「マスター、ほら綺麗だね」
「ちょうど満開の時期だからな」
あっという間に桜の季節が来た
TVで凝視していた蒼を見かねて郊外のあまり知られていない所に来ていたのだ
桜吹雪が舞い、そして散る
こんなのを見てると蒼星石との別れ来るがあると思い出してしまう
辛気臭い気持ちを振り払って茶を点てはじめる
「抹茶入れられるの?」
「点てるというんだがな……母親が好きだったんだよ」
そう言って会話もなくなり、点てる音と風の音が流れてゆく
「はい、出来たよ」
「いただきます」
おずおずと口に持っていった
「にがい………あ、桜だよ」
茶碗には桜の花びらが散っている
それさえ見ずに想う
近くにこんな花があれば流石の桜も敵わない、と