時刻は夜中の12時をまわっている。
  俺はそっと家の鍵を開け、静かに自分の部屋へと向かう。
  おかしい、自分の部屋から明かりがもれている。
  引き戸を開けると、そこにはお茶を飲んでいる蒼星石の姿があった。
蒼「お帰りなさい、マスター。」
  何故こんな時間まで彼女は起きているのか?
  しかし、酔っ払っている俺にはそんな疑問は些細な問題に過ぎなかった。
マ「蒼星石ちゃんただいま~!」
  まだ少しふらつく足で部屋の中へ入る俺。
蒼「うわっ、お酒臭い。もう!飲みすぎだよマスター!」
マ「何を言う、上機嫌で帰ってきたときはセーフ、グロッキーで帰ってきたときがアウトだと言っておろうが。」
蒼「二日酔いになるかならないかの違いで怒ってるんじゃないの!どっちにしろ身体には良くないんだから!
  こんなおそくまで飲み歩いて、もう!」
  そう言うと少しぶすくれた表情をする蒼星石。
マ「ところで、何でまたこんな時間まで起きてたの?」
蒼「それは…、も、勿論マスターの帰りを待ってたからだよっ。」
マ「アハハ、寂しかったのかい?そいつは申し訳なかったな~。じゃあおわびにまさちゅーせっちゅだ~!」
  俺は蒼星石を抱き寄せると、有無を言わさず伸びかけのヒゲをジョリジョリいわせて頬擦りをする。
蒼「ちょ!マスターやめてよ!い、痛いってば!痛い!痛い!」
マ「アハハ、怒った?」
蒼「もう!酔っ払うといつもこうなんだから!もう知らない!」
  すっかりヘソを曲げてしまったようだ。
  こりゃイカンなーと思いつつ部屋を見回していると、
  DVDプレイヤーの傍に見慣れないパッケージが横たわっているのに気がついた。
マ「おや?これは?」
  蒼星石が一瞬ギクっとした表情をしたのを俺は見逃さなかった。
蒼「き、今日は翠星石が遊びに来て、一緒に映画を見ていたんだよ。」
マ「ふ~ん、どれどれ。『劇場版くんくん探偵 幽霊城の恐怖』ねぇ…。ははぁ~ん。」
  俺は全てを悟り、蒼星石の方へ目をやる。
蒼「な…、何だいマスター、その目は?」
マ「こんな時間まで起きてたのって、ひょっとして怖くて一人で寝られなかったんだろ?」
  ニヤニヤしながら蒼星石の反応を見る俺。
蒼「そ、そ、そんなことあるわけないじゃないか!僕は純粋にマスターの帰りを待っていたんだから!」
  これまた強がりを。
マ「ほほう。そうだよな~、こんなしっかり者の蒼星石が、まさか一人で寝られないなんてことはないよな~。」
  ちょっと意地悪げに言い放つ俺。蒼星石はうつむいたまま黙り込んでいる。
マ「それじゃあ酔っ払いは迷惑にならないうちに寝間着に着替えて寝るとするかな~。」
  そう言い着替えようと立ち上がると、足にしがみついてくるものがあった。
マ「…、どうしたのかな蒼星石ちゃん?」
  下には、顔を真っ赤にした蒼星石がいる。少し涙目だ。
蒼「…、ますたぁ~、今日は一緒に寝ていい?」
  こやつめ、ワハハ。
  やれやれとつぶやくと、俺はすぐさま寝間着に着替え、蒼星石を抱え上げてベッドに入りましたとさ。