが走っていた
「フン!!そんなことをしても、無駄だァ!!」
イシュダルがそう叫ぶと、また眼から光線を撃った
が、さすがヴェルン、といったところだろうか、前回の反省を生かし、光をジャンプでよけた
持ち前の身軽さを生かし、光を飛び越え、その光は城の壁にぶち当たった
城の壁が崩れ、光が差し込む
「グッ…くそォ!!」
どうやら、イシュダルは光に弱いらしい、光を見ないように必死に目をそむけてる
それを狙い、フィリムが呪文をつぶやく
イシュダルにヒャドを当てようとしているのだろうか、ならおかしい部分がある
それは、イシュダルの前に大きな氷の塊を作っている
イシュダルはにやりと笑い
「フン…そんな攻撃、かすりもしないわ!!」
と、高らかに言った
しかし、そんな言葉もお構いなしにフィリムは読誦を続ける
そして、言い終わったときには、大きな氷の塊ができていた
「ヒャド!!」
そう叫ぶと、地面に氷を落下させる
氷の塊は、地面にぶつかり、弾ける
その塊は、粉々に砕け、光を乱反射させる、同時に白い煙ももくもく上がる
「グッ…眩しい…ッ!!」
イシュダルが目をそむける
が、それと同時に、白い煙の向こうから何かひも状のものが飛んできた
エフィータの鞭だ、茨でできた鞭がイシュダルの体を縛る
これで、イシュダルの攻撃手段はなくなったと言っていいだろう
何故なら、短剣を使おうにも、手が縛られてて動けない
光線を撃とうとすれば、光が差し込まない場所に動かなければならない、動いたら確実にヴェルンに攻撃されるだろう
「く…くそおおおおおおおお!!」
イシュダルの必死な叫びが、王の間に響く
そして、まだ残っていた白煙の中に、誰かが飛び込んできた
それは、ニヤッと笑っているヴェルンだ
そんな勝ち誇った笑みを浮かべるヴェルンが、恐怖に怯えている妖女、イシュダル、形勢逆転とも言えるだろう
目を見開いたイシュダルの胸に、ヴェルンは短剣をズブリと突き刺した
声にならない悲鳴を上げ、イシュダルは倒れた…
最終更新:2009年12月01日 20:31