第2章(4)

第2章(4) 湖での戦い


湖に風が吹く、湖面がゆらゆら揺れる

静寂が支配しているこの湖で、戦いが始まろうとしていた

黒い馬にまたがった黒い鎧を着た騎士を中心に、鎖帷子と鱗製の盾を持ったものが3人、皮のローブを身にまとい、これまた鱗の盾を持っている女が取り囲んでいた

明らかにこちらのほうが有利といえる状況、向こうに勝ち目はないと思った

そして…戦いは始まった

「うおおおおおおおおおお!!」

と、静寂を打ち破り的に突っ込むヴェルン

しかし、黒騎士はそれをひらりとかわす

勢いがつきすぎたのか、ブレーキが利かず、ヴェルンは思いっきりこけ、顔から地面に突っ込んだ

フィリムが呆れたような眼差しで見つめた後、杖を前のほうで掲げぶつぶつと呪文を唱えた

そして、最後に大きな声で

「ヒャド!!」

と叫ぶと、黒騎士の頭上に黒騎士の大きさほどの氷のつぶてができ、それが出来上がったと思うと、すぐに下のほうに落下していった

しかし、黒騎士はよけるそぶりを見せない、あれは間違いなく当たりに行ってる

すると、剣を上のほうに掲げ、氷のつぶてを突き刺した、そしてそのつぶてはばらばらに砕け、細かい粒が雪のように舞い、太陽の光を受けキラキラと輝いた

「…フン、これで終わりか?では次は我のほうから…!!」

そういうと、黒騎士は乗っていた馬を走らせ、ミリアのもとに走り、剣をついた

ミリアはすぐに気付き、盾を構え、攻撃を受け流す

しかし、受け流しきれなかったようで、ミリアが少し膝をついた

そのすきを突き、黒騎士がもう1度攻撃を仕掛けようとする

「やられる…」そう思ったのか、ミリアはあきらめたように目を閉じる

すると、耳元で「キイン…!!」と音が鳴る

ミリアが目を開けると、そこには

「ふんぎぎ…!!」

と、短剣で攻撃を防ぐヴェルンがいた

しかし、力で負けたようで、ヴェルンがまた飛ばされる、今度は地面を2,3回転がる

黒騎士の後ろから「メラ!!」という幼い声が聞こえる

黒騎士はとっさによけ、フィリムに剣を一突き

盾を用意しておかなければ、やられていただろう、なぜならミリアは幼く、力や防御力がないからだ

防御力がない分盾やローブで身を固めている…そういう状況だ

だから、すぐに後ろに転げまわってしまった

後ろを向いた黒騎士に、すぐそばでひるんでいたミリアが槍で一突き入れる

あまり効かなかった…だが、確実に一撃を与えた

仮面にひびが入り、割れた

「くっ…このぉぉぉぉ!!」

半分だけ見えた顔が死神のような顔つきの騎士がこちらに突進してくる

これを見て「避けろ」と言われたほうが無理というものだこれにはミリアも驚き、動けなくなってしまった

ミリアが反射的に目をつぶる…目を再びあけると、そこには

鎖帷子を身に包んだ旅芸人…エフィータが立っていた



「…おせぇよ、バカ」

そう涙目ながらも笑い、倒れながらヴェルンが言う

「ごめんごめん、でも、みんなの分もやってやるさ!!」

笑いながら、エフィータが言う、その顔は自信に満ちている

黒騎士はエフィータに一突きを入れる、エフィータは避け、鞭を振るう

その鞭が剣をとらえると、かけた仮面の下の顔に一発パンチを入れた

黒騎士はよろめき、緩んだ鞭を無理やり剣から離す

少しはっていた鞭をほどかれたせいか、エフィータはよろめき尻餅をついてしまった

そのすきを突き、黒騎士が剣を構え、エフィータに迫る

盾を構えたエフィータは、黒騎士の攻撃を防御する

剣と盾の鬩ぎ合い…それは、最初に合った時、火花が飛び散るくらいだ

「…教えてくれ…なぜ…なぜ姫を狙う…?」

そう苦しそうに、エフィータが利く

「フン…私は昔の約束を果たすため…ミリア姫との約束を果たすために…!!」

そう冷血そうに黒騎士が言うと、もう一度剣を勢いよくついた

エフィータは、また盾で防御する、火花がまた飛ぶ

「…ミリア姫…?あの城にいたのは、フィオーネ姫だ!!」

「…フィオーネ姫…?そんなはずはない!!私が知っている…あの姫は、ミリア姫…」

そういうと、黒騎士の頭に痛みが出る

黒騎士はよろめき、馬から落ちそうになる

そのすきを狙い、エフィータは鞭を振るった

黒騎士は馬から落ち、頭痛にもがいていた…

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最終更新:2009年12月01日 20:21
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