膵炎とは膵臓が炎症を起こした状態をいい、おおまかにわけて、急性膵炎と慢性膵炎に分かれる。

疾患概念

 1. 急性膵炎

  (1) 種々の原因で活性化された膵酵素による膵の自己消化.

  (2) 膵やそのほかの主要臓器に炎症と組織障害が引き起こされる.

  (3) 短期間で軽快する軽症から,多臓器不全で死に至る重症まで,さまざまな臨床像を呈する.

 2. 慢性膵炎

  (1) 膵の持続的な炎症により,多くは不可逆的に線維化と実質の脱落が生じる.

  (2) 進行すると膵外分泌機能不全による消化不良や内分泌機能不全による糖尿病をきたす.

膵炎の成因・病態

 1. 成因

  (1) 急性膵炎,慢性膵炎ともにアルコール性が最も多く,約半数.
             ついで原因不明の特発性が1/4~1/3,胆石性10~20%.

  (2) まれな成因として高脂血症,高カルシウム血症,薬剤性,外傷性,家族性,自己免疫性

 2. 病態

  (1) 胆汁の膵管への逆流や膵管内圧の上昇によりトリプシンが活性化され,
    それを引き金にほかの膵酵素やホスホリパーゼA2が活性化し,
             膵管や膵実質を傷害して膵炎が発症する.

  (2) 好中球の活性化やサイトカイン,膵微小循環障害なども膵炎の発症進展に関与している.

  (3) 慢性膵炎では継続的なアルコール多飲などにより膵液の粘性が増しタンパク栓が形成され,
   微小膵管の障害と閉塞により上流膵管内圧の上昇,上流域の膵線維化と実質破壊が引き起こされる.

 

最終更新:2008年03月21日 01:43