第51話

イザナグ絶速の男爵様が御心のままに戦士たちと夜を駆ける。
ピリオドとは一点であり、二手三手に別れた戦士たちが一点に集うのは必然と言えるかもしれない。だが、その必然に作為は一切ないと断言しよう。ただ彼らの信念とがむしゃらな奮闘が、この決着点をひとつの大きな点で飾ることに繋がったに過ぎないのだから。
だからこそあえて言葉にしようと思う。この物語がピリオドを迎えに行く物語である以上、全てが一点に集うこの閉幕(カーテンコール)が必然であったと言葉にしようと思う。
ここまでをもって希望に繋がる全ての手掛かりは語り終えた。
ならばここからはいざ参らんか結末の舞台へ、約束の場所へ。

男爵様に揺さぶられながら、津村斗貴子が語った決意があった。
戦士たちはたったひとつのピリオドに向かう為、ひとつの選択を迫られる。



第51話 錬金の戦士の選択



ヴィクトリアが託した全ての希望があり、希望こそが即ち将来に向けた展望となる。しかしながら、展望だけでは決意には届かない。だからこそ津村斗貴子の決意は信念による誓いを固めるためのものであった。
決意は誓いに似て、誓いは希望を形にすることで果たされる。
ヴィクトリアが託したムーンフェイスの倒し方は手取り足取り懇切丁寧なものではなく、むしろ一語一句のみにすら近い響きがあっただろう。だが、それはそれで十分だったからである。全てはその短い言葉で込められていたから。

ムーンフェイスは火渡が渾身による5100度の炎を二度浴びても未だ健在である。
火渡がムーンフェイスを爆破したといってもそれは、星規模で物事を考えればわかりやすいことだが、あくまで表層を焦がしたに過ぎない。
それでも破壊された自然環境が元の姿を取り戻すためには、人間単位ならばとてつもない時間を要することも現実であろう。だからこそ戦士たちの目的は、人間を軸とした時間
を稼ぐことであり、二度目の5100度に到達する火渡の炎の意図も単なる再殺ではなかった。
こうして時間は完全にして見事に稼がれた。ムーンフェイスが完全な真月の姿として自身を修復再生した時には、全ての戦士たちがバスターバロンに収容された後の祭りと至る。つまり、火渡の狙いは完全に果たされたといっていいだろう。
しかしムーンフェイスとて愚者ではない。
今やムーンフェイスは分裂の結果100を超えるその頭脳を駆使し、眼前にそびえ立つ男爵様という存在を観察し考察する。その存在の意味を、そしてその存在の特性を。
手がかりはたとえば月影に現れた男爵様が握っていた剣、病院で再殺部隊と戦ったときに見覚えがあるその形。忍者刀の武装錬金。
回答にいたるまでの道標は意外に多く、故にムーンフェイスが真実に辿り着くためにほとんど時間を要しなかったのも、ありえる話であっただろう。男爵様が続けざまの一手を放った時にはムーンフェイスも目の前に立つ男爵様の武装錬金、その本質を穿つ真実に辿り着いていた。


大戦士長の声がその第一声として決戦の法螺貝を果たす。
終幕の合図は激戦によって告げられる。男爵様単身が故の、全ての戦力を束ね挙げた圧倒的総攻撃がその終幕をあげた。
「仕掛けます!!」
左肩に収容された戦部がその腕に激戦を握る。同時に男爵様の左手から十文字槍が抜き出て生えた。たったそれだけが火渡の爆風により少なからず損傷を受けた男爵様の傷をみるみるうちに修復されていく。それは戦部の体を使いもはや幾度として繰り返された光景であろう。
激戦の特性を理解しているムーンフェイスが迷わず男爵様の腕から激戦をもぎ取ろうとした刹那である。瞬断、右掌から放たれた二匹の狂犬。軍用犬の武装錬金・キラーレイビーズ!サイズも巨大化したその狂犬の牙がムーンフェイスの肩に食らいつく。さらにキラーレイビーズを解除。狂犬が作り出した時間を無駄にすることなく、かざしたままの右腕から矢継ぎ早に風船爆弾が飛び出してくる。これぞバブルケイジ無差別散布!!
バブルケイジが男爵様を使用者と認識すると見越しての無差別散布。万一男爵様がバブルケイジの特性の直撃を浴びたとしても、男爵様の左腕に激戦がバブルケイジによる肉体の変化も損傷と認識し直ちに元の男爵様に戻る二段構えも完備!!さらには万が一損傷と認識しなかった場合、あえて自身を傷つけることで激戦に別箇損傷を認識させるという手もある。この完全バブルケイジ使用マニュアルが描いた三段構えは、はじめの一段目、つまりムーンフェイスのみの縮尺を狂わせるという結果を選んだ。
巨大化した真月は無数の風船爆弾を避ける術を持たず、バブルケイジによる縮小と自身の修復再生による拡大をぎこちなく同時進行で行う。ムーンフェイス“真月”は自身の間合いが乱されることを完全に逃れることはできず、その隙を突いて激戦がムーンフェイスを貫いた!即座、バブルケイジ武装解除!
ムーンフェイスが元の大きさを取り戻した結果、突き刺さったままの激戦が空けた穴もまた本来の姿に合わせて傷跡の大きさを戻していた。そうして拡がった傷が再生により戻る前に、増幅された武装錬金の射出孔とも言える男爵様の右掌で傷跡を押さえつける。そうやって戦輪の武装錬金を直接体内へ流し込めッ!!
無差別に飛び回るモーターギアがムーンフェイスの内部を自在に惨殺する外で、激戦を武装解除、開いた左掌でさらに傷跡を押さえ込んだ。まだ、終わらない!
「エンゼル御前、増幅(パワーアップ)状態でビンビンだゼーっ!」
弓矢の武装錬金・エンゼル御前の連続精密ゼロ距離射撃!!!男爵様の左肩内部では、満身創痍の桜花が秋水に支えられながら笑顔で武装を維持していた。つまり御前様の攻撃は一時(いっとき)では止まらない!ムーンフェイスが体内を痕跡で溢れさせズタズタに破壊されていく。
ここで、真月が空を見上げて吼えた!!まるで巨大なバケモノのように、確か月が風をざわめかせた。ムーンフェイスがサテライト30を宙空へ放り上げる!!
「…味わいたまえ、この堕ちる月光、その重みをっ!!」
りんごの摂理!空へ放り投げたサテライト30が巨大な球形を蠢き描き、男爵様の頭上に墜落する!これは天空の城が落下する衝撃の比ではない、まさに回避不可能のムーンフォール!!
それは肩や頭部に戦士が収容されたことを見抜いた上での的確な攻撃であった。だが!!
「ッさせねぇえっ!!」
剣持真希士咆哮!!瞬間、男爵様の背中から新たな腕が生える!西洋剣の武装錬金、ドミネント・マスターアーム!!三本腕が織り成すこの無敵結界とも言うべき間合いにもはや死角は存在しない!さらに構えて日本刀の武装錬金・ソードサムライX発動!!和洋折衷和魂洋才、ある意味でW武装錬金。三本腕二刀流による剣の結界。結果は語るまでもなく、月の衝撃すらもが霧の如く散らされる!!
あれほど苦戦し通しだったムーンフェイス“真月”が、みんなの力によって確実に追い詰められている光景。ここで手を止める愚者はここにはいない!武装を放り投げ丸腰となったムーンフェイス真月の丸腰を逃さずに、ガンザックオープン!!ナックルガードセット!!これぞまさに総攻撃か。祈れ。ああそうだ未来を願う行為こそが祈りなんだ!我々の未来へ、願ったその先へ!!灰燼と化せ、錬金の凶星よ!!!
「……っむン…ッ!」
だが衝突の刹那、崩れ落ちる月はその判断を誤らなかった。

手がかりは揃っていた。
病院の決戦において、再殺部隊の武装錬金のその特性、正に身を持って味わっていたことも大きかったのだろう。全ての武装錬金が、その威力をバロンの身の丈に合わせた上でムーンフェイスに向けて放たれている。つまりはこれがバスターバロンの特性。
ムーンフェイスは、彼が導き出した当然の推理が現実となっていることを味わっていた。故に彼はその推理の本質を確信地点へと移す。その推理の先で描いた彼の着目点へ、恐れ無き月が故に、冷たき本質点を今こそ侵犯しようか。
ムーンフェイスにとって測るべきは唯の一点であった。それは、相手がどれほど永遠に近い存在かということのみ!故に彼の推理の結論、目の前で力と存在を見せ付けるバスターバロンの特性が月やキャプテン・ブラボーの如き無限防御ではないということ。その曇りなきただの一点のみ!
目の前の男爵様を推し量る上でムーンフェイスが唯一に絞った着眼点はあくまで、生存能力であった。命なくても生きることができる存在か、否か。それが彼の存在を測る上での着眼点という名の直感の視野範囲。
故にムーンフェイスは確信を固める。あくまで月は自身に微笑むと!

ムーンフェイスの直感は正しいものであった。
バスターバロンは決して無敵の武装ではない。
男爵様の弱点は防御面にこそ存在していたのだ。確かに男爵様はあらゆる戦士の数だけ可能性を持つ存在の武装であり、錬金の名に相応しく全ての特性を最大限に錬りあげる兵器だろう。だが、海上、ヴィクターに敗北を喫したことが示すままに、決して無敵の征服者ではない。
最大の弱点はなんと言ってもバロン自身にあった。そう、バロン自身の特性は無敵装甲のような性質を持つものではないということがその答え。男爵様はあくまで形状が全身鎧(フルプレートアーマー)なだけである。それは破壊されにくい硬さこそ持つが、単体でシルバースキンのような絶対防御が可能な代物ではない。槍や刀が心のようにいざという時に容易く折れるが如く、あらゆる武装は切磋琢磨の果てに砕かれるのが必然。故にこそ男爵様は対ヴィクターの切り札としてシルバースキンを欲したのも頷ける事実、これぞ現実に追いついた必然か。
現状、既に対ヴィクターの切り札たるブラボーの参戦は完了済みであった。さらに絶対防御の重ね着は複数核鉄の同時平行錬金によって可能ではある。だが、この物語におけるムーンフェイスは既にシルバースキンの防壁を打破していることを忘れてはいけない。それはつまり、絶対防御が完全なる安全を保障するものではないということを示すに他ならないのだ。
だからこそムーンフェイスは迷うことをしなかった。

「なっ!!!」
戦士たちの何人かが、ムーンフェイスの暴挙に驚愕を覚えていた。
これぞまさに月下凶景。真月は文字通り全ての月の力を合わせ全身全霊の力を持って男爵様のチャージを止めていた。轟音が抉る音を響かせ続ける。男爵様が真っ向から月にぶつかり、貫くこと能(あた)わなかったが故の世界の静止が訪れていた。
月もその代償を存分に味わう。轟音が抉る音を響かせ続ける。だが不死の体がさらに崩れ堕ちる中も、ムーンフェイスはあくまで月の道をただひたすら真っ直ぐに突き進むことを止めなかった。いつの間にかその手に握られたサテライト30により形作られた無敵の矛。真月、闇の中で煌めく月刃が如き笑みを浮かべ、男爵様を突き飛ばす!!
乱戦場において、斬撃武装よりも突撃武装が主流であったことはよく聞く話であろう。思うにその最大の理由は、斬撃よりも突撃の方が、より相手装甲を破るに能うから。
故にムーンフェイスは貫きの一撃を男爵様に放った。構え、気合い、撃ち抜く!
男爵様の装甲に難があることを見越した上で、これは信念ひとつの真っ向勝負。貫けば月の勝利という一方的なルールか。錬金の戦士たちの武装錬金によるありとあらゆる責め苦すらもいつもの表情で笑い抜き、全身全霊を錬り上げた技でもって月の全質量を乗せた一撃が放たれる。そして放たれた月の特攻は空をも突き破り、男爵様の命に届く!!!
辛うじて男爵様は体をそらした。だがそれでも回避は叶わず、人間で言う心臓部位を無敵の月牙が貫く!人であれば確実に死んでいた一撃が完全なる死の角度で突き刺さっていた。
しかし、男爵様の動きに一切の淀みもまた現れない。総員退避の声も響くことはなかった。
「むぅんっ!?」
ムーンフェイスにも手ごたえは一切皆無であった。何が起きたか、ムーンフェイスが気がついたときにはすでに遅い。あの男の怒号が熱く響く!この男の参戦が持つ真の意味はここにあったのかもしれない。
「流石だ!殺ってくれるじゃねぇか!!!」
そうここでこそ、ブレイズ・オブ・グローリー!!!!あの雨の日、火渡が剛太に殺られたときのように、部分火炎同化。それはまさに不死に近い絶対防御!ッさらに!!!
「シルバースキン、“リバース”」
さよならを告げよう、別れを告げよう。男爵様の掲げた右腕にブラボーの動きが重なる。ブラボーの声が告げる総攻撃という重音楽章のクライマックス。それが男爵様の身の丈大のシルバースキンリバース。さらに武装解除した千歳の核鉄も借りて二重拘束!!
「捕らえたっ!!」
剛太や犬飼が同時に叫ぶ。あのムーンフェイスを捕らえたのである。
これこそまさに矛盾の攻守交代。最強の矛が護り、無敵の盾が相手を取り囲む。そしてこの瞬間を逃さず、正当矛盾関係に戻す再びの攻守交替。重ねて武装用途を本来の姿に戻す!
「喰らえ五千百度の炎!!ブレイズ・オブ・グローリイィ!!」
トドメの灼熱地獄はマグマ並みの濃度!!
「これは…、圧倒的だな…照星部隊」
シルバースキン内部に、灼熱の炎が文字通りに流し込まれた。根来が呟くに値する業火絢爛。だがそれでも灼熱下、それでもムーンフェイスは確信する。まだ月を宇宙という無の混沌に帰すには足りないことを確信する。塵芥があれば真月は生成可能である。ならば遥かな熱すらも月を鍛えあげるための叩き台に過ぎない。熱に燻る月など存在しないとでも驕るか、かつては人間だったバケモノ風情がッ!!それでも!五千百度の星なら存在する、だが!!五千百度で溶ける星など存在しない!!
「むぅううぅぅぅうううううんんんんっ!!」
シルバースキンに裂け目が走った。崩れ落ちる体躯、焼け焦げる表情、それでも月は沈まない烈火煉獄絶界と化したムーンフェイス真月がそれでも月たる我が道を突き進むため、二重拘束すらも破り棄てようと、力ずくで正に世界の割れ目境目から顔を出すッ。
「これで終わりかい、錬金の戦士!!この程度で月が沈むと本気で思っているなら本当にお笑いだよッ!!」
「いいえ、コレで終わりは確定です、ムーンフェイス」
それは、夜の冷徹さを含んだ声だった。
「―――武装解除」
ムーンフェイスの醜い顔に、夜明けの光が差した。眩しく、温かく、優しい光が。


感情を追い出したかのように、あくまで無機質に吐き出された言葉、それが夜明けが始まる合図となる。続いて発せられた坂口照星の一声が、宙に浮いて夜明けを告げた。月の高みから見るがいい、世界はこれほどに愛おしく美しいのだから。雲が晴れずとも朝がまた来る。それがこの戦況に打たれたひとつのピリオドであろう。
ムーンフェイス真月が再び世界に解き放たれる暴挙が突然と平然に行われた。男爵様の内部、ブラボーと火渡もまた武装解除を行う。
男爵様の姿が消え、戦士たちがばらばらと大地に降り立った。そして、皆が一様に焼け爛れた月の姿を見上げる。近づいてようやく輝きの月が命なき世界だと知るように。守るべき命はこの足が踏みしめる大地(惑星)の上にこそ存在しているのだから。
「戦士・津村。狙いやすいように削っておきました。あとは任せましたよ」
そうして坂口大戦士長の言葉が届く場所へ、津村斗貴子が静かにバロンから舞い降りた。ヴィクトリアの核鉄を借りた武装で大地に突き刺さり、落下の衝撃を優しく受け止める。


今宵、月が堕ちる。


振り替えれば仲間たち。
照星部隊の面々が勢ぞろいしている。
彼らこそは七年前、津村斗貴子の命を救ってくれた戦士たちだ。カズキにとってのエピソードゼロが津村斗貴子と仮面の男との遭遇であったように、津村斗貴子にとってのエピソードゼロは七年前の雨の日。そこから全ては始まった。
そして彼女は錬金の戦士を目指し、剛太と出会ったりしながら、戦士になった。
銀成市でカズキと出会いパピヨンと出会い、早坂の姉弟と出会った。
大浜や六升、岡倉と出会い、まひろちゃんやちーちん、さーちゃんと友達になった。
LXEとの戦い。皆を守るその戦いの果てにヴィクターを知り。
再殺部隊との死闘に次ぐ死闘。ニュートンアップ女学院。
私立銀成学園高校、その屋上での誓い。
そして物語は海上でひとつの終末(ファイナル)を描く。
その全ての出会いに今はただ感謝を。そして感謝を。

ここからの全てがこれまでと同様に暴挙であったとしても、だ。戦争が終わる為に欠かせない儀式があることを思い出してもらいたい。それは歴史を紐解いても共通の必然であり、戦争の終わりにはいつだって欠かせない儀式であり続けた行為。武装解除。今、全ての戦いに決着がつく朝へ。


願いよ、全ての理不尽な摂理を斬り裂く剣に形状を変えよ。
祈りよ、全ての理不尽な摂理を貫き通す槍に形状を変えよ。
想いよ、全ての理不尽な摂理を刈り殺る鎌に形状を変えよ。

全てを撃ち抜く弓でもいい、戦輪でも黒色火薬でも構わない。
大切なのは終わりが訪れてしまうその前に武装するということである。
黄金色に練り上げた武装があれば戦えるから、武装であるならなんだっていい。
願いはいつか祈りに変わり、いつしか唯の想いと化して朽ち果てる。
想いは祈りを越えて願いとなり未来を描く。

人は弱く、決意によって強くなる。
黄金は重く、そして柔らかく。
決して砕けない心のように人は金色に強く輝く。


ありがとう。こころから。

仲間たちに背を向けて、背中で語る感謝の辞。
「ありがとうございます。みんなのチカラ、私が借り受けた」
そして津村斗貴子は顔を上げて、叫ぶ!腹の底から渾身の想いをブチ撒けろッ!!
「ッ来い、ムーンフェイス!!決着を!!」
託された想いは今、形になる。
津村斗貴子の小さな体が胸に抱えているものがあった。それは、総攻撃の裏で根来が男爵様の内部で集めたみんなのチカラ、核鉄。根来は毒島の核鉄を頭部コクピットの津村斗貴子まで運び、次に犬飼。円山。剛太。桜花。秋水。真希士。そして照星、ブラボー、千歳、火渡。命を運べ、運命!!
全ての出会いに今は感謝を。次々と届けられた仲間たちの核鉄。核鉄。大切な仲間たちから預かった、それぞれの信念の武装。

錬金の戦士の選択、それは戦友を信じるということ。守りたいものがあるから少年は戦士になる。守りたい存在がいるから少女は戦士となる。守りたいものが同じなら、戦士たちは戦友となれる。殺すから戦士ではない。守るからこその戦士。
だが何かを守るということは時に、別の何かを見殺すということ。だからこそ戦士には戦友が、信じることが求められるのである。守れなかった何かを、守った何かを守り抜く仲間という存在を信じるということ。そうすれば戦士がバケモノに堕ちることは無い。
月に消えた彼は守りたかった世界が壊れてしまったからバケモノに身を堕とした。
生態としてエネルギードレインを止められない体では、家族を守れない、守れなかった。月に消えた彼は守りたかった世界が壊れてしまったからバケモノに身を堕としたのである。
しかし武藤カズキは堕ちなかった。信じて守って、信じて守った世界に背を向けた。
同じ境遇、同じ運命、大切な守りたい存在たち。希望とは信じること。絶望とは諦めること。それでも信じるか、それとも諦めるか。
いつだって戦士とは凛然とし、希望を諦めてはいけないのである。


この場にいる者いない者、その全てにも感謝の気持ちをこめて。
錬金の戦士が選んだ選択が、ピリオドという未来を描く。

武装錬金ビフォーピリオド。

全てが終わってしまってからでは遅すぎるからその前に。
心を掌握、心に決意、心で咆哮。あなたの心は戦いを望む、それが本能。
故にピリオドの前に叫べ。そうして心に誓え、誓いを固めろ、誓いで戦え。
心よ、未来へ武装せよ。
持つものが秘めたる戦いの力を形に変えた唯一無二の武装の創造。


この物語の名称―――、『武装錬金』!






伝えよう。この歌を。





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最終更新:2010年01月12日 21:21
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