第2章(2)

第2章(2) 黒騎士


「黒騎士退治志願のものかね?」

「はい、黒騎士退治のために、王様に顔を合わせに来ました」

「…よろしい、では中に入りなさい」

そう言い、兵士に場内に通された

事は少し前にさかのぼる



「何だ…?これ」

僕が目の前にしていたもの、それは大きな看板だった

そこには、大きな文字でこう書かれている

「我が国に、黒い鎧を身に付けた正体不明の騎士現る

騎士を打たんとする勇敢な者、我が城に来たれ、素性は問わぬ

                           セントシュタイン国王」

と、書かれていた―実際、もっと多く書かれていたが、これくらいしか覚えていない―明らかに何か厄介事に巻き込まれそうな予感がする…

でも、ヴェルンの目がすごくキラキラしてる

「なぁ、受けてみようぜ!!もしかしたら、報酬が一杯もらえるかもしれねぇぞ…」

…まぁ、こんな事だろうと思った

フィリムも、わくわくしてる様子を見せる

「ねぇねぇ、これやってみようよ♪楽しそうだし!!」

これを楽天家というのか、幼稚というのかわからない

その時、ポンとミリアに肩をたたかれた

彼女の顔は「今は何を言っても無駄」といったような表情だった

自分はため息をついて

「しょうがない…じゃあ、話を聞くだけ聞いてみよう…」

とだけ言った、言っただけなのに、後ろから「パン」とハイタッチをする音が聞こえる

何か大事に巻き込まれなきゃいいんだけど…



セントシュタインの場内に入り、上に上がると、王様と娘さん―多分、この国のお姫様だと思う―が話していた

「フィオーネ、何度言えばわかる!あの者に会いに行こう等とこのわしが許せるわけなかろう!!」

「いいえ、お父様!!あの黒騎士の目的はこのフィオーネです!!私が赴けば、国のものはみな安心して暮らせることでしょう!!」

どうやら、黒騎士に狙われてるのは、フィオーネというお姫様らしい

「バカを申せ、自分の娘をあんな不気味な男に差し出す親がどこにいるのだ!」

「ですが…ッ!!」

その時、王様が僕を見つけた

ヴェルン達が背中をドンと押す、多分あの空気じゃ出ようにも出れないのだろう

僕は、あたふたしたが、すぐに耐性を立て直した

「…ウォッホン、客人か」

そういうと、王様も自分をいったん立て直して玉座に座った

「見苦しいところを見せてしまってすまなかったな、さあこちらに参られよ」

そう言われたので、僕はそそくさと王様の前に行き、跪いた

「あの…あなたがセントシュタインの王様…」

「いかにも、わしがこの城の主、セントシュタインの国王じゃが…お主、城下町にある立て札を見てこちらに参ったのかな?」

「はい、城下町の黒騎士討伐願いを見てこちらに参りました」

「ほう…では、お主、あの黒騎士を倒すために手を貸してくれるというのだな?」

「まぁ…そういうことになります」

「おお!!そうか、黒騎士退治を引き受けてくれるのか!!お主…名前は何と申す?!」

王様が少し興奮気味になっている…早目に用件を終わらせなければ、王様の寿命を縮まらせることになるだろう

「はい、私の名はエフィータと言います、しがない旅芸人です」

「そうか、エフィータと申すか…それではエフィータよ、わしの話をよく聞いてくれ」

そういうと、王様は一呼吸を置いて、淡々と話しだした

「行きずりの旅人であるお主に黒騎士退治を頼むのには、もちろんわけがある、実はな…黒騎士の奴はわしの娘、フィオーネを狙い、この城に狙ってきたのじゃよ」

フィオーネさんに目をやり、話した後、王様はまたこっちに顔を向けて

「奴は約束の時間までにフィオーネをシュタイン湖という場所に届けるよう言い残して去っていったのだ…しかし、わしはその言葉を黒騎士の罠だと思っている!!わしがシュタイン湖に兵を送り、城の守りがうすくなったところで、奴は城にやってくるに違いない!!」

そういう王様のてがプルプル震えている、早めに終わらせないと、大変なことになるかもしれない…

「…それゆえに、わしはお主のような自由に動ける人材がほしかったのじゃよ」

そういうと、フィオーネさんが口をはさんだ

「そんな…お父様!!見ず知らずの旅の肩を巻き込んではなりませぬ!!」

「お前は黙っていなさい、断じてあやつの好きなようにはさせん」

「あんまりですわ…私の気持ちを少しもお分かりになろうとしないで…」

そういうと、フィオーネさんは涙を流しながら、部屋から出て行ってしまった

「…コホン、すまんな旅人よ、フィオーネは正義感の強い娘…この件に責任を感じておるのだろう、それではエフィータよ、これからシュタイン湖に赴き、黒騎士の所在を確かめてきてくれ、もしシュタイン湖に奴がおったらお主の腕の見せどころじゃ!そのまま叩きのめしてまいれ!!これがうまくいったら褒美を取らせるからな!!しっかり頼んだぞ、エフィータよ!!」

一通り言うと、王様は執事らしき人が持ってきたコップを持ち、中に入っていた水を一気に飲み干した



外に出ると、サンディが妖精の姿になり、話しかけてきた

「ここのひとたち、みーんな黒騎士に困っていたっぽくネ?これは人助けのチャンスだって!!」

そういうと、僕のほうに向き

「これだけの人たちから感謝されて星のオーラが出れば神様もあたしたちを見つけてくれるハズ!!なんか希望が見えてきたんですケド!!それじゃさっそく黒騎士退治に行っちゃいますか!!」

そう言い、サンディはまた球体に戻った

「なぁ?やっぱり褒美くれるんだってさ!!それじゃあ、早く行こうぜー!!」

と、鼻歌交じりでヴェルンが言う、宝というと、一番眼が光っている

フィリムも同じように目が光っている…まぁ、フィリムは多分好奇心なんだろうと思う

ミリアはいつも通り、冷静を保っている、2人にも見習ってほしい部分だ…

まぁ、とにもかくにも、今目指すはシュタイン湖、そこに…黒騎士がいる…

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最終更新:2009年11月30日 21:21
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