character episode1 盗賊ヴェルン
晴れた昼下がり、城下町に出てみるが、なぜか気分は曇っている
「にしても…仲間ってどんな人がいいんだ…?」
「はぁ~…当てがないんだったら、ルイーダさんのところに戻れば?」
サンディが冷やかすように言う
「しょうがないよ、だって今は登録がないんだもん…」
そんな風に肩を落としてると、向こうから誰かが走ってくる音がする
「…いたどいたどいたぁ~~~!!」
そういうと、青い髪をした男の子が僕の目の前を走ってきた
通り過ぎたかと思うと、すぐに戻ってきて
「…ん~…?」と、僕のほうを見つめた
「えっと…な…何…?」
「…いや、なんでもねぇ、それより、ここで俺を見たことは内緒な!!じゃあな!!」
そういうと、また走って行った
「何…アイツ?」
サンディが、僕に言う
「わからないよ…でも、何かから追いかけられ…」
そう言ってる途中で、また走ってくる音が聞こえた
あれは…セントシュタインの兵士たちだ!!
「え…ええ~?!なんで兵士が来てるの?!」
「わ…わかんないよ、サンディ!!」
僕がそういうと、サンディはすぐに光の球になった
「…そこの少年!!」
「は…はいい?!」
兵士の一人が僕に何かを聞くらしいけど、ちょっと僕はいきなりだったからびっくりした
「この辺にヴェルンという少年が走ってこなかったか?」
ヴェルン…わからない
「ごめんなさい、そういう人は見ていません」
「そうか…わかった、すまなかった」
そういうと、兵士はまた走って行った
「…何なんだぁ…いったい…?」
夜、宿屋の部屋の中にいると、誰かがドアをノックする音が聞こえた
「は~い、どちらさま…」
ドアを開けると、そこには昼であった男の子がいた
「おっす!!」
「おっす、じゃないよ?!どうしてここがわかったの?」
「いやぁ~、ちょっとあれから気になってさ、そのー後を…」
「つけてきたの?!」
「まぁ、細かいことは気にすんなって!!」
そう言い、僕のベッドに腰掛けた
「も~、何なの…ってアイツ…」
「ん…?うぉあ!!な…何だお前のそばにいる奴!!」
「あぁ、サンディのこ…」
途中まで行ったが、疑問が浮かんだ
「…なんで君は…サンディが見えるの?!」
「あぁ、確かに、疑問なんですケド!!」
そう僕らが聞くと、男の子は
「え?!いや…普通になんかそばにいるなーなんて、あはは…」
何なんだ…この子は…
「…とにかく、名前は?」
「ああ、おれはヴェルンってんだ」
ヴェルン…どこかで聞いた名前だ、そう考えてると、すぐに答えがわかった
「…そういえば、君はなんで兵士たちに追われてたの?」
「ああ…あれはちょっと…食料調達で…」
「食料調達…ってまさか?!」
自分は、少し背筋がぞっとする
「いや~盗むんじゃなくって、ちょこっとおすそ分けっていうか…」
「どっちでも一緒でしょ!!」
なんだか、少し怖くなってくる、兵士がここに来たら…もうかくまいきれない!!
「…しょうがないだろ…おれだって、本当はこんなことしたくない、でもしなきゃ生きていけないんだ…」
「…生きて…いけない?」
「おれが小さい頃、父さんと母さんは病気で死んだ、上に3人の兄ちゃんがいたけど…間違った罪をかぶせられて、処刑された」
「…!!」
ビックリした、いきなりそんなことを言ってくるんだから
「間違った罪って…?」
「殺人だよ、王宮で王様とお妃さま、それに後継者の王子様が殺されたんだ、近くで俺の兄ちゃんを見たっていうだけで…」
なんということだ…こんな幼いのに、もう身寄りがいないなんて…
「だから…一人なんだ…」
「…そうなんだ…じゃあさ、僕と…一緒に来ない?」
「ちょ…ちょっとエフィータ?何言ってるの?この子は盗賊だよ?それを仲間にするなんて…あり得ないんですケド」
「そうだけどさ…ちょっと放っておけなくって」
「…ありがとう…でも、これ以上迷惑かけられねぇよ」
そういうと、ヴェルンは外に出て行った
「…ヴェルン…」
次の日、宿屋から出ると、そこにはヴェルンがいた
「ヴェルン!!どうしたんだ?」
「いやーなんかさ、昨日1晩考えたんだけどさ、やっぱ行くことにするわ!!俺もお前も、良いことがあるし」
「…なんかこいつ、調子いいんですケド」
「まあいいじゃん、よろしくね、ヴェルン」
「ああ、こちらこそ!!」
少しサンディはあきれた感じだったが、そんなのは気にしない
新しい仲間が増えたことに、僕は喜びを感じてる
さて、新しい旅が、もうそろそろ開かれる!!
最終更新:2009年11月30日 21:05