スレで盛り上がってた四校合宿ネタなんで、キャプテンが泣く展開
部キャプ好きは見ないほうが吉

944 :部まこキャプ部屋[sage]:2009/07/22(水) 18:30:43 ID:W0kC/gHI
 部まこキャプ部屋


 四校合同合宿で海に来た清澄、龍門渕、風越、鶴賀。
 宿泊所の部屋割りは終わり、久は自分の荷物を運び込んだ。続いてまこもバッグを担いで部屋に入る。二人は同室だった。
「ふうっ――ようやく落ち着けるわね」
「じゃのう」
 まこは荷物を置いて、部屋を見渡す。和室で畳の匂いが疲れを癒してくれるようだった。
「でも、ええのぉ」
「何が?」
「旅行でもそうじゃが、寝泊りする場所に着いた時の独特の雰囲気って言うんじゃろうか」
「あー、分かる分かる。なんかワクワクするってゆーか」
「それじゃそれ。広い風呂に入って美味い飯が出て」
「それで夜はお楽しみってね」
「オヤジくさいのぉ」
「そこは乗ってくれないと。女子高生のお泊りにエロ話は付き物なのよ」
「いやいや、こん部屋は風越の部長も一緒やからの」
 噂をすれば影。風越のキャプテン福路美穂子がカバンを持って入ってきた。
「まあ、落ち着いたいい部屋ね」
「でしょー。自分ちだと思ってくつろいでよ」
「おまえはここの従業員かっ」
 久のボケにまこの手馴れたツッコミが入る。
 笑い合う二人を見て、美穂子は気づかれない程度に表情を曇らせた。そして、すぐに笑顔に戻る。
「あの、お風呂もう入れるそうですよ」
「よおし、まこ、一番風呂いただくわよ」
「へいへい。元気じゃのー」
 子供みたいにはしゃぐ久の一面を見て、まこは「やれやれ」と楽しそうに苦笑した。
「一番乗り――ッ!!」
 脱衣所でタオル一枚になってから風呂場に入っての久の第一声。自慢の大浴場は貸しきり状態だった。
 あまりのハイテンションっぷりにやや呆れ気味のまこ。
「そんな大声出さんでも」
「感動を体で表現する。これってけっこう大事なのよ」
 それっぽい説明をする久に、まこは「そうじゃの」と適当に相槌を打った。
 かけ湯をして大きな湯船に仲良く並んで浸かる二人。
 久の鼻歌が湯煙に溶け込む。久は上機嫌だった。
 そして、部長命令が下る。
「それじゃあ、まこ、背中を流してあげる」
「わりゃ部長じゃけ。普通は逆じゃろ」
「え? 流してくれるの? やった。うれしいなー」
「しょーないのぉ……」
 言ってしまった手前、やるしかなくなったまこは、ハメられたと諦めのため息をついた。
 湯船を出て久はまこに背中を向けて座る。まこは垢落としのスポンジに石鹸を馴染ませた。
「ほいじゃ、いくけぇ」
「ばっちこーい」
 まこはスポンジで肩口からこすり始めた。
「強さはどうじゃ」
「うん、気持ちいいけど、もうちょい強めでお願い」
「こうか?」
「あん、いい感じ。もっと下も」
「この辺か?」
「そうそうっ。よすぎて鳥肌立ってきた」
「大げさじゃのぅ」
「まこがうますぎるのよ。エッチな意味で」
「やめんかっ」
 夫婦漫才が繰り広げられる中、大浴場に恐る恐る入ってきたのは美穂子だった。
「あ、あの、お邪魔でしょうか……」
「あはは、聞いちゃった? まこがエッチすぎるから」
「わりゃに言われたかないわ! ――って誤解を深めてどうすんじゃっ」
「誤解だなんて……イケズ」
 この期に及んでカワイ子ぶる久。まこの額に青筋が浮かんだ。スポンジを握る腕にぐっと力を込める。そして、背中をひと掻き。
「あいたあああああ、ゴメンゴメン!」
「かゆい所はどこかいのぉ」
「痛い痛い痛い! 悪かったからっ」
 止まらないスポンジ攻撃に悲鳴を上げる久。でも、顔は笑っていた。
 それでも美穂子は痛がる久が心配だった。
「もうそれくらいで。竹井さんも謝ってますし」
「ほうじゃの」
「まこは激しすぎ」
「――ん?」
「いえいえ、なんでもないです」
 まこに睨まれ苦笑いする久。懲りている様子は全くなかった。

 宴会場での全員揃っての夕食とミーティングも終わり、合宿初日は終わろうとしていた。
 移動疲れもあり、ほとんどの参加者は早々に自室に戻った。
 久、まこ、美穂子も部屋に戻り、敷かれていた布団に寝転んだ。
「あー楽しい一日だった」
「いちおー部活の合宿なんじゃが」
「合宿でも楽しまないと損だと思わない? 私だって、やることはちゃんとやるつもりよ」
「すまん、言ぅてみただけじゃ」
「わかってるって」
 美穂子は布団で仰向けになり、二人の会話を聞いていた。間に入りたくても、壁があるように感じて入れなかった。

 消灯し、暗闇になっても美穂子の目は開いていた。まこと一緒にいる時の、久の生き生きとした顔が脳裏から離れない。
 まこの布団は少しも動かなくなった。もう眠っているのだろう。
 久の布団は、時折寝返りを打つ音が聞こえた。まだ起きているかもしれない。
 美穂子は声をかけようか迷っていた。でも、何を話したらいいのか分からなかった。
 そうこうしているうちに、久の布団が大きく動いた。
 もぞもぞと音がして、音はまこの布団と一つになった。
 美穂子は布団を頭までかぶって耳をふさいだ。


 終

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最終更新:2009年08月03日 17:55