915 スポーツランド龍門If [sage] 2009/09/09(水) 22:17:21 ID:nlz9a7ck Be:

「そういえば京ちゃんは?」
「京太郎ならタコス買いに行かせたじぇ」
「こんな時にまでちょっと可哀想じゃの~」

「宮永さんってお姉さまとどんな関係だったのですか?!」
「え?どんなって、普通の姉妹・・」
「おい透華と国広くんがいないぞ?」

そう言われてさっきまで二人がいた場所を見たら二人ともいなくなっていた
周りを見渡してもあの目立つアンテナは見つける事が出来なかった



「いつの間に」


=================================================


「とーかー、とーかってば、まってよとーか」
「・・・・」
(大分進みましたし流石に他の方ももういないでしょう・・・)
 私は歩みを止める

「ふう、急に倒れたかと思ったら急にいなくなっちゃうし、どうしたの?」
「どうしたも、こうしたもありませんわ!・・・はじめ、あなたこそどうして
そんなに落ち着いていますの?あんな大衆の前でいじくりまわされて・・・!」

「そんな、事故だったんだからしょうがないよ」
「なっ、事故?・・・そ、そうですわね!アレはただの事故であって
当然ノーカウント!私達は何もしていないですわね?!」

「うん。そうだよ」
「・・・!」

(・・・なんだか先ほどから私ばかり空回っていますわね・・・

正直、穴があったら今すぐにでも入ってしまいたいくらい恥ずかしいのに
はじめは恥ずかしくないのかしら?

「――――――」

それとも、私となんかどうとも思っていないという事ですの?




決勝の時も私が一人で慌てふためいていただけで
別にはじめはそういう意味で言ったわけではないのかも知れませんわね

「――・・・、―――、」

って、そういう意味?そういう意味ってどういう意味ですの??

          • うううう
あの時、話題を逸らさずにハッキリさせるべきだったかもしれませんわね・・・・

いえ・・・もし万が一そうだとしても、その時はどうすればいいんですの!?

「―――か、――か、・・・」

だいだい今回の件は私が泳がなくてもいいと言っていますのにはじめがっ)

「透華!!」
「はいッ!!」「・・・っな、はじめ?急になんですの?!」

「急にって・・・さっきからずっと呼んでるよ・・・?」
「えっ?あ、ごめんなさい。考え事をしていましたわ」

「あのねとーか」
「・・・ええ」






――――キスしよう――――







「え?」



「いや、だからさ、さっきのはだだの事故だけど
ならちゃんとやり直せばいいんじゃないかって」


「は、はぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?」


(い、今、はじめは何て?や、やり直す?!もう一回?!何を??!)
「何をッ???」

「何って・・・キスはキスだよ、魚のキスじゃないからね?」
「うぐっ・・・」
「ちょ、ちょっとまってくださいまし!どうしてそうなるんですの?!」

「どうしては・・・ボクがとーかとキスしたいからじゃ・・・ダメかな?」
「な」





「と、とーか?・・・大丈夫?」
「ハッ!・・・ええ、大丈夫ですわ、大丈夫の問題ナッシングですわ!」


(お、落ち着きなさい、龍門渕透華。そう、落ち着くのですわ
ここで逃げていたらいつまで経っても埒があきませんわ!

もう、誤魔化しても無意味ですわね・・・

そんな
ラ、ラ、ラブの意味で好きでもない人と真昼間にキキキスしたいなんて言い出す輩は居りませんわ?!

う・・・。
わ、私ははじめのことをどう思っているんですの?
もちろん、嫌いな筈はありませんわ!好きは好き、でもそういう意味での好きかは・・・

      • 正直よく分からないですわ、・・・はじめとはずっと一緒にいましたから
一緒にいるのが当たり前過ぎて
そういう目ではじめを見ることなんて・・・考えもしませんでしたわ

多分、それに関してはこれからも変わることは無いと思いますけど


      • でも


それは今の居心地が良すぎてそれが変わってしまうのを怖がっているから?


関係が動いてしまったら・・・もう傍にはいられないのではないかと
無意識にどこかで思っていたのかもしれませんわね


      • ここで逸らしたらまたはじめの気持ちを裏切ることになりますわ

そう、これは気持ちと気持ちのぶつかり合い
相手が真正面からぶつかって来るのなら、正々堂々と受け止めなくてどうしますの!?)



=================================================



(また、とーかが黙り込んでしまった・・・まいったな、やっぱり急ぎすぎたかな)

今ボク達がいる場所はさっきいたプール会場とはほぼ対称の位置にあたる
恐らくとーかにそんな意思はないだろうが、ここは人目につきにくい
少し入り組んだところにある。どこをどう曲がったのかボクもよくは覚えていない

ボクは透華付きのメイドだ、だからお屋敷ではいつも一緒にいるけど

その実、大抵は傍に衣がいたり、純がいたり、ともきーがいたり
二人っきりになったとしてもすぐ近くに他のメイドや萩原さんがいる

(何よりとーかのお父さんもいるしね・・・)

だから本当に二人っきりになれるのはわずかな間しかない

おまけに・・・そういうアピールするにも、回りくどく言うと本人は気付かないし
かといってストレートに言ったら、照れくさいんだろう、いつも話をそらされてしまう

ボクの契約は高校3年間衣と麻雀を打つことだ
メイドはあくまでついでで、とーかのことだからお金に困っている
ボク達親子を少しでも助けてあげようという事なんだろう

でもその期間は3年・・・今の時点で2年が経過してしまっている
あと1年・・・長いようで、あっという間に過ぎていく
ボクがとーかに気持ちを伝えられるタイムリミットは・・・

それからはボクがとーかと一緒にいられる理由はなくなってしまう
別々の道を歩き始めたら、もう会うこともないだろう

その前に、せめて気持ちだけでも・・・伝えたい

勿論・・・出来る事ならずっととーかと一緒にいたいよ


(でもさっきからとーかは押し黙ったままだし、もしここで変に思われたら
それこそ今すぐ終りになってしまうのかもしれない

やっぱり・・・さっきのは不味かったんだ・・・)


「ご、ごめんと、、、」

「ぇええい!この龍門渕透華!行かせていただきますわー!!!」

「ふぇ?」

ダン!

突然とーかが叫び出したかと思えば、ボクは押されて背中で壁に激突した
(受身の作法は萩原さんから教わっているから痛くはないけどね)

「ぐっ―――!と、とーか?」

見ると、とーかは両腕でボクを挟むかたちで壁に手をついていた


(こんな近くでとーかを見たのは初めてかもしれない・・・
あと、意識しないようにしていたけどボク達今水着なんだよね!

く、くっつき過ぎだよとーか、その、あたってる・・・
あ~けっこう気にしてるみたいだけどボクはとーかのおっぱいが一番理想的だと思うよ?うん

      • って

いったい何を考えているんだボクは?落ち着け深呼吸ー!ち、近すぎて出来ないよ!)

あ・・・
とーかの目・・・鋭い、まるで、燃え上がった時の冷たい―――そう、冷たい透華の目だ・・・!

その鋭い目を見てしまったボクは、それ以上考えることも、動くことも出来なかった・・・


  •  ・ ・


  •  ・ ・ ・


  •  ・ ・ ・ ;


「え~と、とーか?」


「・・・キスの仕方が分からないですわ」


(えぇぇぇぇぇえええ?!・・・そ、それで睨んでたんだ・・・)

「・・・クススとーからしいよ」
ボクがそう言うなり、とーかは地面にうずくまってしまった

「ううう、勢いよく意気込んではみたものの
やはり私に恋愛沙汰なんて一生無理なんですわ・・・
はじめの気持ちにも応えられない・・・ダメダメ主人ですわ
もういっその事・・・楽に殺してくださいまし・・・!」

(・・・とーかが鬱ぅ?!)

「な、何言っているんだよとーか!そんなに思い詰めるなんて、
ごめん、ボクそんなつもりで言ったんじゃないんだ」

「・・・いいえ、私はおっちょこちょいですし
目立ちたがりのくせに目立ちませんし、昨日の試合もしくりまくりで
はじめのバトンを上手く繋げられませんでしたし
      • おまけにキスすらろくに出来ない人間なんて・・・フフフフフ」

(う、うわぁぁ!目が、目が死んでる!!?
そ、それにアンテナが、“ な く な っ て い る ”?!!


あぁ・・・こんなとーかも可愛いなぁ


い、いやいやダメだよ!
いつもの明るいみんなのリーダー?なとーかじゃなきゃ!)


「そ、そんな!お、おっちょこちょいでも良いよ!その分ボクが落ち着いていれば良いじゃないか!
目立てないんならボクが目立たせてあげるし(ボクの傍にいたら自然と目立つと思うけれどね)
試合でへまやらかしたってそれを活かして次頑張ればいいんだよ!
だいだいボクはそんなおっちょこちょいで目立ちたがり屋でいい加減で!
だけど実は努力家でとっても優しい透華が大好きなんだよ!ぉお??――――――!!!」

      • ゼェ、ゼェ、

「は、はじめ・・・!」
とーかのアンテナがピンッと立った

(・・・よ、良かった)

「あ、ありがとうございますわ・・・でも本当に私でよろしいんですの?」


「むしろとーか以外いないよ!」

ゼーハゼーハ

「それに!とーかがキス出来なくたって問題ないじゃないか!」


「へ?」

おかしな事を言って、はじめは私の腰に左腕を伸ばしてきましたわ

(え?ちょ、な、なんですのこの腕は?はじめ?あと私の顎に何かついてますの?はじ、、、)


「ぅん!?ん・・・ン゛ン゛ン゛ン゛―――――――――――――?!!¿¡¡?!!」



その瞬間・・・私の心臓は爆発して跡形もなくなりましたわ



=================================================



「おーい、国広く~ん・・・いい加減離してやれよ・・・」

「!!純?!なんでここに?!」

「申し訳ありません一様、お二人を探している時に皆様につかまってしまって」

「萩原さん?!」
「それより下で目ぇ回してるお嬢様はいいのかよ」

「あ!と、とーか??!ど、どうしてこんなことに?」
「自分の胸に聞け」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ん~面白そうだと思って来てみたけど、なかなかやるわね~」
「ホンマあんたはこわいのぉ」

「濃厚なキスだったじぇ~」
「・・・羨ましいです」
(私も宮永さんと、キス・・・したいです・・・)

「?どうしたの原村さん?」
「い、いえ!何でもありません!」
(そんな、面と向かって言うなんて、ありえません!)





「とととーか?あぁボクは一体どうしたら良いんだ」
(誰かワックス!ワックス持ってきて!)







「ところで智紀ーちゃんと撮れたのか?」

「バッチリ」





FIN





-おまけー



「こ、ここさっきも通ったような・・・みなさんどこにいるんですか??
置いて行かないでくださいよぉとーかさまぁ~せんぱぁ~いううう・・・」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「おーいタコス買って来たぞ~!・・・あれ?みんなは?」

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最終更新:2009年09月15日 16:19