ここはアレフガルド。
かつて大魔王を打ち滅ぼし、この地に平和をもたらしたという勇者、ロトの伝説が残る土地である。
勇者ロトの活躍により、永き平和の日々が人々に訪れた。しかし、今再びここアレフガルドの地は、
悪の化身竜王の手によって闇に陥ろうとしていたのだ!

~もしも蒼星石のマスターが竜王様だったら~

―竜王の居城―

竜「ふっふっふっ…時は来た。この世界は我らの物となるのだ!
この世に光りをもたらすという聖なる宝玉は我が手の内にあり…。
そして奴らの心の拠り所であるラダトームの王女、ローラ姫もすでに捕らわれの身よ!
ワハハハハハハハ!!」
竜王の笑い声が城内にこだまする。
どうやら最高に「ハイ!」になっているようだ。そんな竜王様だが、そこに蒼星石が質問を持ちかける。
蒼「どうしてマスターはそんなに世界を征服したがるんですか?」
竜「フフフ、知りたいか?蒼星石。それは……」
蒼「やっぱり世界を闇に陥れるため?」
蒼星石の表情が曇りだす。
竜「んっ?い…いや別にそんなことは…ないぞ?」
蒼「本当?でも……皆から光の玉を奪ったっていうことは、世界に光を与えないってことなんでしょ?」
竜「うっ……それはだな…ほら」
しかし彼女の表情はますます暗くなるばかりだ。
蒼「そうなったらすべての植物も生き物も苦しむし、僕ももう庭師として何もできなくなるし……」
竜「う……」
蒼「ッそんなの…そんなの嫌だっ!」
こらえきれずに蒼星石は叫んだ。その目には涙が浮かんでいる。
竜「ああああああっ!まっ待つのだ蒼星石!まっまさかワシがそんな闇に陥れるなどということなどっ!するわけないではないか!なっ!?」
今にも泣き崩れそうな蒼星石に対して、必死で弁解する竜王。
蒼「でもどの道、世界を征服するなら沢山の人が傷つくし……。それでも世界征服なんてするのッ!?」
竜「いやいや、それは……」
蒼「そんな…。そんな悪いことばっかり企むマスターなんて、マスターなんて大っ嫌いですっ!!!」  ダッ!!
思わず駆け出す蒼星石。
竜「どこへ行くのだ!?蒼星石っ!」
蒼「もうマスターなんて知らない!!」
泣きながら走り去っていく彼女。まずい、このままでは蒼星石が出て行ってしまう!待ってくれ!!

竜「わっ、わかった!ワシが悪かったーっ!もう世界征服なんて悪いこと考えないっ!いや!考えません!
光の玉も王女も解放するから!だから何処にも行くな!!」

蒼「本当?」ピタッ
それを聞いて蒼星石が振り向く。
竜「ううっ………ほ、本当…。」
蒼「今までのしたこと全部謝る?」
竜「…ハイ」
それを聞いた途端、蒼星石の表情に笑顔が戻った。
蒼「うれしいっ!マスターわかってくれたんだねっ!」
謀られたのでは?と思いつつも、一度言ってしまった手前取り消すわけにもいかない。
まあこれで取り消したら、今度こそ契約を解除して実家に帰られてしまうので死んでも言わないがな……
それに、これ以上笑顔を絶せたくはない。


竜「それで、どうしても直接返しに行かなければ駄目なのか?」
蒼「勿論じゃない、そおっと置いて帰るなんて真似するの?」
竜「いや部下に…「マ・ス・タ・ァ?」
竜「いえ、なんでもありません。」
すっかり彼女の言いなりだな、ワシは…。 だ が そ れ が い い 。
蒼「もうっ!仕方ないなあ!僕も一緒に行ってあげるから。」
竜「何と!い、いや流石にそこまで迷惑は掛けられん。」
蒼「もう十分迷惑をかけてるじゃないですか!」
竜「……スンマセン」


そういうわけでワシは今、光の玉を返しに自らラダトーム城に赴いているわけだが……。
王「おおりゅうおうよ!みずからあやまりにくるとはなにごとじゃ!」
正直周囲の視線が痛い。まあしかたあるまい。
竜「いや何と言うか。ついカッとなってやってしまった、今は反省しておる。」
我ながら謝る態度ではないな、と思う。
そうこうしているうちに蒼星石が現れた。
どうやら「Nのフィールド」を利用して姫を連れてきたらしい。
ローラ「父上、こう言っていることですし。ここはこの子とこの私に免じて……」
姫が言う「この子」とはもちろん蒼星石のことだ。どうやらここに来る途中に親睦を深めたらしい。
王「しかし、いくら我が愛する娘の頼みであるとはいえ……。」
ローラ「そんなひどい。この私達に免じて、許してあげて下さいますね?」
王「いやだから…「そんなひどい。この私達に免じて(ry」
王「あの…「そんなひど(ry」
王「ちょww「そんな(ry」

蒼星石の行動と姫の必殺技(無限ループ)のおかげでワシは無事危機を脱した。
まあ、今後世界の復興に全力で取り組むことを条件に釈放された訳だがな。


―再び竜王の居城―

竜「ふう………この時間で二百歳近く歳をとった気がする。」
玉座にゆったりと座りながら溜息をつく。
蒼「マスター大丈夫ですか?」
竜「ウム。それにしてもお前には本当に世話になったな…。
お前がああして姫を連れてきてくれなければ、今頃ワシはどうなっていたか分からん。ありがとう、そしてすまなかった」
蒼「そんな、僕は何もしてないよ。でも……よかった」
竜「蒼星石……」
しばしの間、見つめ合う二人。
蒼「あの、もう少し近くに行っても?」
竜「ああ」
そう言うとワシは、彼女を自らの膝の上に引き上げた。
蒼星石はゆっくりと身を預けてくる。フフフ、部下達には見せられん光景よな。

ワシは愛しい彼女をそっと腕で包み込むと、そのまま一緒に眠りに落ちた…。





                                                                                                fin





<おまけ>

竜「んん!?」
重い…、重すぎる。
ワシは玉座の間で蒼星石を膝の上に乗せ眠りについたはずなのに…。
このワシの膝の上に座っている男は何だ!!?
蒼星石はどこに行ったのだ?
竜「お、おい貴様!何をしている!」
男に言うと、そいつはゆっくり振り返った。
?「竜王、ようやく目覚めたか。先生うれしいぞぉ」
竜「お、お前は!!勇者ウメオカ!」
そう、この男こそあの伝説の勇者ロトの子孫である、勇者ウメオカだった。
竜「なぜおまえがここに!?いや!それよりも蒼星石はどこに!!?」
梅「竜王は忘れっぽい子だなぁ。さっき俺とお前の友情の証としてロトの剣を差し出したじゃあないか!」
竜「なにぃ!!?」
梅「だがあれだけじゃあ足りないよな竜王ぉ。この俺の自慢の剣も 刺 し 出 さ な き ゃ あ な ♪ 受け取ってくれるか?」
竜「だが断る!!やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」



アッ―――!!!



蒼「あーあ、マスターが大変なことに…。でも、世界征服なんて
悪いこと考えるマスターにはお仕置きが必要だよね♪マスター頑張って!!」



ハァッハァッ…!!ワ、ワシは何回掘られるんだ!!?次は一体いつ襲われるんだ!!!?

阿部「…やらないか?」


竜「ワシの傍に近寄るなぁーーーーーーーっ!!!!!!!」




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