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「違うです! ここの「つとめる」は務じゃなくて努です!」
ぽかぽかと俺の頭を定規で殴る翠星石。痛い痛い。角は痛いってば!
消しゴムで誤った字を消し、さらさらと書き直す

「あなた…本当に字が下手くそなのねぇ」
水銀燈が頭上から漆黒の羽を落としながら俺の宿題を覗きこむ
余計なお世話だ。後、掃除面倒だから羽を広げないでくれよ

「ね、ね、ヒナも遊びたいの~」
くいくい椅子の下に伸びたズボンを引っ張る雛苺
うん、ごめんな。遊びじゃないからまた明日

「ちょっと、この紅茶温すぎるわよ」
お人形さんがなんで紅茶を飲むんだろうね
真紅ちゃん。もしかして君達ドールズのお腹の中は四次元になってるんじゃないのかな?
排泄もしないのに食い意地はるな!

「そんなものカナの手にかかれば簡単なのかしら~♪」
と無茶苦茶な文法で文を書き出す金糸雀。
前に前進するって日本語は存在しねぇよ

「おっと…もうこんな時間か…」

ふと時計に目をやりペンを置く
「こら人間! まだ終わってねぇですよ!?」
まぁちょっと待っててくれや
手をヒラヒラさせて部屋を出る
向かう先はダイニング

「あ、マスター。宿題終わった?」
蒼が体に合わない大きめの皿を並べながら可愛らしく俺に聞く

「ううん。まだだよ」
「え? じゃあダメだよ。宿題終わらせてからご飯にするって約束なんだから」
少し膨れる蒼。それがまた可愛い
「でもいつもはもうご飯の時間じゃん。ほら、腹が減っては戦はできぬってやつ」
人差し指を立て、ニコリと笑いかける
蒼は大抵、これをやると頬をほんのり赤く染め、何も言わなくなる。それがまた可(ry
「もぅ…終わらなくても僕は手伝わないからね」
ほらね。さすがは蒼



「全く…本当に下心丸出しなこと」
「ふぉっ!?」

すぐ後ろに真紅が気配も無しに立っていた
「あらぁ。ダメじゃないの。ご飯は後でしょぉ?」
水銀燈が羽で俺の顎を撫でながら言う
「いや、でも早く食べないと…」
「そうやってすぐに蒼星石優先にする所が人間の悪い所です!」
指を突き立てながらきつく言い放つ翠星石

「う…わかったよ…じゃあ終わらせて…」
部屋に向かって歩き出そうとするが、足が進まない
というか…あれ?体中が動かな…

ふと体に目をやると苺わだちがぐるぐると巻き付いていた

「そんなゆーじゅーふんだんな人にはお仕置きなの~」

無垢な笑顔で間違った日本語を言う雛苺

自由を奪われた俺は仰向けに倒され、ドールズ5人に見下ろされる形になった

「あ…あの…?」

「ねぇ、お仕置きって何するのぉ?」

「カナに策有りよ!こうすれば…」

と金糸雀は俺の腹へ手を伸ばし…



「うひゃひゃひゃひゃ!!! ちょwwww待ってwww」

くすぐりだした

「みんなもやるのよ!」

と真紅が指示を出すと、蒼を除く全員が俺の無防備な体をこちょこちょしだした

「うひゃぃいいいいい!!!し、死ぬってwwwwwやwwwめwwww」
足の裏、脇、脇腹を一気に擽られる。これなんて拷問?
「そwwww蒼wwww助けwww」
もう言葉にもならない。が、今俺を救ってくれるのは女神である蒼しか居な…
「くすくす…マスター可愛い♪」
何笑ってるんですか!?今、どれだけピンチかわかってないでしょう!?
あ、ちょwww首に息を吹きかけるのはwwwあんwwwwwら、らめぇぇええええwwwwww




……目覚める
手を伸ばしたまま机で寝てしまったようだ
夢の中では半分は終わっていた宿題も、真っ白だ
「…ふぅ」
一息つき、机を立ち上がり本棚へ向かう
もちろん、読む本は「ローゼンメイデン」
俺はこの漫画の虜になっていた
特に蒼星石という異常な可愛さの女の子に
その証拠に、わざわざ通販でフィギュアまで買った
完成度の高いこのフィギュア
時々、動きだすんじゃないかと錯覚するくらいだ
だから度々、俺はその小さな蒼に向かって話をすることがある
学校のこと、家族のこと、そして…夢のこと

「そしたらさ、いきなり水銀燈が羽使ってくすぐりはじめてさ」

むなしいのはわかってる。動かないのもわかってる

でも俺は…いつかこのフィギュアが動いて俺に向かって笑い掛けてくれるんじゃないだろうかという淡い期待を乗せて、話し続ける

いつまでも

いつまでも


「―――ってぇ夢を見たんだが、どう思う? 蒼星石。」


Fin