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 マ「真紅、ジュン君と電話で話さない?」
 真「ジュンと?」
 マ「桜田さん宅と電話が繋がっておりまーす。」

  さっき電話したところジュン君の方はのりちゃんがなだめたらしい。
  とりあえず真紅から謝ればいくらか譲歩するかもしれないとの事。

 真「そう。じゃあ出てみるわ。」

  真紅に携帯電話を渡す。


 真「もしもし?」
 ジ『真紅か。お前もよそんちにまで迷惑を掛けるなよ。』
 真「あらあら、久し振りなのにいきなりご挨拶ね。」
 ジ『当たり前だろ。あんな勝手な事をして。』
 真「この間の続きをこうやってするつもり?」
 ジ『いや、取りあえず戻ってきて謝れば許してやってもいいぞ。』
 真「ふうん、寛大ね。それでDVDはどうなるの?」
 ジ『真紅の分と翠星石と雛苺で共用の分って事で2枚までは許してやるよ。』
 真「お話にならないわね。4枚じゃなきゃ嫌よ。」
 ジ『姉妹で公平にって事で各人1枚なら認めてもいいぞ。それが限度だな。』
 真「だったらあの子達にあげる分、もう2枚買えばいいわ。」
 ジ『お前なあ!人が下手に出れば調子に乗って・・・』
 真「あなたって本当に甲斐性無しの下僕ね、ジュン。」
 ジ『もういい!お前なんか知るか!お前の方から謝るまではもう顔も見たくない。じゃあな!!』


 真「・・・切れたわよ。」

  真紅が携帯電話を返してきた。

 マ「いや、他人事のように言ってるけど真紅のせいだから。」
 金「電話も相手も一気に切れたわね。・・・これなら座布団2枚くらいはいけるかしら!」
 銀「おだまり、黄色い服の。」
 蒼「何であんな事を言ったのさ。このままじゃ本当に・・・」
 マ「まさかずっと戻らないつもり?駄目だよ!そんなのは絶対に・・・」
 真「二人ともお黙りなさい!」

  真紅の髪が喉元に絡みつく。

    きゅっ

 マ「ぐえっ!!」

  真紅の頭の動きに合わせて首が絞まった。

 蒼「マ、マスター!!」
 銀「新技とはやるわね。」
 マ「げほっ、げほっ・・・危うく締め落とされるかと思った・・・」
 真「あなた達が心配する必要は無いわ。時が来れば戻るわ。」
 マ「時?」
 真「返品は届いてから七日以内。その間だけ逃げ切れば勝ちなのだわ。
   それを過ぎれば戻って謝っても返品は出来ない・・・。」
 マ「まさかそれであんな事を。」
 蒼「それにしたってわざわざ怒らせなくてもいいじゃないか。」
 真「ああ言っておけばジュンからここへ迎えに来られる心配も無いのだわ。
   ジュンもプライドだけは立派だからあんな台詞を吐いて自分から顔は出せないはずよ。」
 金「真紅もなかなかの策士ね!」
 銀「あんたその性格直した方がいいわよぉ。」
 マ「で、君は一週間も居座るつもりなのかな?」
 真「そうよ。」

  平然と答えやがった。

 マ「ほおぉ・・・。」
 真「まあいいでしょ?どうせ金糸雀を預かってるんだからいちゃいちゃ出来ないんだし。」
 マ「い、いちゃいちゃとか不純な理由ではなく・・・」
 蒼「そうだよ、別にそんな事は・・・」
 真「隠さなくてもいいのよ。ここに来た初日の事に気付いていないとでも思って?」
 マ「あ、あれは・・・。」
 銀「どうでもいいから夕飯にしましょう。」
 金「おなかペッコペコかしら。」
 マ「・・・はいよ。」
 銀「何よ、その気のない返事は。」
 金「みんなでスペシャルなディナーを用意してあげちゃったんだから!!」
 マ「え、みんなで!?」
 蒼「まあ・・・真紅はちょっとお休み気味だったかな。」
 銀「だから安心なさい。」
 金「今回は変なものは入ってないかしら。」
 真「悪かったわね!!」
 マ「みんなそれなりに自覚はあったんだね。」


 金「味はいかがだったかしら?」
 マ「まあ美味しかったよ。正直に言っちゃえば驚いた。」
 銀「舐められたものねえ。まあ真紅のおかげね。」
 真「・・・言ってくれるわね。」
 蒼「でも満足してもらえて良かったよ。」

  そんな風に和気藹々(?)と夕食後にみんなでくつろぐ。

 真「ちょっとこの紅茶の入れ方は何よ!」
 マ「不満があればおうちに帰って入れてもらったら?」

  ふふんと笑いながら言うと真紅は不満たらたらながらも紅茶を口にした。

 真「くっ・・・次は葉の開き具合に気をつけなさい、今回はこれで我慢してあげるから。」
 銀「ヤクルトおかわり。」
 マ「もう無いよ。」
 銀「冴えないわねえ。カルピスがあったわよね、それでいいわ。」
 マ「なぜしまっておいたものの存在を・・・。」

  もしやいろいろと漁られてるんだろうか。
  だとするとあーんな秘密のアイテムなんかも・・・。

 銀「お昼や夕飯はみんなで作ったからその時たまたま見つけただけよ。人聞きの悪い。」
 マ「あ、ごめんね。」
 銀「まあいいわ、お詫びって事で一発濃いめのを頂戴ね。」
 マ「はーい。蒼星石はお茶のおかわりは?」
 蒼「大丈夫だよ。マスターの方は?僕がついでおくよ。」
 マ「じゃあお願い。」
 金「カナも欲しいかしら!」

  多少こんな状況にも慣れたのか、みんなでまったりと過ごしていたら新たな来訪者があった。

 真「あら、まさかあなたがここに出向くなんてね。」
 蒼「翠星石!」
 マ「真紅を連れ戻しに来てくれたの!?」

  いつもはどちらかというとお邪魔む・・・いや、とにかく今日はありがたい。

 翠「違います。」

  期待を裏切る答えが返ってきた。

 金「じゃあ何しに来たの?」

  その質問の答えにまたまた予想を裏切られた。

 翠「家出です・・・しばらくジュンのとこには戻らねえですっ!」
 蒼「ええっ!?」
 マ「待てっ!!」
 真「あらあら、そんな事をして困った子ね。何があったの。」
 銀「本当にあなたって上から目線よね。」
 翠「チビ人間の奴、真紅とケンカした事で翠星石に八つ当たりしやがったです。
   翠星石達がそばに居てやるから寂しくないって言ってやったのに、『そういう問題じゃない』って・・・。」
 マ「別に翠星石に当たったんじゃなくってさ、真紅とは真紅とでいつまでもケンカしていたくないって事でしょ。」
 翠「それだけじゃありません!あいつ、真紅が飛び出したのも翠星石達がちゃんと引き止めなかったからだって・・・。
   要するに、あいつは依怙贔屓して真紅ばかりを優遇してるってことです。
   だからこの際、あいつに翠星石のありがたみをとことん分からせてやるんです!!」
 蒼「君も素直じゃないね。」
 翠「今頃あいつも、のりと二人ぼっちで寂しい思いをしてるはずです。ざまあ見やがれですぅ。」
 マ「二人?」
 銀「あんたのとこって確かもう一人居なかった?」

   ピンポーン

 蒼「誰か来たね。」
 マ「嫌な予感がする。」

  ドアについたレンズを覗き込む。

 マ「予感的中。」
 蒼「居留守使うの?静かにしてた方がいいのかな?」

  一緒に来てくれていた蒼星石がみんなの居る方に不安げな目を向ける。

 マ「いや、そういう訳にもいかないみたいだ。」

  ノブに手をかける。

 蒼「待って、隠れるから。」
 マ「それも大丈夫。」

  そう伝えてドアを開ける。

 マ「お待たせしました、何の御用かな?」

  わざとらしく笑顔を浮かべて、半ば答えの分かっている疑問を口にする。

 巴「あの、すみませんけどお願いがありまして。」
 マ「へえ、言ってみてよ。」
 巴「実は雛苺が急にうちに泊めて欲しいってやって来たんですけど、私は明日から部活の強化合宿で。」
 マ「君が抱っこしてる雛苺を預かればいい訳ですね?」
 巴「そうなんです。すみません・・・。」
 マ「いやもう構いませんよ。気にしないで下さいな。」
 雛「わーい、お邪魔するのー。」

  雛苺が腕の中に飛び込んできたのを受け止める。
  正直言ってもうどうでも良くなってきていた。

 マ「ところでさ、雛苺は何で家出したの?」
 雛「うゆ?翠星石がね、しばらくよそでお泊りしなさいって言ったの。
   だからトモエと一緒に過ごしたかったけど駄目だったの。」
 マ「ああ、そう。じゃあうちで我慢してね。」
 雛「ヒナここも大好きよ。二人とも優しいの。」
 マ「さいですか。そいつはありがとう。」

  無邪気な笑顔でなついてくる雛苺の頭を撫でる。

 雛「えへへ、そういう訳でしばらくよろしくなの。」
 マ「はーい。」
 蒼「・・・・・・。」
 巴「あの・・・ごめんなさいね。」
 マ「いやあ、もう雛苺一人なんて誤差ですともさ。」
 巴「あ、そうではなくって・・・すみませんでした。」

  なにやら恐縮して巴ちゃんは帰っていった。
  やっぱり翠星石は鬼門だ。
  改めてそう確信したのであった。