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「ふぅ………」
やっと帰ってこれた
やはり自宅は落ち着く
蒼が居てくれると思えばバイトも頑張れるもんだ
『……で…の海の透明度は……』
TVを見ているらしい
「ただいま」
「あ、マスターお帰り。ちょっと待ってね」
沖縄の特集か……
沖縄……海………水着か…
なら行くしかないじゃないか!!!

「やっと夏休みだね、どっか行こうか、マスター?」
「ほら」
俺はチケットを見せる
「飛行機?……お、おきなわぁ?」
「11時からの便だからそろそろいくか」
「で、でも……」
「問題ない。姪って事にでもするから」
「…………」
俺はアパートから出掛け始める
「…待ってよ、ますたぁ」

「……でこの子は?」
ただ一緒に行っただけで何かおかしな部屋に連れ込まれていた
まるで事情聴取でもするみたいな
「恋人ですが何か」
「…ま、マスター」

「そんな訳ないでしょう。まだ子供じゃないですか」
「そんな事はないですよ」
何を言ってもいかぶしげな顔で見るばかり
なんか……
「ドイツ語も話せますよ、な?」
「う、うん。ぐ、ぐーてんもるげん」
ドイツ語知らないんだ………知ってると思ったんだがな
「もう分かりました。お子さんとでも言っていただければ簡単だったのですが構いません」
「では、よろしいんですね?」
「どうぞ……」
「ありがとうございます」
そう微笑んだ蒼星石の顔はきれいで相手をしていた女性も見とれていたようだ
これが水着になったら………
そうでなくても旅行には行きたかったがな
「では、もう時間ですのでお急ぎください。ご案内します」


「あの、危険物はちょっと……」
引っかかったのは大きな鋏
こんなのに気づかなかった俺は馬鹿みたいだ
……実際馬鹿だしな
「どうにかなりませんかね?」
「やはりこれだけ鋭いものですと…」
そりゃ毎日怪しげな顔して研いでるからな…
「ますたぁ、とられちゃうの?」
裾をつかんで聞いてくる
上目遣いで反則だ
……じゃあ使えばいいんじゃん!!

「あ、あの乗務員さんいいですか?」
涙目の上目遣いでフライトアテンダントに問う
もしかすると鋏より強力な必殺技かもしれない
俺も半分殺されかけるほどの威力だった
狙ってできるなんて水商売が出来そうだ
そんな事は絶対にさせやしないが…
「どうぞ」
顔を真っ赤にして許してくれた
「やっと乗れるね、マスター」


「わぁ高いね、もう雲の上だよ」
意外と怖がると思ったんだがな……
「少し寝ておいたほうがいいぞ、そのテンションは保てないだろうから」
「うん!マスターと寝れるね」
これは何かしてもいいって事でしょうか?
いいですよね?誘ってるよね?
すー、すー、すー
寝てるのかよ!!!!
………俺も寝るか

ざわざわざわざわ………
『……であり本国の……認められない場合は……』
取り敢えず蒼は起こしておこう
「おい、起きろよ」
「あれ、ここ…もう着いたの?」
「取り敢えず起きとけ」


「おい、どういうことなんだ!」
「お客様落ち着いてください…」
ざわざわざわ……
「どうやらハイジャックかなんからしいな」
「アーノルドとかセガール来るの?」
目を輝かせて聞かれた
アクション映画を見せすぎてんのかな
まぁ後ホラーとアニメしか見ないからな……
「そうじゃないの……元CIAとか元中佐とか来るよ」
「うわぁやったぁ。かっこいいなぁ」
「きっと貨物を載せる所から武器を盗んできてくれるさ」
「それで黒人の仲間ができるんだね」
……信じちゃってるんですね
純真でいいなぁ可愛いもんだ
俺みたいに虚言癖がある奴には出来ないもんだ
「………来ないよ。誰も来ない」
「きっと手こずってるんだろ、まずはファーストクラスからとか…」
「嘘だったんでしょ。マスターのばかぁ」


「おい、てめぇら。大人しくしていろ。大人しくしていれば殺さないでおいてやる。なんせ大事な人質だからな」
日本語が随分上手だがなんとなく日本人っぽくない
目的は何か知らんが結構紳士的だ
「マスター、戦って」
「無理だよ」
「銃相手に素手で抵抗したり、撃たれても実は防弾チョッキしてるとかない?」
「ない」
初めは翠の子供の悪戯か何かと思ったが本当にハイジャックらしい
誰もどうにもしてはくれないだろう
ここは取り敢えず静かにしておいt……
「おい、そこお前」
運悪く誰かが引っかかったらしい
「おい、お前だ」
冷たい鉄の塊が頭を突く


「スイマセン」
何か謝ってしまった
死ぬんだな……さようなら蒼星石
「何を言っている?こっちへ来い」
「分かりました」
「マスターーーーー!!!!」
「じっとしてろ。すぐ戻るから」
慣れない笑顔を投げかける
と、蒼星石が口を開きかける
「私じゃダメで……」
「なんでもない。行きましょう」
「そうか……中々良さそうだお前も来い」
完全無視ですね
俺のことなんて眼中にないんですか……
でももし、いざとなったら………


銃を背中に感じられながら俺達は空っぽのフロアに連れてこられた
乗客を動かして客室を空けたらしい
どうやらファーストクラスらしく席は大きく広い
「こっちへ来い」
蒼はどこか別の方に連れて行かれた
平気なのか?
「おい、俺のも使うんだからな。きれいにしとけよ」
俺の中で何かが弾けた
「貴様ああああぁぁぁ」
力を拳に込める
殴って殴って……全て掌で受けられる
息が出来ない
苦しい苦しい苦しい……


顔に何かが掛かる
熱くて赤い、紅くて熱い固形のような液体のような……
しょっぱい?
「うわぁぁぁあぁぁぁぁあ」
「マスター、マスター、落ち着いて」
小さな体に抱きしめられる
オッドアイに見つめられようやく覚醒し始める
起こした体に触れたのは男の首
「俺は…男に締められて……?」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、マスターが………」
「殺した……のか」
落ちているのは血にぬれた大鋏
まるで自殺志願
「蒼、半分貸してくれ……」