339 :名無しさん@秘密の花園:2009/07/29(水) 11:39:45 ID:KnryKmJ0
GJ…ともき人気高杉晋作
じゃ俺もSS透華
和咲雨宿り
「雨…止みませんね」
「うん」
帰宅途中、雨が降った。夕立だった。
傘はなかった。折り畳み式のもないから、雨に濡れないようにするには雨宿りが一番の良策だと思ったんだ。
帰宅途中にある公園には屋根付きのベンチがあって、そこにした。
原村さんと私、2人で座ると…少し、狭いくらい小さなベンチ。
「原村さんは雨、好き?」
梅雨があけて。だけど夏から秋は雨の季節。私は嫌いじゃないけれど、こうゆう夕立とか、突然の雨は好きにはなれなかった。
「そうですね…夕立の類はあまり好きではないですね」
…原村さんと同じ気持ち。嬉しいな。
「宮永さんは好きですか?雨」
「私もね、原村さんと一緒…夕立は嫌いなんだ」
一緒で嬉しいです、なんて言ってくれた。ありがとう。
私が原村さんと両想いになれてひと月くらいたった。
私は一目惚れだった。
原村さんも私を好きだって言ってくれたんだ。
私のこと、可愛いって…言ってくれた。凄く嬉しかった。
雨の中切り取られた私たちは、静かな雨音の中座っていた。
時が止まったかのような感覚。
来る途中、雨に濡れたからか、肩が震える。
「…寒いですか?」
「うん…肩、濡れちゃって…」
下着が透けちゃうくらい、肩は濡れた。
いくら夏で暑いからといって、冷えちゃうと…寒い。
すると。
「………」
原村さんは無言で、静かに、隣から…私の肩を抱いた。
「原村さん…」
言葉はなかったけどわかったよ。
…温めてくれるんだね。
「…ありがとう」
「いえ……風邪、ひかれたら困っちゃいます」
…そうだね。毎日学校、行きたい。行って、原村さんと過ごしたい。
「…あったかい」
「…温かいです」
暫くそうやっていた。
寒さなんて吹っ飛んじゃう、だって…ドキドキが止まらなかったから。
もう、うるさいくらいに暴れる私の心臓。原村さんの甘い匂いが、私の意識を激しく揺さぶる。…死んじゃいそうだよ。
「…雨、弱まりましたね」
あ……本当だ。原村さんと私の距離がゼロになった時から、雨の存在なんて忘れていた。
雨、止まなければいいと思った。さっきまで夕立なんて、好きでなかった。でも…今だけは、やまないで欲しかった。
だって、原村さんと一緒だから。
好きな人と、一緒に雨宿りしているんだもん。…これって我が儘かな。
私の我が儘に反して、雨はやんだ。
直ぐに雲は流れて、オレンジ色の空が顔を見せた。夕方だった。
「…帰ろっか」
「…そうですね」
原村さんも、名残惜しそうだった。
「あぁ、見て見て!あれ!」
「わぁ…綺麗…」
空を見て、またドキドキした。
そこには…虹がかかっていた。
「…いいもの見れました」
「そうだね…」
七色のそれは、雨上がりの空の恋人のようだった。
その下、私たちもまた、帰路についた。
最終更新:2009年08月03日 19:00