薔「あの扉の中、その先に水銀燈は居るはずです。」
マ「あそこに・・・。」
薔「では・・・力になれなくてすみませんが、私はここで失礼します。
部外者が立ち入るべき戦いではありませんし、出来ればもう戦場には居たくない。」
蒼「そうだね、これは僕らの問題だ。ここまではありがとう。」
薔「では・・・御武運を。」
指し示された扉を開け、その中に広がる世界を慎重に進む。
確かにそこに座り込んだ水銀燈の姿を見つけた。
銀「ふふっ・・・ようやくあんたを倒したってのにこのザマよ。
あんたの家来にやられちゃうなんて・・・思わなかったわ。」
水銀燈は物言わぬ人形となり安置された真紅に話しかけていた。
恐らくは此処こそが水銀燈が真紅を倒した場所なのだろう。
何ゆえに彼女はここをしばしの安息の場としたのだろうか。
その胸中は分からない。
銀「あらぁ・・・あなた達・・・こんな所まで何しに・・・来たのぉ?
・・・って、一つしか・・・ないわよねぇ。」
水銀燈が途切れがちに言葉を紡ぐ。
一目で弱っているのが分かる。
全身ボロボロで翼もへし折れ、かつての姿は見る影も無い。
どうやらまだかなりのダメージが残っているらしい。
蒼「君を倒しに来た。雛苺に勝って翠星石の仇を討つにはそれしかない。」
銀「ふん・・・笑っちゃうわねぇ。」
蒼「確かに卑怯かもね。でももう決めたんだ。」
銀「違うわよ・・・双子の姉の・・・仇討ち?
どうせ最後に残れば・・・自分が倒さなきゃいけない相手じゃない。
・・・・・・くだらなぁい。」
蒼「それは・・・。」
銀「要するに・・・覚悟が出来てないのよ、アリスになるための覚悟が・・・。」
蒼「・・・かもね。」
銀「まあいいわ、かかって来なさい。」
水銀燈がよろよろと立ち上がる。
おそらくはまだ飛ぶ事さえ出来ないのだろう。
今にも倒れそうな様子で剣を杖にして体を支えていた。
最終更新:2007年07月15日 20:24