あっ!こりゃたまらん!(性的な意味で)ヨダレずびっ!!
「あなたの名前」の所は自分の名前に置き換えてください。

タイトル「二人の蒼星石in無意識の海」



夏真っ盛りの八月、何処に行く予定も無かった俺は家でテレビを見ていた。
冷蔵庫から取り出したアイスを食べながらソファに腰掛けて忙しなくチャンネルを回す。
どのチャンネルも夏の特集ばかりであまり面白くない。
しかしそんな中で一つだけ興味を引くチャンネルがあった。

「夏と言えば海、と言うわけで私は今とある海水浴場に来ています・・・」

テレビに多くの客で賑わう海の様子が写される。海辺で水を掛け合う子供や浜辺で寛ぐ男女。
遠くには沖まで泳ぎに行く人も見える。レポーターのインタビューに威勢よく答える若者もいる。
皆夫々の楽しみ方で海を楽しんでいるようだ。混んでいる場所は嫌いなのでプールなどは行かないが
テレビを見ているうちに無性に海に行きたくなった。テレビとは人の潜在意識を知らぬうちに
刺激する物だ。よし、友人を誘って海に行こう。

「あ、もしもし俺だけど」

携帯電話を取り出し友人に誘いの電話をする。が、帰ってきたのは殆ど「都合が合わない」
といったものだった。最終的に都合がいいのは男ばかりだった。
男だけで行く海ほど悲しいものも無い。都合のいい者達に取消しのメールを送ると携帯を投げ置いた。
海とは男女で行くからこそ楽しいものなのであって、男ばかりで行く海など華が無くつまらない。
ゴロリとソファに横になると蒸し暑い部屋で昼寝を始めた。暑さと蝉の喧しさでなかなか寝付けなかったが
暫くすると意識が下がり深い眠りに落ちていった。

「ここは・・・」

気付いたら広い砂浜に立っていた。照りつける太陽の日差しが眩しい。
ザザーン、と水のぶつかり合う音が聞こえてくる、どうやらここは海のようだ。
熱い砂の上を素足で歩いていき、青い海へと向かう。不思議な事に人一人見つからない。何故だろうか。
水辺に着くと、潮が満ちては引き、満ちては引き交互に足を濡らしては乾く。
少しおかしなところを見つけた。足元を歩いている蟹の形が少し奇妙だった。
ハサミが三本ある蟹など見たことが無い。これで理解した。ここは夢の中なのだ。
夢だとしたらここは何処の海なのだろうか。見たところ日本ではない。
透き通るような青色の海から察すると、ハワイあたりだろうか。
しかしそれも何処か違う。夢なので現実には存在しない場所なのかもしれない。

「あ、いたいた。探したよマスター」

不意に後ろから聞き慣れた声がした。振り向くとそこには見慣れた蒼星石がいた。
確認の為蒼星石に此処が何処なのか問いかけてみる。

「蒼星石、ここは俺の夢の中だよな」

「半分正解で半分間違いってところかな」

「何だそりゃ」

蒼星石はコホンと一つ咳払いをすると此処が何処なのか説明し始めた。

「ここは確かにマスターの夢の中。それでここは「無意識の海」と言って・・・」

更に蒼星石は説明を続けるが、複雑で今一理解できなかった。

「分かってくれたかな」

「あんまり」

「分かりやすく説明したつもりなんだけどな。まあいいや。そろそろ皆も来る頃だし」

「皆?」

「皆が来たらまた説明するよ」

暫く蒼星石とその場で皆を待った。ヒトデが波に流されてきてはまた波に飲まれていった。
そんな情景を二人で見つめていた。誰も居ない海で二人。潮風が蒼星石の髪を揺らす度に蒼星石の香りが鼻腔をくすぐる。
チラと蒼星石の横顔を見ると笑っていた。ヒトデが足元まで流されてきた時に見せたビクっとした仕草といい今の笑顔といい
素直に可愛いと思う。もし蒼星石が人間だったならば、迷わず告白しているだろう。最も、自分には振り向いてくれないだろうが。
近くに居た三本ハサミの蟹が小さく見えるようになった頃、遠くから賑やかな声が聞こえてきた。
段々と近づいてくるにつれ姿が見えてきた。水銀燈、金糸雀、翠星石、真紅、雛苺、なんと薔薇水晶と雪華綺晶までいるではないか。
その後ろの大きな影はどうやら桜田君のようだ。目の錯覚だろうか。桜田君の横にもう一人誰かいるようだが。
あちらも俺の存在に気付いたのか雛苺が手を振ってきた。俺は皆の方へ駆け寄った。


「やっと見つけたです。この迷子人間。探すのに苦労したです」

大分歩いたらしく、翠星石は多少怒った様子で言った。

「蒼星石が貴方が無意識の海の夢を見ているというのでお邪魔しにきたのだわ」

「やあ、マスター。迷惑だったかな。でもどうしても皆に教えてあげたくて」

「それは構わないが、お前何時の間に桜田君の横に移動したんだ?」

「嫌だなぁ、僕はさっきから此処にいたじゃない」

「だってさっきまで俺と一緒に海を見てたじゃないか・・・」

そう言うと俺の後ろから蒼星石がピョンと飛び出してきた。突然の事で頭が上手く回らなかった。
蒼星石が目の前に二人いるのだ。桜田君の横の蒼星石は驚いている。俺の横の蒼星石はニコニコと笑っている。
どういう事だ。状況を上手く把握できずに戸惑っていると桜田君の横の蒼星石が庭師の鋏を取り出した。

「マスター!!騙されちゃダメだよ!そいつは偽者だよ!!」

「嫌だな、いきなり何を言うんだ。君こそ偽者じゃないのかい?」

「ふざけるな。お前は誰なんだ」

「僕はローゼンメイデン第四ドール蒼星石だ。君こそ誰だ」

俺の横の蒼星石は涼しげな表情でニヤリと笑って反論する。今にも飛び掛りそうな蒼星石を翠星石が必死に抑える。
俺の横の蒼星石が俺の後ろに隠れ怯えている。

「怖いよマスター・・・あんな野蛮な事をするなんて、やっぱり偽者だよあいつ!」

「え、ああ。そうだな・・・」

「酷いやマスター!!僕よりもそいつの言う事を信用するの!?」

「え、いやそういう訳では・・・」

何がどうなっているのか分からない。一体どっちが本物なのか。二人の姿を見比べても全く同じで
外見だけではよく分からない。やはりここは・・・中身で確かめるしかないか。
しかしどうやってそこまで事を運ぼうか。悩むところだ。

「ねぇ、マスター。あんな偽者放っておいてさ、僕にサンオイル塗ってよ。お願い・・・」

そう言うと何処からか取り出したサンオイルを俺に手渡すとリボンを解き服を脱ぎだした。
待てよ、サンオイル・・・そうだ。偽者を見破る方法を思いついた。名づけて「サンオイル作戦。」
姉に止められ鋏を仕舞った蒼星石がもう一人の自分が服を脱いでいく様を黙って見つめていた。
サンオイル作戦は二人共にサンオイルを塗らなければ実行できない。

「よし、君にも塗ってあげよう。早く服を脱いで」

「え、ぼ、僕も脱ぐの?マスター?」

「このまま偽者扱いのままでいいのか?」

「うう・・・分かりました・・・」

そう言うと桜田君の横の蒼星石は渋々服を脱ぎ始めた。なんとか上手く口車に乗せられた。
二人とも堂々と俺の前で着替えるので目のやり場に困り、俺は太陽の光を手で遮り上空を見上げていた。
暫くすると「おお」という歓声が聞こえてきたので終わったのだろうと二人の方を見た。俺も「おお」と声を上げた。

「み、水着まで同じとは・・・いやまいったなこりゃ」

まさか水着まで同じとは考えもしなかった。全く同じ顔が二つ並んでいる違和感を改めて感じた。
二人の水着は白のビキニ上下に腰には青いパレオを巻いているというモデルの様な姿だった。
照りつける太陽の下で二人の白い肌がより映えて見える。増してや露出の多いビキニならば尚更だ。
その様子は中学生の桜田君や小さな雛苺にはなかなかシゲキテキらしく、桜田君は視線を逸らして時々チラチラと見ていた。
雛苺は蒼星石を見つめて「うゆー」と感嘆の声を漏らしていた。

「やっぱり恥ずかしいな・・・」

「蒼星石すっごく綺麗なのー!!セクシーなのー」

「セセセセクシーだなんて!!僕はそんなんじゃないよ・・・ははは・・・」

薔「蒼星石・・・侮れない・・・」

雪「・・・美味しそう・・・」

J「勃起した」

「そういえば「マスター喜んでくれるかな」とか言ってたかしら」

「わーっ!!わーっ!!」

突然蒼星石が大声を出した為金糸雀のセリフがよく聞こえなかったが、何か嬉しい事を言われたような気がする。
次はサンオイルだが、よくよく考えるとドールは日焼けしないのに塗るというのはどうなのだろうか。
しかしこれでどちらが偽者かハッきりする。二人をうつ伏せに寝るように促す。
球体関節があるのを確認して、改めて人形だと認識する。

「お願いします、マスター」

「マスター、早く早く」

「マスターは僕のマスターだよ。気安く呼ばないで欲しいな」

左の蒼星石が鬱陶しそうな目で見ながら言い放つ。

「君こそ気安く呼ばないで、「貴方の名前」さんと呼んでもらいたいね・・・」

冷ややかな目で右の蒼星石が言い放つ。その様子に左の蒼星石はかなりイラついているようだった。

「ほらほら、喧嘩しないで。じゃあ塗るぞ」

サンオイルを適量手に取り伸ばす。そして右の蒼星石から塗ろうとすると、左の蒼星石から文句を言われた。

「ちょっとマスター!!なんでそいつからなのさ!?僕が先でしょ!?」

「偽者のいう事なんか気にしないで早く塗ってよ、マスター。ね?」

「じゃあここはジャンケンで決めてくれないか・・・」

二人の蒼星石の言い合いを聞いていたがまるで子供の喧嘩のような稚拙な言い合いだったが。しかしどこか可愛く思えた。
どちらかは本物の蒼星石だが、蒼星石がここまで負けず嫌いだったとは。辺りに同じ声の「じゃんけんぽん」が響き渡る。
他の姉妹達はいつの間にか今まで無かったビーチパラソルの下で寛いでいた。薔薇水晶と雪華綺晶は水着になり海辺で水を掛け合っていた。
あいこが20回続いた後、ようやく決着がついたようだった。どうやら右の蒼星石が勝ったらしい。
夢の中とはいえ太陽の暑さが妙にリアルだ。いつの間にかかいた汗が首筋を伝う。

「じゃあマスター、僕からだよ。」

「分かった。」

「痛くしないでね・・・優しく、ね?」

「オイル塗るだけだろ。そんな嫌らしい表現はやめなさい」

「えへへ、分かりました」

ペロリと舌を出して謝る蒼星石をうつ伏せに寝かすと背中にオイルを塗り始めた。
隅々まで満遍なくオイルが渡るように蒼星石の背中で手を動かす。
横から左の蒼星石の突き刺さるような嫉みの視線を感じながらもオイルを塗り続ける。
時々気持ちよさそうな声が出るたびに不覚にもどこか心の奥底で何かを期待してしまっていた。

「ん・・・気持ちいよマスター・・・」

「だから変な反応するなって・・・よし、終わり!」

「ありがとうマスター。ふふ、マスターの(塗ってくれたサンオイルで)でヌルヌルになっちゃった・・・」

何と言うか、右の蒼星石は蒼星石にしては少し明るすぎるような気がする。決して蒼星石が暗いという訳ではないが。
次は左の蒼星石の番だ。恥ずかしいのか少しもじもじしている。うつ伏せに寝かせると手にオイルを取った。
よし、サンオイル作戦の開始だ。

「あの、マスター。紐邪魔だったら解こうか?」

「え、別に平気だ・・・が」

言い終える前に背中に手を回して自らビキニの紐を解くと少し恥ずかしそうな声で「いいよ」と呟いた。
何だか自分が蒼星石を試しているのではなくて自分が蒼星石たちに試されているような気がしてきた。
右の蒼星石がその手があったかというような顔をしていた。再びオイルを手に取り蒼星石の背中に伸ばしていく。
蒼星石は撫でられて気持ちよさそうにしている猫のように手が背中を滑る度に気持ち良さそうな顔をした。
よし、そろそろだ。手は動かし続けながら蒼星石に問いかける。

「なあ、蒼星石」

「ん、何?マスター」

「オイル塗ってて気付いたんだけどさ、お前達って背中に番号が刻まれてるのな」

「え!?」

ビーチパラソルの下で寛いでいた他の姉妹達も俺の質問に思わず声を上げた。
自分の背中は自分では見れないので他人に見てもらうしか無い。だが他の姉妹の背中など見る機会も滅多にないだろう。
だが右の蒼星石は少しも驚いた様子無く答えた。

「やだなあマスター。今頃気付いたの?失礼しちゃうなあ。僕の事でまだ知らない事があるだなんて」

右の蒼星石がおどけたように笑って見せた。本人はまだ気付いていないようだがこれではっきりした。偽者は右の蒼星石だ。

「嘘でしょ?マスター」

「ああ、嘘だぜ・・・だがマヌケは見つかったようだな・・・」

「あっ!!」

皆揃って右の蒼星石の方を見る。「あっ」と叫んだときにはとき既に遅し。右の蒼星石が偽者である事が証明された。


「あ、さっきのは間違い、やっぱり番号なんか無いよね・・・あは、あははは」

「見苦しいぞ!!偽者!僕に化けて何をするつもりだったんだ。答えろ!」

蒼星石が庭師の鋏を取り出し構える。偽蒼星石の周りの空気が重くなる。
それはアリスゲームの時の水銀燈が持っている空気と同じものだった。
俺はその重い空気に気圧されそうになるがなんとか耐えて二人のやり取りを見ていた。

「ふふ・・・ばれちゃしょうがないね。本物さん」

「一体何を企んでいたのかな・・・?偽者さん。正体を現せ!!」

「正体?正体は無いんだ。名前ならあるけどね」

「なら名前を言ってもらおうかな」

蒼星石の表情が険しくなる。ふざけた真似をしたら今にも斬りかかりそうだ。
蒼星石と偽蒼星石の険悪なムードに他の姉妹も気付いたらしくビーチパラソルからこちらを見ていた。

「僕は・・・蒼像界王乙レデス!!」

「蒼像界王・・・?」

J「ポロリまだー?」

蒼像界王乙レデスと名乗った偽蒼星石は話を続けた。蒼像界王など聞いたことが無い。
名前からして漫画やアニメのキャラクターみたいだ。

「僕は人の夢と夢を行き来して生きる夢の住人。僕の仕事は人に夢を見せる事。」

「夢を見せる・・・?」

「そう。楽しい夢も怖い夢も僕の思いのまま。悪夢ってあるでしょ?あれは僕の機嫌が悪いときに当たっちゃった人が見るんだ」

「それで、どうして俺の夢に出てきたんだ。」

「それは貴方を好きになったから。本当はこのまま貴方をこのまま夢の世界の住人に引き込もうと思っていたんだよ。でもまた失敗しちゃった。」

そこまで言うとレデスは蒼星石を見つめた。そして蒼星石の方を見つめたまま話を続けた。

「僕は自分の姿を持たない。逆に言えば何にでもなれるんだ。ほら」

そう言うとレデスは目の前に他の姉妹や俺に化けて見せた。どれも本人と全く見分けつかないくらい完璧な変身だった。
一通り変身した後はまた蒼星石の姿に戻った。

「だから貴方の好いている蒼星石の姿を借りて貴方を夢の中に引き込もうとした。」

J「夢の世界とか超KOEEEEEE!!」

「でもばれちゃそうがないなあ・・・今日はもう帰るよ。あっそうだ、蒼星石」

「何だ」

「蒼星石、僕はまだ君のマスターを諦めていないから。また何時か君のマスターの前に現われるかもしれないよ。
その時は必ずマスターを僕のものにするから。それだけ覚えておいて。君は僕の恋敵だ」

「僕だってそんな簡単にマスターを渡せないよ。僕の大事なミーディアムなんだ」

俺はただ目の前で起こっている二人のやり取りを黙って見ていた。突然レデスの唇が俺の頬に触れた。
そしてペロリと舌を出すと空高く舞い上がった。

「ふふ、じゃあねマスター。好きだよ。」

そう言った後空高く見えなくなるまで舞い上がるとレデスは消えた。別の人間の夢に移った様だ。
何気なく空を見上げる。太陽がまだ眩しかった。

「・・・ちょっとマスター!!」

ハッと蒼星石の気付き蒼星石の方を振り向く。何やら様子がおかしい。どうやら怒っているようである。
俺が浜辺に腰を下ろすと蒼星石も腰を下ろした。

「何で空を見上げてたのさ?まさかレデスの事を・・・」

「別にそういうわけじゃないぞ」

「そう。それならいいんだけどさ」

「もしかして嫉妬してるのか?」

「別にそうじゃないけどさ・・・」

からかう様な口調で言う俺の頬に蒼星石の唇がレデスがキスした頬とは逆の頬に触れた。

「少しは僕のことも考えて欲しいな・・・」

そう言うと蒼星石は立ち上がり海のほうへ走っていった。潮風で蒼星石の髪と青いパレオが揺れた。

「僕だって、マスターの事が大好きなんだからさ」

そう呟くとレデスのようにペロリと舌を出した。蒼星石の言葉より心臓の高鳴りの方が強くて蒼星石のその言葉は聞こえなかった。

fin

番外編「その頃のJUM」

「ちくしょー見せ付けやがって「あなたの名前」の奴!!欝だぜ。」

「ならあたし達もやってみる?」

「何をだよ真紅」

ちゅっ

「ウレピー!!」

fin


「言い訳程度の文」

原作は一度呼んだ後は読み返していない為無意識の海の定義が曖昧になっているかもしれません。
無意識の海は「夢の中」ではなくて「nのフィールドの中」だったかもしれません。
どう考えても原作の無意識の海とは違いますがそこは創作SSという事で多めに見ていただけると嬉しいです。


私個人の蒼像界王乙レデスのイメージを下記に記しておきたいと思います。

  • 実体は無く、何にでも変身できる。
  • マスターの事が好きで、蒼星石は恋敵だと思っている。
  • 夢の世界の住人で、夢を見せるのが仕事、いい夢も悪夢も思いのまま