「マスター、名前ってのは大事なんだよ。」
蒼星石が意味ありげな表情に、これまた意味深な言葉を乗せる。
「名前には力があるんだ。イキモノでもモノでもその名を冠することによって、その名を持つモノと同じ
 力を持つこともできる。」
そう語りながら蒼星石は俺が手渡した金属バットに、油性ペンで字を書いているようだ。俺はというと、
まったく話が見えてこない。
 しばらくすると蒼星石が油性ペンのふたを閉めた。キュ、と耳障りな音の後、蒼星石がバットを右手で
掲げ、俺に見せ付けた。
バットには“斬鉄剣”と書かれていた。
「ま、まさか・・・!」
俺の予測通り、蒼星石はそれをスイカに向かって一閃させた。ヒュッ、とバットとは思えない音がし、スイカが
真っ二つに割れる。しかし普通に割れるはずもなかった。スイカのごつい皮だけが真っ二つとなり、紅い中身
は無傷で皿の上に巨大な腰を据えていた。
「持ち主の斬りたい時にだけ斬れる、これが名刀だよね、マスター。」